「貴志くん、今日学校へ行ったら、まこちゃんに靴をかえてもらってね」
朝、出掛けにお母さんは、貴志くんに声をかけた。
「は〜い」
雨が降っていたけれど、ちょっと小さいまこちゃんの靴を履いて、貴志くんは
元気に学校へでかけた。
まこちゃんが僕の靴を履いているから、この靴を履いて行って、まこちゃんに
代えてって言って、僕の靴を返してもらうんだ・・と心の中で、昨日のお母さんの
話を思い出しながら・・・。
学校で、靴箱をみると誠くんはもう学校に来ていた。
でも、誠くんの靴箱には長靴が入っていた。
「雨だから、まこちゃんは長靴できたんだ・・・。」
そう、つぶやくと貴志くんは上履きに履き替えて教室にむかった。
「まこちゃんに靴をかえてもらってね」お母さんの言葉を思い出した。
でも今日は長靴を履いてたんだ・・・どうしよう・・いろいろ思い悩みながら、
廊下を歩いた。
教室に入ると「あ、貴志くん、おはよう!」
誠くんが明るく迎えてくれた。
「おはよう・・」
靴のことなんて言おうと思い悩みながら貴志くんは返事をした。
「ねぇ、ねぇ、昨日さぁ、TVでポケもんみた?すっごい面白かったよな!」
元気な誠くんの声に
「あ、見た、見た!僕さぁ、昨日遊園地行って、あのポケもんみたよ!」
貴志くんは、昨日遊園地に出かけたときにイベントで同じポケもんが来ていた
ことを思い出した。
「えっ!見たの!すごい、どこでだよ。良いなぁ。僕も見たい!」
誠くんの言葉に
「昨日、家族みんなで、遊園地に行ったんだよ。いろいろ遊んだ後、ご飯食べてたら、
ポケもんがはじまるよって、放送があってね・・・」
昨日、遊園地に行った話、夜、テレビでポケもんを見た話などで、誠くんと貴志くんは
大いに盛り上がった。
「ほら、ほら、いつまで、おしゃべりをしているのかな?」
「もう、チャイムが鳴ったよ。」
二人は、チャイムが鳴り、先生が教室に来たことも気づかなかった。
「みなさん、おはようございます」「おはよう、ございまーす」
靴のことも、すっかり忘れていた。
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