『S−Report』  5/15号  5月病なんて − 地域、社会で新たな関係を創り出す  − 淵野辺ボンバイエ   



 よく、5月病ということが言われます。新社会人や新入生がなぜか5月に無気力になるのが5月病だそうです。   5月病はだいたいゴールデンウィーク明けから発病して、重症だと新入生や新社会人はそのまま来なくなるとか。  5月病は入学・入社ということを目的にしてきた新入生や新社会人が当面の目標を失ったことや、直面した現実が自分たちが思っていたことと違い失望することが原因だと言われています。

 また、最近では新社会人の集合研修明けにおこる「6月病」や新入生の以前の5月病とは違う「新5月病」まであるそうです。

  「新5月病は身体症状や自己肯定の低さがあり,大学生活の不適応を起こしてしまいます。従ってその対策を行うのが大学の責務であります。そして学生が知識や思考法を身につけ,より良い創造的な人間へと成長することを行わなければなりません。
 対策としては第1に学力の向上を批判せず行う機関が必要であります。第2に身体症状や無気力の訴えに耳を傾けストレスの軽減を行い,学生の意欲を喚起します。第3に対人関係のあり方について学習し,研修する機会をつくらなければなりません。これらは個別性と集団性の両方を考慮した方法が必要であり,通常の科目授業とは別に行われなければなりません。これらの対策を併せて,総合カウンセリング体制とします。
 いま大学には中学,高校の問題がそのまま持ち込まれているのが現状です。その問題が緩やかな形で現れているのが新5月病と言えるのではないでしょうか。」

「”新5月病”対策に,カウンセリング体制の確立を」
  佐藤清公 日本大学総合学生部学生相談センター専任講師
 http://www.nihon-u.ac.jp/nunews/koho/kh452-18.htm

 カウンセリングの分野、特に学校カウンセリングや産業カウンセリングではこの「5月病対策」がこの時期の大きな仕事になっているようです。
 そのカウンセリングの内容の多くが5月病のカウンセリングを受ける本人の問題としてだけ捉えている中で、佐藤さんは受け入れる側の問題等を的確に指摘しています。もちろん、基本的には本人の問題なのですが、このように新社会人や新入生を迎え入れる側の問題も多分にあるように思えます。  

  さて、昨年もこのレポートでまちづくりを自主的に進める学生たち(2002/11/7号 「たんほぽの綿帽子のように」)や仕事とは何かを追求している若者たち(2002/8/29号 「巣立ちの宝箱 1年1組」) のような「自分で知識や思考法を身につけて」社会活動をしていく人たちを多くご報告してきました。

 その中に、2002/12/19号の「ともに学ぶ − 新しい民学協働」で御紹介した神奈川県相模原市の麻布大学環境政策学科の学生たちもいました。

  「麻布大学環境政策学科の学生は他学部他学科の学生や他大学の学生も巻き込みながら、座学だけでなく地域をフィールドにし、地域の人とともに学んできました。高校生に対する大学生の出前授業である環境ワークショップ、3月末に卒業生から不要な家財道具を無償で受け取り新入生に安価に販売するリユースリサイクル市、学園祭の容器を生分解性のものに変えたエコロジー学園祭、市民ともにまちの自然を探し自然に親しむ自然まちづくりの会、NPOでのインターンシップなど、多くの成果をあげてきましたし、今後もこのような取り組みを継続してゆきます。  このような活動を通して、学生だけでなく高校生や市民、行政、企業の人々とも交流をする機会に恵まれました。しかし、当たり前のことですが、人はそれぞれ多様です。学生を学生としてまっすぐに認めてくれる人もいれば、「どうせ学生だから」「どうせ学生の活動だから」と学生を見下し、下請け扱いしたり、約束を守らない人もたくさんいました。学生と対等な関係を創ろうとしない人々が多く存在しています。」

「淵野辺ボンバイエ依頼状」淵野辺ボンバイエ実行委員会  

(参考)環境政策学科の仮校舎   URL http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Labo/9153/  

  この活動の延長のひとつとして、麻布大学環境政策学科の学生を中心として5月31日に地域・学生・NPOの協働交流フェスティバル「淵野辺ボンバイエ」(淵野辺ボンバイエ実行委員会)が開かれます。

  この「淵野辺ボンバイエ」では学生の立場から地域・NPOとの交流を深め、学生・地域住民・NPOそれぞれの活動の幅と可能性を拡げるきっかけ作りを目的としています。そして、麻布大学のある相模原市淵野辺をリング(=共通の舞台・プラットフォーム)と見立て、地域住民や商店街、市内外のNPOが一同に会して議論を闘わせるものです。
 このレポートでも、「地域のパートナーシップ−参加という名の動員」(2/13号)や「若者は!?」(3/13号)で他人や若者に無理解な人々や自分たちが入学を許可した学生になんの対応もせず、ただ、「このごろの学生は基本のトレーニングができていませんね。」と他人事のように言うような大学教員に問題があることを指摘してきました。 しかし、「淵野辺ボンバイエ」を企画している彼ら、彼女たちはこのような大人の問題を跳ね返し、「淵野辺ボンバイエ」で「地域を知らない学生、学生を知らないNPO、NPOを知らない地域の無関心の連鎖を断ち切り、繋がりを紡ぐきっかけ創りを行うことで、淵野辺の活性化を図る」行動にでました。

 つまり、学生と対等な関係を創ろうとしない人々も含めて新たな関係を創り出そうとするばかりでなく、地域やNPOとの新しい関係を創り出すことを試み始めたのです。
 この「淵野辺ボンバイエ」の実行委員には今年入学したばかりの1年生が10人以上も参加しています。

 この1年生たちを見ていると「5月病って何」と言いたくなります。
 4月に入った新入生が企画の一部を立てたり、活動をしているんですから。
 5月病と呼ばれているものを積極的に捉えれば、新しいライフステージで「社会で自分は何者なのか」ということを問い直す時期だと言えます。この問い直しは新たな社会関係を創り出すための準備段階です。

 もちろん、普通に学校で学問を学び、サークルなどで熱心に活動している学生たちも5月病とは無縁でしょう。
 また、5月病に罹った人たちに学校がカウンセリング体制を整え、「対人関係のあり方について学習し,研修」すれば「大学生活に適応」できるでしょう。
 しかし、これらは大学生活に適応するという狭い意味で5月病を克服したということにすぎないのではないでしょうか。
 言い換えれば、大学という社会に適応しただけで、社会との関係はあまりありません。
 必要なのは「適応」ではなく「社会で自分は何者なのか」ということを問い直し、新たな社会関係を創り出すことです。  「淵野辺ボンバイエ」の彼ら、彼女たちは「大学生活に適応」するのではなく、「無理解・決めつけの大人」も含めて広く地域、社会での新たな関係を創り出そうとしているのです。

 「5月病対策」に象徴されるような学生や若者を社会や学校に「適応できるかどうか」のみで判断する従来の考え方や制度は現実に合わなくなっています。
 また、他人や若者に無理解な人々が学生や若者を批判するだけでは何も生まれてきません。

 これからは「適応」ではなく、相互理解によって「共にどのような関係を創り出せるか」が重要ではないでしょうか。

 最後に今回も淵野辺ボンバイエ実行委員会やその関係の皆さんや協力頂いたすべての皆さんに感謝します。
 
 しかし、淵野辺ボンバイエ!はこれからです。

  淵野辺ボンバイエ!  


   
 淵野辺ボンバイエ!  地域・学生・NPOの協働交流フェスティバル in 淵野辺 

    テーマ『淵野辺はリングだ。さあゴングをならそう。』

         http://www.cross-line.org/bom/   

 日時 5月31日(土) 10:00-18:00

 場所 麻布大学 9号館 学び場 (9201)語り場 (9204)遊び場(9203)
     神奈川県相模原市(横浜線矢部駅より徒歩4分)

[プログラム]

NPOインターンシップ相談会

 ゲスト  

  小林俊介(Earth Watch Japan 事務局長)  根本沙緒里(麻布大学環境政策学科3年生)   
  山崎由喜子(WE21ジャパン)           遠山あすみ(麻布大学環境政策学科4年生)

まちづくりTalk

 ゲスト

  山岸秀雄(NPOサポートセンター理事長) 藤原長俊(にこにこ星ふちのべ協同組合理事長)
  戸塚厚生(元公民館運営審議委員長)   金澤公輔(麻布大学環境政策学科4年生)

学生Talk ゲスト

  麻田卓哉(東京理科大学・自治会) 坂本徹 (麻布大学・エコロジー学園祭実行委員他)
  場助っ人(まちづくり市民活動を支援する学生NPO)

 フリーマイクパフォーマンス マイクで自由に発言・宣伝・パフォーマンス(要申込) お楽しみ会   

 子どもから大人までみんなが参加できるイベント ナイトバザールビンゴ  淵野辺名物ビンゴ大会 豪華賞品あり

 Mr. Xとは?  交流ブース   学生団体・市民団体・NPO・個人のブース DJ Time with Inoshin  Inoshin厳選ご機嫌なソウルナンバー 踊ろうゼイ! 自然まちづくりの会  うぐいす笛工作などを通して、地域の自然と親しもう

[スケジュール]

5月31日(土) 10:00-18:00  

 学び場(9201)

 オープニングセレモニー with 政岡学長
 10:15-10:25  NPOインターンシップ相談会        
 10:30-12:00 まちづくりTalk         
 13:00-14:45 お楽しみ会              
 14:45-15:25  学生Talk       
 15:30-17:00  語り場(9204)

 交流ブース 
      
 10:30-18:00  フリーマイクパフォーマンス        
 (随時) DJ Time with Inoshin       
 15:00-18:00  遊び場(9203) 自然まちづくりの会  

  入場無料・参加申込み不要  
 
 主催 淵野辺ボンバイエ実行委員会(委員長 河合圭輔 事務局長 村山史世)
 後援 麻布大学 相模原市

 公式サイト http://www.cross-line.org/bom/  
 お問合せ/042-769-1965 (Tel & Fax 村山)       
 f-bom-ba-ye@mail.goo.ne.jp (E-mail 木下)  
  ブースの申込、マイクパフォーマンスの申込もf-bom-ba-ye@mail.goo.ne.jp まで

  5月30日・31日の淵野辺ナイトバザールに出店するカンバッジ屋さんでも、ボンバイエ情報が入手出来ます。

  映画上映のお知らせ


  映画『NOEL』(ノエル)音声ガイド・字幕ガイド付き上映を追加実施

 【5月18日(日曜日)初回 12:45から上映します】 

 ●毎週火曜日に実施している「視覚に障害がある方のための音声ガイド」、「聴覚に障害のある方のための日本語字幕」つきの上映を、当初予定になかった18日(日曜日)に追加実施します。

 ●監督、主要スタッフ自身が心をこめて製作しました。 上映期間中にも、音声ガイド・字幕ガイドを「進化」させています。 みなさま、ぜひ足をお運びくださいませ!

 ●関連サイト  ○バリアフリー上映へ向けてのメッセージ  監督:梨木友徳  「なぜ、今回このような、字幕&副音声付きの映画を作ろうと思ったか・・・  見る、土俵にはみんなで立ちたい。私もその一員です。」

  http://www.annie.ne.jp/~umasaru/NOEL_BF/Message_D.htm

 録音:臼井勝  「・・・作品の意図はすでに僕たちの中にあります・・・
 ほんの少しだけ『ガイド(お手伝い)』する事を止めて、『表現』してみよう」   http://www.annie.ne.jp/~umasaru/NOEL_BF/Message_U.htm

 ○上映に関するお電話でのお問い合わせは、テアトル池袋 03-3987-4311まで。 
  テアトル池袋    http://www.thea-ike.com/no.html

 ○『NOEL』(ノエル)オフィシャルサイト    http://www.sabot6.com/

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  さいたまNPOセンター特別シンポジウム 

 
  あらためて考える、なぜNPOなのか?  ─公益法人改革論議からNPOの未来を語る─

【日時】2003年5月31日(土)14時半〜16時半

【会場】埼玉会館3C会議室

 この春「NPO法がなくなるかもしれない」というニュースがかけぬけ、多くのNPO関 係者が戸惑いました。  NPO法成立から5年、全国で1万を超えるNPO法人が誕生し、法の制定時には想定して いなかったさまざまな課題も見えてきました。「問題のある」NPO法人の登場、行政 改革にからんだ外部委託の対象としてのNPO、そして今回の公益法人改革の論議など、 少し立ち止まって長い視点で考えるべきことばかりです。
 そこでさいたまNPOセンターでは、あらためてNPOの社会的な役割や位置づけを問い、 「新しい公共」のあり方とそれを支える制度について多くの会員や市民のみなさまと ともに学び、考える機会として、本シンポジウムを企画いたしました。みなさまのご 参加をお待ちしております。

【パネリスト】  赤石 和則さん(さいたまNPOセンター 理事、東和大学国際教育研究所 教授)
          浜辺 哲也さん(経済産業研究所 総括マネージャー)  渡辺元さん((財)トヨタ財団 シニアフェロー)

【コーディネーター】 中村 陽一さん(さいたまNPOセンター理事立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授)

【定員】80名(お申込み先着順)

【会場アクセス】さいたま市浦和区高砂3-1-4 TEL:048-829-2471
※JR京浜東北線・宇都宮線・高崎線浦和駅西口より県庁通りを直進、徒歩5分
【参加費】1,000円(会員:500円) ※当日受付にてお支払いください。
【主催・お問い合せ/お申込み先】 特定非営利活動法人さいたまNPOセンター(担当:宮崎、西川)

〒330-0064 埼玉県さいたま市浦和区岸町4-25-15 小松ビル301 TEL:048-835-4311
 FAX:048-835-4312 E-mail:office@sa-npo.org  URL:http://www.sa-npo.org

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