『S−Report』  5/22号   身近で生活を考えた技術 −21世紀のデザイン・ビジョン  


 不況なのに、いや不況だからどんどん新商品が発売されますが、これらの新商品が新しいからと言って必ずしも使う人のことを考えて使いやすくなっているかは疑問です。

 昨年、日本学術会議は設計工学シンポジウム「21世紀のデザイン・ビジョン」(主催:日本学術会議 人工物設計・生産研究連絡委員会、設計工学専門委員会 共催: 土木学会ほか63団体)を開催し、その後「21世紀のデザイン・ビジョンの提言」をまとめました。
 この「21世紀のデザイン・ビジョンの提言」が今月開催されたのシンポジウム「21世紀におけるものづくりのシステムデザイン」(主催:日本学術会議 共催:土木学会ほか63団体)で発表されました。

「21世紀のデザイン・ビジョンの提言」は下記の通りです。

提言1 ポスト工業化社会のデザイン概念の質的転換
提言2 つくる(設計・生産)ことから使う(生活)ことへ
提言3 ハードからソフトなサービスを含む社会・環境システムへ
提言4 多種多様な主体のコラボレーションによるデザイン
提言5 明示化されていない要求を含む条件を扱う高度デザイン支援システム
提言6 今後のデザインは生産者・設計者だけでなくユーザーも含む
提言7 これらデザインの研究の支援

 このように「21世紀のデザイン・ビジョンの提言」はこれからのものの設計や生活にとって重要な提言であり、このようなことが今後論議され、これを実現していくことに大きな意義があります。

 また、新商品だらけのデータショウと同時期に開催されている「IPA SPRING」(主催:特別認可法人 情報処理振興事業協会)の基調講演「ユビキタスコンピューティングとオープンアーキテクチャ/組込み」で東京大学情報学環坂村健教授も21世紀のデザインビョジョンを提案されていました。 

 その提案とは、生活に密着したものを対象にしてユビキタスなサービスの提供や商品化をすることでユビキタスネットワークを実現していくことです。
 坂村教授はこのようなユビキタスネットワークを実現するために必要となるハードウェアプラットフォームと、その上で動くリアルタイムOSやインターフェイスを「T-Engineプラットフォーム」として標準化し、その実現のため非利益でオープンアーキテクチャで「T-Engineフォーラム」を展開しています。
 T-Engineフォーラム  http://www.t-engine.org

 ソフトウェア、ハードウェアの企画・開発・販売に携わった私の経験からもこれらのビジョンの重要性はよく分かります。

 さて、「IPA SPRING」が開催されているビックサイトのカフェで子供を育てながらソフトウェアの開発や勉強している二人の女性とお話しました。このお二人が出合うことでプラスになればということで今回それぞれをご紹介しました。ここでは多くの重要なこと語られましたが、私なりに要約しますと下記の通りです。  まず、プロダクツ中心の技術から人の生活をほんとに考えた技術が必要ということです。

 確かに、「21世紀のデザイン・ビジョンの提言」や坂村教授のプランにも生活の重要性は言われています。  しかし、もっと具体的に、毎日の食事を作り、掃除や洗濯をし、子供を育てている人(男性でも女性でも)が構想するほんとに生活に根付いた役立つ技術をつくりあげていかなくてはということです。  

 私も新しい時代の技術・利用技術について考えてきました。  このレポートでもユニバーサルデザイン(2003/1/30号、他)やパターンランゲージ(2000/12、他)についてお話してきました。

 また、本年は、国連世界情報社会サミット(WSIS)日本NGO委員会(暫定)で「ヴァナキュラーなICT(Vernacular ICTs)」というものを検討しています。

  「ヴァナキュラーなICT[情報通信技術](Vernacular ICTs)」とは

 地域の実情に応じたベーシック・ヒューマン・ニーズに基づく技術
 それぞれの地域の実情に応じた価値を尊重し、その地域・人々になじんでいる適切な技術
 前記の戦略・行動計画への立案・決定過程(目標、手段、過程、評価、制度)・実施への人々の参加  
 地域・人々がNGOを含む市民社会とともに自主的につくりあげ、自らがコントロール(self-control)でき、自立的な(Self-supporting)ICTの活用戦略

 しかし、これらをさらに進めてもっと身近で生活を考えた技術をもっと進める必要があるのではないでしょうか。
 そのためには、健常者・男性中心的なテクノロジーパラダイムを生活者、特に女性の力で転換し、また、障害を抱えた人たち技術が現在のテクノロジーパラダイムを転換することで、身近で生活を考えた技術ができてくるだろうと思ってます。

 最後に今回もいろいろとお話を頂いた二人の女性に感謝します。

 付記  今週は、関満博さん(一橋大学教授)、中埜博さん(株式会社まちづくりカンパニー・シープネットワーク取締役)にもこのテーマについて直接的にいろいろとご示唆頂きましたが、未消化でここには反映できませんでした。
  これは次の機会に。

  公益法人改革の行革大綱  


  公益法人改革オンブズマンです。

  公益法人改革の行革大綱が、今月中にも閣議決定される見通しです。詳しくは5月17日付の朝日と毎日の新聞記事をご覧ください。
  非営利法人の検討対象からNPO法人と中間法人を除外し、原則課税の明記を避けたと報じられて います。 しかし、2〜3月に問題となった政府原案からNPO法人と中間法人を「一時的」に除外しているだけで、基本構造は全く同じです。 閣議決定前にしっかり釘を差しておかないと、政府の思う壺にはまり、反撃の余地がなくなるオソレがあります。

  何故、官製公益法人を突き刺す釘を出さないのか? それが原則課税なのか? そして、何よりも問題なのが、市民社会の設計図になるはずの原案が新聞報道を通じてしか示されないまま、政府与党が密室で協議している現実なのです。 日本の市民社会は、お上がクローズドで作った原案を受け入れることしかできないのでしょうか。
  大綱が閣議決定される今月末から、決定直後の来月以降の動きがとても重要になってくると思います。 そこで、公益法人改革オンブズマンは、閣議決定の予想される来週早々にも、政府事務局、関係閣僚、国会関係者に意見を申し入れます。

 以下が申し入れ文の骨子なのですが、是非、皆さんからご意見をいただいた上で完成したく存じます。 よろしくお願い致します。

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「公益法人改革に関する行革大綱への市民勧告(仮称)」

  公益法人改革に関する行革大綱が、今後、日本の市民社会のあり方に大きく影響することから、これまでの検討経緯を踏まえ、市民側から政府に対し閣議決定前に以下の勧告を行う。

                                                      平成15年5月  日
   
                                                    市民社会を担う有志一同と
                                                    公益法人改革オンブズマン


1 徹底した情報公開  

  今後の政府原案の検討に当たっては、議論は公開で行い、資料を含めて、即時にHPで公開すること。

2 オープンな議論

 制度利用者の声を集めるためタウンミーティングを全国的に展開すること。

3 市民の意見尊重

 今後、市民サイドで行われる議論の成果を政府の検討過程に最大限取り入れること。

4 議員立法

 民法改正を含めた法的措置は議員立法で行われること。

5 法人制度と税制の一体的検討

 法人制度と税制の検討は、行革事務局と政府税調がバラバラに行うのではなく、より上位の場で一本化して行うこと。

6 準則主義  非営利法人、公益法人、NPO法人は、準則主義で設立できるようにすること。

7 原則非課税  非営利法人は、公益法人、NPO法人、任意団体と同様、原則非課税とすること。

8 公益性

 行政庁や課税庁が法人の公益性を判断しないこと。

9 客観的基準

 非営利法人(非課税が前提)の公益性は税制優遇等を講じる際の一つの目安に過ぎないが、裁量の余地のない客観的な基準と  すること。

10 第三者機関の条件

 仮に第三者機関を設ける場合には、予算、人事面での政府の影響を排除し、その機能は情報公開と民間評価の支援を中心とする。
 事後チェックにより不正を発見した場合には裁判所の判断に委ね、自らは権限を発動しない。

11 寄付促進税制の充実

 新法人制度では、寄付所得控除、資金助成機関の税制優遇等、寄付促進のための税制の抜本的強化を図り、民から民への資金の流れを太くすること。

12 官民規制から民民評価へ

 市民社会の自治、自律を市民自らが確立し、支援する動きを尊重し、悪い法人を排除するための民間評価機関の設立運営を奨励すること。  
                            以 上

平成15年5月22日 公益法人改革オンブズマン <http://www.houjin-ombudsman.org/>

連絡先:info@houjin-ombudsman.orgご連絡下さい。


  第3回TantoTantoウォーク

 
<第3回TantoTantoウォーク>開催のお知らせ

  炭鉱のまちのルーツを探る小さな旅です!かつて日本一の石炭採掘量を誇った三池炭鉱。日本一までの道のりには、石炭の発見から何百年もの歴史がありました。
  今回のウォーキングは、炭鉱のまちのルーツである江戸時代の炭鉱関連施設や、市内に残る石炭層などを探訪しながらまちを巡ります。
  あなたも炭鉱のまちのルーツを探してみませんか! 参加者にもれなくルートマップとステキなおみやげをプレゼント!

<開催日>平成15年6月8日(日)小雨決行

<集合場所>大牟田駅JR口観光プラザ前

<集合時間>第1班:9時45分  第2班:10時15分

<定員>各班35名 先着順

<参加費>1,000円(マップ、おみやげ、保険料込み)   

 ファンクラブ賛助会員は特典として参加費無料!  
 小学生以下も無料!ただし保護者の同伴必要

<持ち物>昼食、飲み物、雨具、軍手、帽子持参。   
        歩きやすく汚れても良い格好で参加して下さい

<ルート概略と所要時間>
歴史ルート 約7km(アップダウン多少アリ)全行程約4時間 スタート:観光プラザ前→江戸時代の炭鉱関連施設、市内残る石炭層を探訪 →ゴール:三池地区公民館(各自大牟田駅行きバスをご利用下さい)

<申し込みフォーム(メールで以下の内容をお送り下さい)>
送付先:omuta-arao_fun-owner@egroups.co.jp 参加希望班:第1班か第2班で選択して下さい

氏名:
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