『S−Report』  3/25号  こどもプロジェクト−2 e-tiiki.net04


 
 地元学や地域の文化発掘などがスローライフには重要です。

 「地元学」は水俣の吉本哲郎さんは水俣再生を環境から地域にあるものを調べる「あるもの探し」と水のゆくえを調べた「水の経絡図」づくりを行ない、地元学は岩手県陸前高田市で「りくぜん高田学」や三重は「三重ふるさと学」、岐阜県可児市や宮崎県諸塚村,熊本県菊水村などに広がっています。
 現在は熊本県水俣市で地元学協会(代表吉本哲郎)を主催されています。

  (吉本哲郎氏の著作等)

 「わたしの地元学」(NECクリエイティブ(1995)
 「風に聞け 土に着け 風と土の地元学」社団法人 農山漁村文化協会(2000)    
  水俣CD-ROM「山のち川のち海のち温泉へ」企画構成(1995)

   また、宮城仙台の結城登美雄さん((有)タスデザイン室代表)も「地元学」の提唱者のひとりです。結城登美雄さんは東北の農山村をくまなく歩き続けて記録を取り、東北を中心に「地元学」を実践されています。  
 
  (結城登美雄氏著作等)

 「山に暮らす海に生きる」無明舎出版  
  現代農業『スローフードな日本』社団法人農山漁村文化協会

 このように、地域を足下から見直す「地元学」は着実に広がりを見せています。


 また、「文化発掘」とでもいうべきものが行われています。

 「清瀬ヒストリー・ショップ」(主催 NPO法人環境文化のための対話研究所 IDEC)の「麦の体験学習プログラム」が東京清瀬市の下宿地域市民センターで行われました。

  「IDECが進めている地域環境学習プロジェクト/エコミュージアムづくり/持続可能なコミュニティづくり活動である「清瀬ヒストリー・ワークショップ」では平成15年度さいごの催しを開催中です。もともと「ヒストリー・ワークショップ」は、イギリスで1970年代から始まった活動です。地域の勤労者や生活者が「個人史」を聞き書きし、コミュニティを取り巻く「社会史」についても市民自らが調べ、学ぶなかで、「歴史との対話」や「歴史を書くこと」を体験するものです。活動の成果を冊子にまとめるほか、ヒストリ−・ショップといわれる聞き書き拠点&展示・学習拠点を運営するなど多彩な活動を展開します。
   NPO法人環境文化のための対話研究所(IDEC)では、清瀬の生活文化の根っこである「麦を中心とした畑作文化と農村のくらし」をテーマに、聞き書きや子ども達との体験学習などを数年がかりですすめています。これまでの聞き書きの成果や麦作にかかわる古写真・資料などを展示し、「麦のカルタ」などの楽しい親子向け教材を使ったワークショップなどを開催する拠点として「清瀬ヒストリー・ショップ」を開店します。ショップといっても、モノは売っていません。みなさんの思い出の品や話を持ち寄って「茶飲み話」をするサロンのようなくつろげる「場所」のことです。おりしも、会場付近の柳瀬川沿いは桜が美しい季節です。お花見のついでにどうぞ覗きにきてください(Pあり)。」

 ”清瀬ヒストリー・ショップ「麦こがし」を開店します!”より   http://www.topicserv.com/IDEC/dtdisp.asp?en=SFXC1782131244&var1=%8D%C5%90V%83g%83s%83b%83N%83X&var2=index.html


 この「麦の体験学習プログラム」の「麦カルタ・ワークショップ」では「麦カルタ」や「上毛かるた」を子供たちと行い、近くの柳瀬川に場所を移して「麦料理教室」をしました。「麦料理教室」では大きな鍋に近所の少年少女も参加して麦料理「すいとん」を作って楽しく食べました。
 地域の生活者が「個人史」を聞き書きするというと、聞き書きだけを行うというのが「学」的方法なのかもしれませんが、「茶飲み話」をしながら、イベントや学習を行いながら個人史と地域史を発掘するという方法も有効だと考えられます。

 麦のカルタ教材開発  http://www.topicserv.com/IDEC/dtdispj.asp?no=31&var1=%E6%B4%BB%E5%8B%95%E5%AE%9F%E7%B8%BE&var2=lst_project2.html

 このように各地で地域学をはじめとして「野の学問」とでもいうような大きな流れがおきています。

  これが今までの地域に関する「学問」「社会科学」とはいくつか点で異なっています。

1.「学問」のための調査や在野の「学」ではなく、生活者が自分たちの地域や歴史を自ら調べていくものであるということです。

2.現在の民俗「学」や郷土史研究、フォークロア研究のように過去を回顧するのではなく、現在の地域のあり方を探るために歴史や由来を調べていることです。

3.客観的な「学」による事実の調査・真理の探究ではなく、現在の地域をどう再生するかという地域の問題解決も目的にしていることです。

4.研究者が対象と研究するのではなく、生活者が現場で現実をみて自分たちの問題として行うものであるということです。

 このような現場や畑でおこなう「野の学問」(フィールドスタディーズ)の重要性はますます高まってくると考えています



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