「思いやり」に課税? 公益法人改革オンブズマン設立 公益法人改革 NPO法人にも大きな影響 原則課税&300万円の基金設置 公益法人改革の動きが急です。これはNPO法人にも大きな影響を及ぼします。公益 法人、中間法人とNPO法人を一本化して、新たに「非営利法人」が設けられます。そして、非営利法人は原則課税という方針が、一般市民やNPO法人に原案の詳細も示さ れないまま、まもなく決められようとしています。しかも、NPO法人を作るためにも 300万円の基金が必要になり、NPOを設立するのが非常に難しくなります。 今週金曜日(21日)に政府税調の非営利法人課税ワーキンググループが開かれ、議論の骨格が固まってしまいそうです。改革の問題点を解説した下記の文章の事例をお読みいただけば、皆様の団体にも大きな影響を及ぼす“改革”であることをお分かり いただけると思います。 こうした切実な問題は、一部の関係者の議論で結論を出すべきではなく、幅広い市 民やNPO法人の意見を反映して十分に検討すべきだと、私たちは考えます。そのため に、市民の立場から税調や行革本部に対して建設的な対案を提示していく「公益法人 改革オンブズマン」の設立を幅広く呼びかけていきます。 公益法人改革は、早ければ3月半ばにも閣議決定されようとしています。公益法人改革に異議を申し立て、市民の側から対案を緊急に示すため公益法人改革オンブズマ ンを設立することにご賛同いただきますようお願いいたします。 賛同される方は、このメール末尾の欄にご記入のうえ、ombudsman@jcan.netにご返送ください。 公益法人改革オンブズマン設立準備会 田中秀一郎 安在尚人 前北美弥子 奥田穣太郎 緒方大輔 浜辺哲也 公益法人改革への対案提示 思いやりという「人間らしさ」、そこから税金を取るという改革案?の成立が迫っています。 「公益法人改革」は、一見、発展性のある改革案に見えます。身近なボランティア団 体を含む、NPO法人、そして公益法人。これらの団体の設立の条件であった行政の許 可や認証を、これからは、ある一定の法の規則を守れば、行政の許可や認証なしでも 設立できるようになるというのです。 しかし、そこには行政と税金のからくりが潜んでいます。 先に述べた公益法人、NPO法人、そして学会、同好会などが当てはまる中間法人の3 つを「非営利法人」として一本にまとめ、法人化への入り口を大きくします。そのかわり、そこに含まれる団体すべてに税金をかけようという仕組みが改革案?に盛り込 まれているのです。 つまり、行政の関与が「事前チェック」から「しっかり課税」に切り替わる改革案 ?なのです。 ここで、この改革案?によって予想される3つの問題事例を紹介します。 一つ目。戦争によって、多くの命が失われます。怪我をした子供や孤児のため、寄 付金を緊急に集めて、支援しようとしています。その寄付金が、税金の対象になりま す。 二つ目。一人で生活しているお年寄りや、体が不自由な方の介護をして、その方か ら僅かな謝礼金をもらう有償ボランティア。そのうちの6割が車椅子や介護に必要な 物に使う活動費になりますが、それも税金の対象になります。 三つ目。地雷除去ロボットの開発を進め、たくさんの人にこの開発の大切さを伝え ようと考えている任意団体。法人化するにあたって、唯一の収入である会費が税金の 対象になるということで内部の意見が割れ、法人化を見送ることになりそうです。 一定の要件を満たし、社会貢献性があるとされた団体は非課税という案があるよう です。しかし、社会貢献性の範囲が狭く解釈されたり行政や税務署が社会貢献性を判 断するなら、実態は既存の公益法人と変わらなくなります。また、非営利法人の設立には300万円の基金設置が必要という案もあるようです。 どう思われますか? このような改革案?が通れば非営利活動自体が縮小することは 目に見えて明らかです。特に、NPO法人の縮小は免れません。 今、政府が進めようとしていることは、課税という目先の利益の確保と、それによって生じるNPO活動の縮小であり、それは回りまわって、結局、行政が税金でしなけれ ばならない仕事を増やす結果になってしまうのです。 私達がしなければならないこと。それは、世界の人々を救う目的のお金を、行政が 課税という名目で取り上げるという、おかしな矛盾をなくすこと。そのためにはこれ を読んでくださっている皆さん全員の力が必要です。 私達は、「公益法人改革」において、NPO法人を「特定非営利活動法人」として原則非課税にすることが当然であると考え、公益法人改革に異議を申し立て、対案を示 そうとする者です。 これから1ヵ月間の公益法人改革の動きを徹底的に監視して、閣議決定でNPO法が 変な方向に歪められないようにしましょう!むしろ、市民の側から対案を積極的に提示していきましょう! そして閣議決定の後も、NPO法人やNPO税制が損なわれないよう、現実に制度改 正が実現するまで公益法人改革をオンブズマンするのです。 公益法人改革が行政や税務署に仕切られない形で実現するには、NPO法人が税逃れ や営利目的、行政癒着にならないよう、市民が監視役となる必要があります。 それが新しいNPO法人をチェックする市民によるNPOオンブズマン。 公益法人改革オンブズマンは、やがて市民によるNPOオンブズマンへと進むのです。 この趣旨に賛同される方、急いで手と声を上げてください。残された時間は後1ヵ 月。 活気に満ちた市民社会を選ぶか、沈滞した行政支配の社会を選ぶか、この国の浮沈を 握るのは、アナタなのです! ◆想定される問題事例1◆ 私は、東京都に拠点を持つ国際協力NPOの法人・アサイラムの会員です。中東で始 まった戦争によって生まれた孤児や怪我人を支援するため、私たちは現地に支援団を 送る準備を開始しました。インターネットの普及もあり、支援金が瞬く間に数千万円 に達する額が集まりました。 ところが、戦争悪化のため、現地入りができず、寄付金と共に、支援団も次年に繰 り越すことが決定。その手続きをしていると税務署からこんな通告を受けました。改 革案の施行により、対価性のない収入であっても課税はする。 パブリック・サポートテストが緩和されたことで認定NPO法人となり、活動の範囲 が広がると思ったとたん課税とは、行政は一体どういうつもりなのか…。 ◆想定される問題事例2◆ 介護保険の行き届かない、炊事、入浴、そして話し相手になったりと、助け合い活動 を続ける友愛ネット。介護するお年寄りから若干の謝礼金をもらい、さらによりよい 介護のため、その6割を友愛ネットがまとめて管理をしています。いわゆる有償ボラ ンティアです。 以前から、会員の中でケアハウスの設置を求める声が多くあったため、設置予定日に 向けて見通しを立てていました。利用者もそれを望んでいました。 しかし、その2日後、税務署からハガキが来ました。その内容は、原則課税なので、 剰余金の3分の1を支払ってください、というもの。税金の無駄は他にたくさんある というのに・・・。 ◆想定される問題事例3◆ けん君の家の両親は共働き。まだ、1歳と2ヶ月のけん君を、お母さんは、近くの NPO法人スクスクに預けて仕事に出かけます。働くお母さん支援のため、保母さんよ りずっと低い値段であずかってくれるし、子育てを経験している信頼できるおばちゃ んなので、お母さんも、けん君も安心です。 そんな中、税務署が、この活動は法人税法の収益事業に当たるから税金を払えと言っ てきました。同じ保育事業を営む社会福祉法人なさけの会は非課税というのに、おか しいじゃないかと税務署との押し問答が続きました。 なさけの会にはどうやらOBの理事がいるらしいとの噂。絶対負けられません。 ところが、公益法人改革で、NPO法人が原則課税になることが決まると、スクスクも 課税の対象となることが避けられなくなりました。これによって、活動が縮小するこ とは間違いありません。けん君のお母さんにこのことを話すと、とても残念そうでし た。こんなところから税金を取り、行政は一体なにを守ろうとしているのでしょう? ◆想定される問題事4◆ 上田教授は災害救助ロボットや、地雷除去ロボットなど人の役に立つロボットの研究 をしてきました。長年続けた甲斐があり、各分野の学会員とのネットワークも広がっ てきました。そんな時、年に1度行うシンポジウムで、さらに活動を広げるために、 法人化し、企業にも情報提供してもらったらどうかという案がでました。 上田教授はそれに応じ「NPO法人ピース・ロボ」設立のため動き出しました。 公益法人改革の実施が決まったのが、その3日後でした。唯一の収入である会費は課 税の対象とされ、さらに、社会貢献性の判断は課税庁の独断。不当な行政の介入に戸 惑った学会員が法人化に反対しました。上田教授は、いい方法も模索していますが、 目処すら立っていません。 …………………………………………………………………………………………………… 公益法人改革オンブズマン設立に賛同します。 (団体で賛同される方) 団体名 担当者氏名 TEL e-mail (個人で賛同される方) 氏名 所属(差し支えなければ) TEL e-mail ◆返信先:公益法人改革オンブズマン設立準備会(ombudsman@jcan.net) どうぞ、よろしくお願い致します 田中秀一郎さんより