『S−Report』  10/16号  まち・コミュニケーション訪問 − みあこ−みなとフィールドスタディーズ−3 


 10月5日よりみあこ−みなとフィールドスタディーズへ出かけました。今回はその報告の第三回目です。

 阪神・淡路大震災の復興が本格的に始まってから神戸に行ったことがなかった。
 初めて訪れるまちのようだった。
 三宮駅前が分からなかった。
 南京街が行くのに戸惑った。
 商用でよく訪れたホテルの場所が変わっていた。

 そんな中、長田区御蔵のまち・コミュニケーション(まち・コミ)に顧問の田中保三さんをたずねた。
 きっかけは、一枚の写真だった。  そこで、田中保三さんはコンテナを使った事務所で小さな女の子と遊んでいた。

 実は、まだ、ビジネスをしていた頃、株式会社兵庫商会社長の田中保三さんとお会いしたことがある。
 その時の印象はタフなビジネスマンという感じだった。  

  私は直接の取引の担当では無かったので単なるただの印象である。  

 それにしても、その写真の小さな女の子と遊んでいる田中保三さんと私の知っている田中保三さんは結びつかなかった。
 写真バネルの側にいらしたまち・コミュニケーションの運営委員の田中貢さんに、私はそのことを訊ねて、機会があったら御蔵に行こうと思っていた。

 三宮でさえ大きく変わっていたのだから、長田は大きく変わっているのかもしれない、と思って出かけた。しかし、考えてみれば震災前の長田のことを私はどれだけ知っていたのだろう。

 長田をやたら歩き回って待ち合わせに遅れた私たちを田中保三さんは公園につくられた慰霊碑の前で待っていてくれた。
 それから、公園に焼けただれた電柱を残した事、ここの慰霊碑だけは住民が自ら工事を担当してつくったこと、そして、慰霊碑の仕掛けとそれに込められた意味を話してくれた。

 「阪神・淡路大震災まち支援グループ「まち・コミュニケーション」は、阪神・淡路大震災により、約8割焼失という大きな被害を受けた神戸市長田区御蔵通5丁目を拠点に、御蔵通5・6・7丁目町づくり協議会や御蔵通5・6・7丁目自治会の支援、共同化住宅再建支援、イベントの開催、勉強会の開催などの活動を行ってきたボランティア団体。コミュニティの再確立を目指す御蔵通地区のため、ボランティアだからこそできる行動、発想をもって、地域住民と手を取り合って地域のために貢献してきた。またボランティア自身も、地域と関わることにより、地域や社会を学び、成長してきた。
 ある大学教授が、まちづくりに情熱を燃やせるのは「よそ者と若者と馬鹿者」だといっていた。まちづくりという成果の見えにくい活動に携わるには、それなりの覚悟と根気が必要だということだろう。まちづくりを長年続けていくと、その活動が町の歴史の一部になる。よそ者であっても、地域の一員になれる。設立から今までに至る長く継続した活動のなかで、町の住民と同様、わたしたちボランティアも長田・御蔵の町に愛着を持っている。長田や御蔵の発展のため、自分たちにできることを探しながら、活動を続けていきたい。」

 まち・コミュニケーション   http://park15.wakwak.com/~m-comi/aboutus.htm#enkaku  

  私が「まち・コミ」について語れる事は少ない。ただ、震災後も残ったボランティアが地元の人と協働しながら新しいまちづくりを行っていることは知っていた。また、御蔵学校<地域で学ぶ勉強会>の果たした役割についても多少は知っている。  
 今回、共同再建住宅<みくら5>の一室で、<みくら5>を建てるために錯綜した土地の権利関係の調整や入居者の希望を叶えるための努力をついてうかがった。これはとても行政には出来ないことだ。

 そして、まち・コミはもともと復興支援のために印刷物や冊子などでコミュニケーションを図ることも目的としている。今は、8月から自治会を中心「御菅カルタ」を作り始めているそうだ。これは非常に重要なことだ。  見せたいものがあるからといって田中さんは私たちを御蔵のまちに案内してくれた。

 会う人会う人に田中さんは声をかけるし、声をかけられる。
 これがあって、慰霊碑も共同再建住宅も出来たのだろう。  
 まちは2×4住宅にあふれていた。
 多分地震に強く、適度に見栄えがよく、住み易い住宅だ。
 非難しているわけではない。
 私だって被災して住宅を再建するならそれしか手はない。
 が、落ち着かなかった。  震災前の御蔵の街並みがよかったと言っている訳ではない。
 ただ、しっくりこないだけだ。
 田中さんが案内してくれたのは集会所の建設現場だ。
 神戸ではどころでもコンクリのしゃれた集会場がたくさん出来ていた。
 2×4住宅と同じだ。

 田中さんが見せてくれたのは古民家であった。
 県内の香住町から住民の手で移築してきたものだという。
 この古民家の集会場をみてほっとした。
 ここにはまちがある。

 この古民家の工事も、基礎部分を除いて、住民とボランティア、そして、大阪の建築専門学校生の力で建てられている。
 住民が慰霊碑を自ら手でつくり、古民家を移築し集会場にする。
 人々のつながりを形にすることで、集会場が生きてくる。
 住民・市民主導の「復興」にまちづくりの原点をみた気がした。

 そして、最後に見せてくれたのは震災で半分焼けこげた木である。
 すぐ近くの電柱は火で溶けかかっていたが、この木は生きている。  
 この木と震災後全国各地から送られてきた苗木を生かして集会所のそばに公園をつくっているそうだ。

 生き残った木と住民施工で移築された古民家の集会場。
 
 私はこれ以上、神戸について何か言うつもりはない。
 ただ、一つだけ言いたい。
 震災の時「行政もまた被災者です」と言っていたことを覚えている。
 行政の誰がではない、行政の人の多くがだ。
 今、行政は被災者ではなく、統治者の顔を取り戻し、平然としている。
 必要なのは「統治」ではなく、被災から生まれた住民・市民主導の復興のまちづくりと協働する「共治」ではないか。
 これが、神戸では「よそ者」の「馬鹿者」である私の抱いた印象だ。
 これは馬鹿者の言うことであるから気にしないでほしい。  
 さて、馬鹿者は馬鹿者らしくありきたりのことわざで文章を終わりたい。  
 天災は忘れた頃にやってくる。

     WEB まち・コミ まち・コミュニケーション   http://park15.wakwak.com/~m-comi/

  地域情報研究所の講座・出展予定  

 
 □ 今後の予定について □

 エコプロダクツ2003  

 日時: 12月11日-13日  

 場所:東京ビックサイト
 
内容:今回、地域情報研究所(NGO)ではエコクリニックフェイシス・麻布大学環境政策学科の学生と「エコプロダクツ2003」に参加し、学生、NGOが子供や住民と共に地域、商店街において実施可能な方法で生きたエコプロダクツの活用を行うことを展示、発表します。

  エコプロダクツ2003の当ブース  
  http://xmldb.exism.co.jp/eco2003/search.asp?ID=85r0z
      
 

  本のおいしい食べ方  

 
  『本のおいしい食べ方』 作家きむらゆういち先生の講演とサイン会&読書が好きになるワークショップ

  とき:2003年12月6日(土)13:30開場

  ところ:プロミティふちのべ2F(JR淵野辺駅徒歩2分) 神奈川県相模原市鹿沼台1丁目9番15号

  参加費:小・中・高校生300円 大学生以上500円 

  定 員:90名(申込先着順)

  予約:本の学校『ファンタージエン』042-853-8844 メールでも可

  *木村裕一先生のへ質問、メッセージを書いて、当日会場の受付にお渡しくださ い。

13時45分〜14時20分  木村先生のお話 「あらしのよるに」シリーズ誕生秘話
                 *木村先生は「あらしのよるに」をある実験的な試みで執筆されました。

14時20分〜14時45分  木村先生への質問コーナー

14時45分〜16時     「読書へのアニマシオン」ってなあ〜に?
  木村先生の著作を使ってのアニマシオンワークショップ 『あるはれたひに』‥‥ガブのきもちは? 『おおかみのひみつ』‥‥秘密って何だろう? 『ウサギのおいしい食べ方』‥どうなる?どうなる?

16時〜16時30分     サイン会

☆ちょっと解説☆

「読書へのアニマシオン」という読書法は、25年ほど前にスペインで生まれた画期的な手法です。集団で読書を楽しみ、「読み」を深めて生きます。吉川自論は、読解力は文字を読むだけでなく、相手の気持ちや考えを読むことにもなり、「コミュニケーション力」を高めていくと考えています。

また、 12月22日(月)4時〜8時(相模原市内で詳しい場所は未定)に、外部講師を招いてアニマドール研修会を行います。 (アニマドールとはアニマシオンを行う人のことです)

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文楽ゼミナール&本の学校『ファンタージエン』   
 代表 吉川 和代
〒228-0807 神奈川県相模原市文京2−4−9 電話&FAX  042-853-8844
メールアドレス yoshikawa@bun-gaku.com
ホームページ http://bun-gaku.com

さがみはら教育応援団HP http://members.jcom.home.ne.jp/s-terakoya/

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