『S−Report』  2/27号      地域を超えたパートナーシップ    −まちづくりのあらたな展開を求めて−10
                        −Building Partnerships for Sustainable Cities

 横浜というと、どのようなイメージですか。一般的には港町で昔からいろいろな国の人がいるイメージですね。
  
 その横浜の横浜シンポジアでシティネット2003「パートナーシップで築く国際協力〜持続可能な都市づくりを目指して〜“Building Partnerships for Sustainable Cities」 が2月1日から3日まで開かれました。

 シティネットは、アジア太平洋地域の都市団体を結んで、相互協力により、都市問題を解決しようとしている国際NGOです。
 正式名称は、アジア太平洋都市間協力ネットワークといいます。
 今、アジア太平洋地域の開発途上国の多くの都市では、急速に人口が増加し、 都市の規模が拡大しています。その結果、過密や環境汚染、都市基盤の不足の 問題が起きるようになって、それに対処するために必要となるコストが 増えています。 シティネットは、こうした都市問題を解決したり改善していこうと、都市や NGO・CBO(コミュニティ組織)が国際的に協力し合って いくためにできた組織です。
   http://www.citynet-ap.org/ja/intro/index.html
 
 1日目のワークショップは「企業と市民との接点-環境との共生をはかる企業の参画と挑戦」をテーマにした分科会1では国内のリコー、NEC横浜事業所、フィリピン企業Unilever Phillipinesの都市・地域環境保全活動が語られ、次に「自治体主導による事例報告-都市のサバイバル」をテーマにした分科会2では横浜市、バングラディッシュ・ダッカ市、インドネシア・スラバヤ市、名古屋市の特にゴミや都市環境の問題が発表され、「NGO主導による事例報告- アジアの環境破壊と都市貧困との連鎖」をテーマにした分科会3フィリピンNGO Linis Ganda、WE21ジャパン、地球の木、地球市民の会かながわのNGO主導のケースが提示されました。
 最後にこれらの報告を受けてファシリテーターとコーディネーターによるパネルディスカッションと総括がありました。

 ここで語られたことは、国際的にもNGO(非政府組織)とのパートナーシップが重要になっており、企業の主導のであれ、自治体主導場合でも、NGOは重要なパートナーとしての役割を果たしているということです。
 特に、アジア太平洋地域では自治体セクターや民間・企業セクターがNGOを信頼して、パートナーシップを組み、協働しています。バングラディッシュ・ダッカ市、インドネシア・スラバヤ市、フィリピン企業Unilever Phillipinesの場合でも、日本と異なりNGOが政策に関与して、非政府組織として政府ができないことを実施しています。
 これに比較して日本の場合はNGOが政策に関与することができず、行政の下請け的扱いでしかないと言う点が浮き彫りなりました。もちろん、日本のこういう構造でも下請け扱いを潔しとせず行政と距離を置き自立して活動しているNGOの例は多くあります。
 しかし、自治体がNGOを政策提言に耳を貸さず、下請け扱いすることへの反発が今回の会議では横浜市のNGOに対する扱いについて会場からも非常に厳しい提言が多くあったことの根底にあります。

 2日目の「自治体、NGO/NPO、企業からの事例報告」をテーマにしたシンポジウムでは韓国ソウル市による市民との協力による受益者負担によるごみ減量化対策、日本の市民による発意による湖と森と人を結ぶ霞ヶ浦再生事業アサザプロジェクト、フィリピン企業Unilever Phillipinesによる川や都市の美化キャンペーンの発表がありました。
 これらの発表を受けてパネルディスカッション「行政・NGO・企業のパートナーシップで国際協力をどう築くか?」では既に申し上げたようなNGO(非政府組織)とのパートナーシップを前提に国際協力の問題が話しあわれました。

 ここでも、フィリピン企業Unilever PhillipinesのGovernment(政府)、Private sector (民間、私企業等)、Civil society・NGO's(市民社会・NGO)のパートナーシップによる川の浄化活動が今後のパートナーシップのあり方として高く評価されました。
 Unilever Philippines  http://www.unilever.com.ph/environment_main.asp

 また、NGO(非政府組織)が政府・行政にはできないことを実施している例から、パートナーシップが語られました。特に、日本のアサザプロジェクトでは行政の縦割りを超えたNGOだからこそできる壮大なプロジェクトで、海外からの参加者から評価が高かったです。
 Asaza Project アサザプロジェクト  http://www.kasumigaura.net/asaza/  

 さて、「まちづくりのあらたな展開」の10は「地域を超えたパートナーシップ」です。
   国際協力というと政府間で行われるというのが一般的ですが、民際協力(民間国際交流・協力)でも文化交流や民間援助が行われています。しかし、今回、国際協力、民際協力でもない「地域を超えたパートナーシップ」について討議されたことの意義は大きいです。
 この「地域を超えたパートナーシップ」の基本は
 まず、国家や民間だけでなく、市民社会やNGOが直接国際協力をしていくことがもうあたり前のことであること(WE21ジャパン、地球の木、地球市民の会かながわ)
 次に、同じアジア太平洋地域で途上国であれ先進国であれ「先進」とか「途上」という違いや枠組みを超えて、ゴミや環境悪化や都市問題を同じ問題として捉えること
 そして、市民社会やNGOが自立して政策反映をしていく必要性は高まっていること。
 今までのまちづくりでは「地域を超えたパートナーシップ」は国際協力や民際協力として捉えられていたり、地域に住む外国人の問題が主なテーマでした。
 これからの「地域を超えたパートナーシップ」は持続可能な社会のために地球規模で解決しなくてはならない地球環境問題や都市環境・ゴミなど同じ問題をいろいろなセクターやNGOとの連携により地域と共に考え、それぞれの相手のやりかた学び合うようなパートナーシップになっていきます。

 最後に、川の浄化活動を政府や住民と行っているフィリピン企業Unilever Phillipinesの”ことば”でこのレポートを終わりたいと思います。  
 ”Who cares”  
 if all leave our children is a dead river  
 ”We Do” 

  誰が(川の)めんどうをみるのか。
  もし、私たちの子孫に残すものが汚れた川だけになってしまうとしたら    
  私たちがしなくては


  公益法人改革−東京・大阪 


 「公益法人改革・緊急討論集会!」   

  次回税調が開かれる3月4日の直前に開催し、公益法人改革の異議申し立てを議論します。
  あなたの参加がNPOの未来を変えます。

 ●日時:3月2日(日) 14:00〜16:00
 ●会場:主婦会館(東京都千代田区六番町15)
  ★JR中央線四ッ谷駅 麹町口 徒歩1分      http://www.plaza-f.or.jp/

 ●主催:公益法人改革オンブズマン設立準備会      http://www.houjin-ombudsman.org/
 ●共催:NPOサポートセンター      http://www.npo-sc.org/
 ●パネリスト: 石村耕治(白鴎大学教授、NPO税制)      
           中村陽一(立教大学教授、NPO論)         
           田中弥生(国際協力銀行参事役) ※笹川平和財団から出向中        
           山岸秀雄(NPOサポートセンター理事長)
                                      <順不同・敬称略>  
 ●参加費:¥1000(資料代、会場代実費として)
 ●お問合せ先: info@houjin-ombudsman.org
 ●賛同される方は → ombudsman@jcan.net            

  賛同署名まだまだ募集中です!

  今回の討論ポイントは、以下の3点です!

1.NPO法人の財務に関わる重要な問題が、当事者への十分な説明がないまま決定されようとしているのは何故か?
2.公益法人を“原則課税”とするに至った経緯は?その法則にNPO法人も巻きもまれる理由とは?
3.NPO法人とは、社会的にどのような立場にいるべきか?
   →法律の条文ではなく、現場で活動する私たちが、自分達の言葉ではっきりと伝えられるようになりましょう!

★資料作成等の都合上、シンポジウムへの参加を御希望の方は
  info@houjin-ombudsman.org まで、ご連絡をお願い致します。
   また、このメールは転送大歓迎です! 賛同されていない方の入場も可能ですので、 21世紀のNPOについて、みんなで徹底的に語り合いましょう。

☆★URLアドレス:http://www.houjin-ombudsman.org/ ★
☆新たに賛同される方は →  ombudsman@jcan.net ☆★
既に賛同された方は → info@houjin-ombudsman.org



緊急開催!
 2003年2月28日(金) 19:00

〜 公益法人制度改革の動きを知り市民活動の未来を考える緊急集会  

 主催:(社福)大阪ボランティア協会・NPO推進センター 共催: (特活)市民活動センター神戸 (特活)大阪NPOセンター 市民活動情報センター 淡海ネットワークセンター (特活)奈良NPOセンター (特活)大和まほろばNPOセンター (特活)NPO政策研究所 ※中間支援機関の共催団体を募集しています
  会 場 : 大阪NPOプラザ・会議室(大阪市福島区吉野4−29−20) http://www.onp.or.jp
  日 時 : 2003年2月28日(金)19:00〜21:00
  定 員 : 100名(先着順です!)
  参加費 : 500円/1名
  講 師 : 早瀬 昇(社会福祉法人 大阪ボランティア協会 事務局長)

  「NPOへの寄付金にも課税する!」 そんな制度改革が行われようとしています。 これは2月7日、政府税制調査会の非営利法人課税ワーキンググループで 財務省が示した改革案です。 現在、NPO法人は、法人税法で列記されている33種類の「収益事業」を 実施して利益が上がった場合にのみ課税されますが、 もし今度の改革案が実行されると事業の赤字を会費や寄付金でカバーした結果、 繰越金が発生した場合にも、この繰越金に課税されることになります。 「寄付しても税金でもっていかれる!」ということになれば、 寄付や会費を納めてくれる人が激減する可能性があります。 さらに、任意団体は原則上も収益事業以外は課税されませんから、 「NPO法人になると、税制上、損をする」ことになります。 改革案では、公益性の高い団体は「登録非営利法人」とし、 この場合は課税しない方針ですが、 その場合も従来の「収益事業33業種」の枠をとり、 対価をとる事業はすべて課税する案を提示しています。 今は課税されないボランティア講座などで譲与が出ても 課税されることになるのです。 このような改革が実行されると、NPO法人格を取得し 組織的に市民事業を展開しようという、ここ数年の市民の動きに、 大きくブレーキがかけられかねない状況さえ懸念されます。
 そこで、この問題を検討している政府税制調査会ワーキンググループの 会合が開かれる3月4日を前に、関西で集会を開き、 私たちの意見を政府に伝えようと考え、緊急集会を開催することにしました。 多くのNPO、市民一人一人の声が制度を動かす力となります。 ぜひ、積極的にご参加ください。

  ■お問い合わせ、お申し込みは 

  社会福祉法人大阪ボランティア協会・NPO推進センター (担当:吉田)
  〒553-0006大阪市福島区吉野4丁目29-20大阪NPOプラザ
  TEL:06-6465-8391 FAX:06-6465-8393 
  e-mail: ovnpo@onp.or.jp http://cw1.zaq.ne.jp/osakavol/



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