『S−Report』  10/16号  みあこフィールドスタディーズ− みあこ−みなとフィールドスタディーズ−1  


 10月5日よりみあこ−みなとフィールドスタディーズへ出かけました。今回はその報告の第一回目です。

 まず、京都ではALAN-Kプロジェクトの講演に行き、関係者とお話しました。

  ダイナプックのコンセプトを提唱し、現在のコンピュータの基礎を築いたアラン・ケイ氏は現在、京都でALAN−K(Advanced LeAning Network in Kyoto)プロジェクトをすすめています。
 ALAN-Kプロジェクトはアラン・ケイ氏が提唱している創造性育成の教育のためのSqueak(スクイーク)という言語を使い、進められています。Squeakによる教育はロスアンゼルスにあるViewpoints Research InstituteというNPOと、複数の学校で実践されています。

 このALAN-Kプロジェクトは京都大学21世紀COEプロジェクト「知識社会基盤構築のための情報学拠点形成」の一環として京都大学、京都市教育委員会、京都ソフトアプリケーションなどが協力し、京都市内の学校を中心に行われています。  

 今月5日、第2回ALAN−Kプロジェクト講演会「21世紀を拓くIT時代の教育に向けて」が京都大学21世紀COEプロジェクト主催で、京都市のぱ・る・るプラザ京都で開かれました。
 アラン・ケイ氏は基調講演「Real Children, Real Computing, Real Math, Real Science」の中で、ベースボールを学ぶよりプレイヤーを育てようと述べた。この意味は、今までの教育はベースボールのやり方やルールを教える教育で、学んだからといってベースボールをプレイするための教育が行われていたわけではないと。現在の教育では子供たちが知識として学ぶことはできても、知識を使って何かを行うことができなくなっていると主張しました。

  また、この中ではキム・ローズ氏によるSqueakによる教育のアメリカ・世界各地での取り組みや日本国内でSqueakの実践を行っているThoru Yamamoto氏、阿部和広氏、齋藤礼美氏の事例発表がありました。  
  そして、吉正健太郎氏(京都大学大学院)による京都のALAN−Kプロジェクトの報告がありました。京都では市内の御所南小学校、高倉小学校、京都御池中学校、堀川高校、西京高校でのSqueak教育の実践例や京都大学とUCLAを結んだ回線を利用した遠隔教育が紹介されました。
 とかく、この国のICT(情報通信技術)教育は、操作やソフトアェアの習熟など、狭い実用性に終始しがちである。ともすると、現在の教育では子供たちがICT知識として学ぶことはできても、それを使って何をするのかは考えられていない。  そのような状況の中、このような試みは重要で、これからの教育のあり方を示唆するものではないでしょうか。


 次に、「みあこネット」の隅岡さんにお話を伺いました。

 京都市内には市民自らが提供する公衆無線インターネットシステム「みあこネット」があります。  

  この「みあこネット」を運営しているのはNPO法人「日本サスティナブル・コミュニティ・センター」で、単に無線インターネットシステムを提供するばかりでなく、京都の地域でいろいろな活動に参加し、自らも企画しています。

 昨年は都の街中を着物姿にて散策し、コミュニティーFMとインターネット放送とのコラボレート番組を放送する「きものdeまちあるき 2002」イベントを行いました。今年の8月19日には「五山の送り火ネット生中継」を実施した。

 これ以外にも地域とたくさんイベント等を行っているが、今回はその中の「みあこネットで遊ぼう!プロジェクト」について今月6日、NPO法人日本サスティナブル・コミュニティ・センターの隅岡敦史さんに話をお聞しました。

 「みあこネットで遊ぼう!プロジェクト」とは

 「地域に密着した公衆無線インターネットツール『みあこネット』を使って、ひたすら遊ぶグループです。
 遊びを考えるなかで、だれでもできる遊びをする。
 地域の人たちとのコミュニケーション創造の場とする。
 常に最先端の取り組みをする。
 そして  楽しく遊ぶ。
 ことを頭にいれながら活動しています。
  特に、「みあこネット」プロジェクトを通して生まれてきたすばらしいツールをいち早く試す場でもあります。またビジネスとの関連性も広く考えながら、活動を行います」 サイトより

 と紹介されている。

 このプロジェクトには「みあこdeマップ」というまちを再発見するワークショップがある。ネット上で画像を掲示する「電脳画像細胞」と東京工芸大学笠尾助教授の「でかマップ」や「みあこネット」を組み合わせることで住民が地域を知り、コミュニケーションを取ることを狙いとしています。

 中でも8月24日に行われた「みあこdeマップin地蔵盆」が特に注目すべきものでした。
 これは京都の姉小路通りにある菊屋町で開催された子供の祭りの地蔵盆でおばあちゃん、おじいちゃんがGPS付デジタルカメラを持って自分たちのまちへの想いを撮影するというものでした。また、ペアを組んだ学生、若者がおばあちゃん、おじいちゃんのコメントを記録するという試みがなされました。
 写真が撮影されると「みあこネット」とつながっているGPS付デジタルカメラから画像が「電脳画像細胞」に送られサイト上に掲示されました。
 また、撮影した写真に「みあこネット」の会員はネット上で閲覧、コメントを書き込むことができる。  
  撮影から帰ってきた人たちは、デジタルカメラから写真を印刷し、壁に貼られた大きな紙の地図「でかマップ」に貼ってコメントを書いたり、「みあこdeマップin地蔵盆」に参加した人たち同士話し合ったり、想い出を語っているそうだ。

 隅岡さんによると、最初は子供たちとまちを創るワークショップを考えたそうだ。しかし、地域にいつもいて、一番知っているのはおばあちゃん、おじいちゃんであり、その知恵やまちへの想いを形にすることが重要だと考えて地蔵盆の一部で実施したとのことです。
 また、このことが「界隈」の再発見の一つになると同時に、地蔵盆でまちづくりを考えることになるという。  とかく、まちづくりやまちあるきワークショップはわざわざ地域の人に協力を要請するものだが、ここでは地蔵盆という行事のひとつとして「みあこdeマップin地蔵盆」を行ったことで自然な形でまちづくりイベントを行うことがです。

 そして重要なことは、直接参加できなかった人も、「みあこネット」を通じて様子を見たり参加する事が出来たということてす。

 今後、「みあこネットで遊ぼう!プロジェクト」は京都府木津町の「こどもエコクラブ」と組んで「こどもエコクラブ木津まち探検」を実施する。街中と違って木津町の自然の中で「みあこネット」がどう使われるか、そして子どもたちがどう遊ぶのか興味深いものがあります。

参考

・みあこネットで遊ぼう!プロジェクト http://www.miako.net/asobo/

・地蔵盆とは http://homepage1.nifty.com/heiankyo/jizou.html

・地蔵盆でまちづくりを考える http://43.245.176.158/jizou.html

・姉小路界隈を考える会 http://ane.cup.com/

・京都府木津町こどもエコクラブ「こどもエコクラブ木津まち探検」 http://www.env.go.jp/kids/ecoclub/index.html

・みあこネット http://www.miako.net/index.html

・特定非営利活動法人日本サスティナブル・コミュニティ・センター、 「日経地域情報化大賞2003」で「日本経済新聞賞」受賞 http://www.nikkei.co.jp/riaward/index.html

<今後の主なイベント> 2003年10月19日(土)13:00から3時間程度 「きものdeまちあるき2003 in嵐山!」


  地域情報研究所の講座・出展予定  

 
 □ 今後の予定について □

 エコプロダクツ2003  

 日時: 12月11日-13日  
 場所:東京ビックサイト
 内容: 今回、地域情報研究所(NGO)ではエコクリニックフェイシス・麻布大学環境政策学科の学生と「エコプロダクツ2003」に参加し、学生、NGOが子供や住民と共に地域、商店街において実施可能な方法で生きたエコプロダクツの活用を行うことを展示、発表します。
      
 

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