『S−Report』  6/9号  公共施設の市民運営を考える


 5月29日、さいたま市で協働→(による)参加のまちづくり市民研究会セミナー「利用する市民から、運営する市民へ」(主催 協働→参加のまちづくり市民研究会)により開かれた。
 同会は、04年10月に「公共施設の市民運営論」調査研究プロジェクトを開始して以来、調査を進めると共に、月1回程度で公開セミナーを行ってきた。研究プロジェクトとセミナーの趣旨について、同会は案内の中でこう説明している。

 「官から民へ」のかけ声のもと、図書館、公民館、公園、保育園などの公共施設の運営を「民」にゆだねようという動きが急速に進んでいます。しかし、自治体によっては、経費の削減を第一としたような強引な改革に、現場では、大きな混乱が生まれているという実態もあります。
 私たちは、「よい公共施設」とはどのような施設なのか、またそれを作り出すにはどのようなしくみが必要なのかについて「市民運営」をキーワードに市民による調査研究を重ねてきました。
 そこで、この問題をもっと広く多くの方々と一緒に考えていきたいと考え、仙台から加藤哲夫さんをお招きして、この「混乱」を読み解くための「軸」を探すことにしました。
 「よい施設」とその「運営の方法」とはどのように関係しているのでしょうか。公=官ではない時代、施設運営を切り口に、「新たな公共」や「自治」について、ともに学び、話しあいませんか。  
「利用する市民から、運営する市民へ 公共施設の市民運営を考える」

 今回のセミナーはこれらの成果を元に、「公共施設の市民運営を考える」というテーマで、せんだい・みやぎNPOセンター代表理事・加藤哲夫氏による講演を行った。
 加藤氏は公共施設について、だれでもが参加できる「広場性」の重要性を指摘し、かつて仙台の公共施設では受け入れられなかったテーマを話し合い・情報交換する場所として、コミュニティカフェ「ぐりん・ぴいす」の成り立ちを述べた。そして、困った市民が集まるこのような場所が発展し、行政委託の枠の中ではあるが「広場性」を実現した施設、NPO支援センター「せんだい・みやぎNPOセンター」についても語った。しかし、行政から委託される施設については、あくまでも行政委託の枠の中での存在であるとも述べた。
 今年より「指定管理者制度」が始まり、公共施設の運営もこの制度で行わなくてはならない。民間(株式会社、NPO法人など)では、この新制度に対する関心が高まり、セミナーや講座などが盛んに行われている。こうした動きの中、協働→参加のまちづくり市民研究会や加藤氏は、もはや「公=官」の時代ではない現在、施設運営を切り口に「新たな公共」や「自治」を問い直している。  財政悪化や合理化により、官営の公共施設の運営方法は変更を迫られている。一方、市民も、施設を利用するだけの「サービスを要求する市民」や「サービスを受ける市民」から、「参加する市民」になっていくことが必要になるのではないか。

 協働→参加のまちづくり市民研究会の「公共施設の市民運営論」調査研究プロジェクトは、今までの調査・研究をまとめて、『公共施設の市民運営調査プロジェクト2005報告書 私のだいじな場所−公共施設の市民運営を考える』(仮題)を発行する予定という。  報告書は、「保育所や図書館の民間委託、民営化、公民館・文化ホールの廃止再編、そして指定管理者制度……大きな波が全国の公共施設をおおっている。  その一方で、ユニークな公共の場づくりがすすんでいる」と指摘する。

「『お役所運営』はもういらない。でも、『お金』じゃないんだよ。『なにがよくて、どうだったらダメなの?』公共施設のあり方について、あらためて考えてみよう」と呼びかけている。

 また、同会の前身である「NPOと自治体を考える自主研究会」が04年に編集・発行した、埼玉のNPOと自治体の協働事例調査報告書『協働でまちをつくるのだ!』が今年の「日本NPO学会賞(研究奨励賞)」を受賞したという。
 この報告書の副題が「NPOと自治体職員が見て・聴いて・考えた ケーススタディノート」となっているように、依託調査ではなく、日本財団の「協働に関する助成金」をもとに、自治体職員と市民NPOが、文字通り協働で進めた自主的な調査によるものだ。報告書は「協働のあり方 20の提案」をしている。

 とかく、原則論や論議に終始しがちの公共施設の市民運営や協働の事業を進めていくにはこのような市民による調査をふまえた提案が重要ではないか。

  協働→(による)参加のまちづくり市民研究会 http://machiken.org/

   第3回「日本NPO学会賞(研究奨励賞)」受賞!

 『ケーススタディ・ノート 協働でまちをつくるのだ!
  −埼玉におけるNPOと自治体の協働に関する事例調査報告書 』 (愛称 「協まち本」)

    http://machiken.org/mk/modules/news/article.php?storyid=6

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埼玉県ウェブアクセシビリティ推進連絡会

第1回研究発表会    「埼玉県内でのウェブアクセシビリティの状況」(仮称)

日 時  6月10日 13時〜               入場無料
場 所  大宮ソニックシティ(さいたま市大宮区桜木町(大宮駅から5分))     
内 容  あいさつ
      「自治体ウェブサイトは使いやすいか」    東洋大学経済学部教授 山田肇先生  
       (埼玉県ウェブアクセシビリティ推進連絡会 普及啓発部部会長)  
      「自治体の取り組み事例報告」  
      質疑応答  

埼玉県ウェブアクセシビリティ推進連絡会 事務局
   さいたま市大宮区吉敷町1−124 埼玉県大宮合同庁舎3階
    NPO法人 WeCAN!首都圏テレワークセンター内

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