まこちゃんの靴
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それから、しばらく過ぎたある晴れた日曜日。
貴志君一家は、朝から遊園地に出かける準備で忙しかった。

玄関で靴をはいた貴志君がぽつりと
「この靴、小さくて足が痛いんだよな・・」
とつぶやいた。

「え?もう小さくなっちゃったの?どんどん足も大きくなるんだねぇ。また新しい靴に買い換えなくっちゃね。」
と、お母さんは(この間買ったばかりなのにな・・と)少しため息交じりで、でも、少し成長が嬉しくて、小さくなった靴を履いた息子の足を見た。

「あれ?」
よく見ると、靴のかかとに「やまぎしまこと」とネームがある。

「な〜んだ、靴、間違えてるじゃない、やまぎしまことって書いてあるよ」

「だってね、僕が学童に行こうとしたら、僕の靴箱に靴がなくて、上のまこちゃんの靴箱にこの靴が残ってたから・・僕のかと、思って。」

「間違えたのは、まこちゃんなんだよ。」
と貴志君は必死で言い訳をしていた。

「まったく、同じ靴なんだね。あ、でもちょっとまこちゃんの方が小さいんだ。」
と、言いつつ母は息子に言われるまでしっかり書いてある名前に全く気づかなかった自分にも苦笑した。

「明日、学校にその靴を履いて行って、まこちゃんに変えてもらうといいよ。」
とお母さんは、靴を間違えたのは前日だと安易に思い貴志君に話すと、

「そうするよ。」
と、貴志君も言ったので、明日、まこちゃんの靴と交換する、ということで、今日は別の靴を履いて、遊園地に出かけた。


次の日。
朝から雨が降っていた・・・。

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