『S−Report』  5/26号  ユビキタスネット社会の実現に向けて 国連世界情報社会サミット(WSIS)東京ユビキタス会議 


 東京ユビキタス会議市民社会準備委員会のメンバーとして東京ユビキタス会議の市民・NGOの主催の市民社会セクションの企画と東京ユビキタス会議のサイドイベントを企画・実施しました。

 5月16日・17日の両日、国連世界情報社会サミット(WSIS)東京ユビキタス会議が、東京の京王プラザホテルで開かれた。

 世界情報社会サミットフェーズ2(WSIS)は2005年11月、国連によりチュニジアのチュニスで開催されるが、これに先立ち、日本政府(総務省)、ITU、国連大学の共催によるテーマ別の会合「東京ユビキタス会議 ユビキタスネット社会の実現に向けて」が、世界約80カ国と数多くの国際機関・地域の代表や企業のほか、日本も含めたNGO・市民団体など約500人が参加して行われた。  

 最近、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」と評される、簡単にネットワークに接続できる「ユビキタスネット社会」の概念が、各国の政府や産業界で注目を浴びている。ユビキタスネット社会では、あらゆる人や物が結びつき、そこでは、人に優しい心と心の触れ合いが実現し、利用者の視点、利便性が融けこむとともに、個性ある活力が湧き上がる社会が実現されることが期待されている。

 こうした点に関しては、世界情報社会サミット(WSIS)のジュネーブ基本宣言及び行動計画でも、全ての人々が、ユビキタスに手頃な料金でアクセス可能となる情報通信インフラを開発すること等の重要性が強調されている。  会議では、主催者のあいさつと来賓祝辞に続き、オープニングプレゼンテーションで、TRON・T-Engineで有名な坂村健東京大学教授と、MITのメディアラボチェアマンであるニコラス・ネグロポンテ、マサチューセッツ工科大学教授の講演があった。
 講演の中で坂村教授は、ユビキタスネット社会で使われる無線ICタグや、神戸での実験などを例に語りながら、ユビキタスコンピューティングについての具体像を示し、ユビキタスネット社会に対応した社会制度の必要性について強調した。  また、ネグロポンテ教授は、今後の社会のテーマは「こどもと教育」であると主張し、発展途上国に初等・中等教育のための「100ドルのノートパソコン」を普及させるプロジェクトについて語った。  その後のオープニングステートメント、基調講演の後に、2日間テーマ別のセッションが行われた。
 セッション1の「ユビキタスネット社会を導く技術」(モデレータ 伊藤泰彦 KDDI専務)では、主に産業界により「技術」に関しての討論が行われ、セッション2「人材教育・知識共有」(モデレータ 徳田英幸 慶應義塾大学教授)では、教育の立場から教育や途上国の問題が検討された。
 そしてセッション3「デジタルディバイドへの取組」(モデレータ 道傳愛子 世界情報社会サミット(WSIS)チュニスフェーズ親善大使・日本放送協会)では、各セクターにより「ユビキタスネット社会ではデジタルデバイドは軽減されるか」について話し合われ、セッション4の「市民社会セッション 人間のニーズによるユビキタスネットワーク」(モデレータ アダムピーク 国際大GLOCOM主幹研究員)では、市民や障がいを抱えた人などの多様な立場から、人間中心の情報社会に関して討議され、 セッション5「ユビキタスネット社会の実現に向けて」(モデレータ 村上輝康 野村総合研究所理事長)では、各セクターによりユビキタスネット社会のあり方について総括的に論議された。

  これらの内容は17日午後のワーキンググループの時間に全体で討議され、東京ユビキタス会議の議長報告として、9月の国連世界情報社会サミット第3回準備委員会会合と11月の国連世界情報社会サミット(フェーズ2)に提案される。
 今回の東京ユビキタス会議では、ジュネーブで開かれた国連世界情報社会サミット・フェーズ1のジュネーブ基本宣言に基づく、市民などの多様な参加者の平等な参加や協働が確認され、また、世界情報社会サミットのフェーズ2(実践段階)のテーマにふさわしく、世界の具体的な実例や問題が提起・論議された。

 特に、市民、NGO(市民社会)から提案されたユビキタスネット社会の実現と設計にあたっては、技術中心ではない「人間中心の情報社会」を目指すことで合意できた。また、日本政府が提起したユビキタスネット社会についても、「情報社会の一つの形としてのユビキタスネット社会」という形で、世界における貧困や障害の問題も含めて情報社会について幅広く論議された。
 同時にユビキタスネット社会の実現にあたっては、「ユビキタスネット社会」自体を目的とするのではなく、情報通信技術や国際的協力によって、多様なニーズや手段の「バランスとハーモニー」をとり、世界が抱える多様な諸問題の解決や、持続可能な社会を目指すことも確認された。

 しかしながら、こうした社会の実現に向けての論議や理解には、まだまだ、不足する部分や課題が多く残っているという印象だった。これらについては、また改めて述べてみたい。

  関係イベント



■埼玉大学共生社会研究センター鶴見良行文庫開設記念シンポジウム
              「アジアと日本と、市民社会のゆくえ」

  今年6月、埼玉大学共生社会研究センターは「鶴見良行文庫」を開設します。
  鶴見良行さんは、市民の立場にこだわりながら独自のアジア学を切り開いたことで知られ、『マラッカ物語』『バナナと日本人』『マングローブの沼地で』『ナマコの眼』『ココス島奇譚』など多くの刺激的な著作を発表してきました。「鶴見良行文庫」には、1994年に亡くなった鶴見良行さんが遺した厖大な数の蔵書・写真・ノート・カードが収められ、一般公開されます。 しなやかなまなざしで東南アジアの村や島を歩き、辺境の人びととの出会いのなかから日本と日本人についての思索を深めていった鶴見良行さん。その足跡を手がかりにしながら、2005年の今、私たちのつくる市民社会はどんな可能性をもっているのか、魅力的なスピーカーのみなさんといっしょに考えてみたいと思っています。

【日時】2005年5月28日(土) 14:30〜18:30(14:00開場)

【会場】シーノ大宮センタープラザ10階
  さいたま市立生涯学習総合センター多目的ホール  
  さいたま市大宮区桜木町1−10−18(JR大宮駅より徒歩5〜8分)

【プログラム】14:30〜18:30

 講演「鶴見良行の切り開いた道」鶴見俊輔(哲学者)
 講演「歩くナマコ――鶴見良行の仕事と希望」池澤夏樹(作家)

パネル討論:内海愛子(恵泉女学園大学教員) 熊岡路矢(日本国際ボランティアセンター代表) 中村尚司(龍谷大学教員) 宮内泰介(北海道大学教員) 吉岡忍(作家)
司会:村井吉敬(上智大学教員)

【参加費】無料(資料代として1000円)

【申込み】お名前、住所、電話番号をご記入の上、FAX、E-Mail、ハガキのいずれかでお申し込みください。先着順で予約を受け付けます。

【申込み先/お問い合せ】埼玉大学共生社会研究センター  
 338-8570 さいたま市桜区下大久保255  
 TEL:048-858-3090 FAX:048-858-3115   E-Mail:kyousei@post.saitama-u.ac.jp

【主催】埼玉大学共生社会研究センター+鶴見良行文庫委員会

【協力】連合埼玉・コモンズ・アジア太平洋資料センター・さいたまNPOセンター

【後援】朝日新聞社・岩波書店・埼玉新聞社・みすず書房


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 協働→参加のまちづくり市民研究会 *公開セミナーのご案内*  
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■ 利用する市民から、運営する市民へ ■      〜公共施設の市民運営を考える〜


●いま「公共施設」が大きく変わろうとしています。 「官から民へ」のかけ声のもと、図書館、公民館、公園、保育園などの公共施設の運営を「民」にゆだねようという動きが急速に進んでいます。しかし、自治体によっては、経費の削減を第一としたような強引な改革に、現場では、大きな混乱が生まれているという実態があります。
  私たちは、「よい公共施設」とはどのような施設なのか、またそれを作り出すにはどのようなしくみが必要なのかについて「市民運営」をキーワードに市民による調査研究を重ねてきました。 そこで、この問題をもっと広く多くの方々と一緒に考えていきたいと考え、仙台から加藤哲夫さんをお招きして、この「混乱」を読み解くための「軸」を探すことにしました。 「よい施設」とその「運営の方法」とはどのように関係しているのでしょうか。公=官ではない時代、施設運営を切り口に、「新たな公共」や「自治」について、ともに学び、話しあいませんか。

●ゲスト;加藤哲夫さん(せんだい・みやぎNPOセンター代表理事)
  1949年福島県生まれ。1981年に出版社「カタツムリ社」を設立、1985年にはエコロジーショップ「ぐりん・ぴいす」を開店。1986年からエイズ問題、1992年より市民エコロジー事業のネットワーク化にとりくむ。近年は、NPOによる新しい市民社会のシステムに取り組んできた。1997年11月には、NPO支援センターである「せんだい・みやぎNPOセンター」を設立。1999年から全国にさきがけて仙台市の「市民活動サポートセンター」をNPOとして受託し、今日まで運営を担う。また、その経験をもとに、NPOが自治体と協働して公共施設を運営することや、市民が公共施設を運営することの可能性と課題について、積極的に発言している。

●日時;2005年5月29日(日)午後2時50分〜4時30分(開場2時30分)

●場所;埼玉教育会館(104会議室)浦和駅徒歩10分  
      地図はこちら http://www.scvb.or.jp/data/urawa_14.shtml#

●参加費;1000円

●定員;50人先着順です

●主催;協働→参加のまちづくり市民研究会  
    〒336-0017 さいたま市南区南浦和2-4-2   コミュニティフロント内 in-fo@machiken.org

●連絡先・お申し込み お名前、連絡先、メール、所属をお書きの上、 メール in-fo@machiken.org にお申し込みください。 こちらのお問い合わせフォームからもお申し込みいただけます。



■さがみはら環境まつり 〜みんなでつながろう 環境情報(エコネット)の輪〜  

市民、事業者、大学、行政が集い、楽しみながら「環境」を感じ、学び、行動するきっかけにするためのお祭りです。平成18年4月開所予定の(仮称)環境情報センターへの夢も語り合います。

◆日時  6月5日(日曜日)正午〜午後5時

◆会場  麻布大学(JR横浜線矢部駅北口徒歩4分)8号館及びその周辺 内容

 1.ホールプログラム「(仮称)環境情報センターへ贈る“メッセージ”」  平成18年度開所予定の「(仮称)環境情報センター」について、どんなセンターにしたいか、どのように活用したいか、センターを通じて何をしたいかに焦点を当て、相模原地域における環境のまちづくりの構想を参加者と一緒に創り上げます。

<1>午後1時〜1時15分  (仮称)環境情報センター設置の意義・趣旨説明(市環境対策課)
<2>午後1時15分〜1時45分  環境パートナーシップ施設の先進的事例の紹介(地球環境パートナーシッププラザ) <3>午後1時45分〜2時55分  (仮称)環境情報センター設置の活用方法についての意見募集・意見交換

分科会1 「市民分科会」 : 自然環境観察員,NPO,ボランティア団体,一般市民等 コーディネーター : 斉藤奈美(さがみはらリサイクル連絡会) →生涯学習としての活用方法,各団体との連携方法

分科会2 「事業者分科会」 : 相模原の環境をよくする会等 コーディネーター : 大掛猪津夫(NPOかながわ環境カウンセラー協議会相模原支部) →企業の環境学習プログラムとの連携、CSRとしてセンター支援

分科会3 「大学分科会」 : 麻布大学教職員・大学生,他大学教員・学生等 コーディネーター : 村山史世(麻布大学) →大学の研究成果・大学生の取組・地域連携方策研究との関連等

分科会4 「子ども分科会」 : 小学生,中学生,高校生等 コーディネーター : 金澤公輔(東京ガス環境エネルギー館) →児童生徒の希望する環境学習

分科会5 「教員分科会」 : 小・中・高等学校の教員 コーディネーター : 岡本弥彦(麻布大学) →学校教育としての活用方法,学校との連携・交流

<4>午後4時5分〜5時  シンポジウム「(仮称」環境情報センターの活用方法」

 5分科会からの報告・要望・提言等を基にした意見交換・研究協議 コーディネーター : 川村研治 パネラー : 斉藤奈美、大掛猪津夫、村山史世、金澤公輔、岡本弥彦

2.ブースプログラム「環境の達人たちが贈る極上メニュー」

◆時間 正午〜5時 ◆会場 8号館教室・屋外  「1.ホールプログラム」と平行して適宜実施します。  
地域で環境保全等に取り組む団体などが提案する体験型・参加型の環境学習ブースや展示ブースを出展します。  リサイクル材を使った工作体験や、低公害自動車の展示、環境配慮製品の配布など、子どもから大人まで楽しめるものなど。

3.特別講演 「環境コミュニティビジネスとCSR」

◆時間  午後3時5分〜4時 ◆会場  百周年記念ホール ◆講師  須藤誠(経済産業省関東経済局 産業部 コミュニティビジネス・NPO活動推進室) 4.特別出展 NPOソフトエネルギープロジェクト  太陽光発電や風力発電の実験、ソーラークッカーを使ったエコクッキング、ソーラーカーの試乗など。 その他 愛・地球博連携企画「EXPOエコマネー」  「さがみはら環境まつり」の会場で企画に参加したり、ブースを見たりするごとにポイントがもらえます。ポイントを貯めると、「さがみはら環境まつり」会場で記念グッズと交換できたり、愛・地球博会場でエコグッズと交換したりすることができます。 ※希望者は直接会場へ。 ※駐車場はありません。車での来場はご遠慮ください。

 お問い合わせ   さがみはら環境まつり実行委員会事務局(環境対策課内)
   電話 042-769-8240    Eメール kankyoutaisaku@city.sagamihara.kanagawa.jp


■ 参加と協働を考えるサロン おでかけサロン IN 川口      
    「総合ボランティア・市民活動センターと協働」     

 協働→参加のまちづくり市民研究会(旧NPOと自治体を考える自主研究会)の「協働でまちをつくるのだ!」では川口ボランティアサポートステーションを取りあげさせて頂きましたが、その後の協働の状況をそれぞれの立場からお聞きするとともに、新しい川口の総合ボランティアセンターの試みについてお聞きし、広く意見の交換をしたいと思います。

●日時:平成17年6月8日(水)午後7時00分〜8時30分

●場所:川口ボランティアサポートステーション  
   〒332-0015 埼玉県川口市川口3−1−1(川口駅下車徒歩2分)

●ゲストスピーカー 
    川口ボランティアサポートステーション  鷲巣所長
    NPO ユニバーサルデザイン・ステップ 小澤代表、小田副代表

●参加費:500円(資料代)
●「参加と協働を考えるサロン」の申し込みは 協働→参加のまちづくり市民研究会(http://machiken.org)まで E-mail:in-fo@machiken.orgまでお申し込みください。 当日参加も大歓迎 

●サロンの内容

1.川口ボランティアサポートステーションと各団体との協働・協力
   川口ボランティアサポートステーション 鷲巣所長(20分程度) 
2.NPOユニバーサルデザイン・ステップと川口ボランティアサポートステ ーションとの協働・協力
    NPOユニバーサルデザイン・ステップ小澤代表、小田副代表(20分程度)
3.川口における総合ボランテイアセンターについて   川口ボランティアサポートステーション(20分程度) 

4.質疑・討論

*サロンの後は恒例のオフサイトミーティングを予定しています。
*お時間にゆとりのある方は是非、こちらの方もご参加ください。
*ゲストを囲んで、協働談義に花を咲かせましょう。(ワイ2ガヤ2)


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