『S−Report』  2/6号   コミュニケーションする権利 − WSIS(AP)東京その後
 
  今年度の”e-tiiki.net 03”では情報の交流による共有を図るためいくつかのプランを実施しています。
 このレポートでも展開させて頂いていますが、まちづくり、NGO・NPO・各種市民活動の情報共有のために情報プラットフォームを計画し、その一つとしていろいろな地域メディア・NGO・NPO・市民メディアとの連携があります。
 今回のテーマでは許可を得て「週刊まちづくり」に掲載されたWSIS(AP)東京のコラムを転載します。WSIS(AP)東京(「世界情報社会サミットWSIS」アジア・太平洋地域会合)については1/16号でも御紹介しましたが吉村さんのコラムは重要な問題提起を含んでいます。また、その後の問題についてもおおくりします。  

  新・つれづれなるままに (その1)  <吉村輝彦> 

  さて、年明け最初は、世界情報社会サミット・アジア地域会合に出席しました(1/13〜15)。これは、2003年12月ならびに2005年に開かれる「世界情報社会サミット(WSIS)」に向けたアジア・太平洋地域の会合です。 アジア・太平洋地域の43カ国、国際機関・地域の代表や企業のほか、116のNGO・市民団体が参加し、来るべき情報社会に向けて、アジア・太平洋地域の視点からICT(IT)の議論が行われ、最終的に東京宣言が採択されました。
→http://www.wsis-japan.jp/

  僕自身、国際機関枠で参加したのですが、そもそも、こういった国際会合(学会とかではなく!)に出るのが初めてだったので学ぶことが多々ありました。
  まず、国際会合の場は、ポリティカルな側面を持つということ。中国の代表団が台湾NGOの参加問題をとりあげ、また、一つの中国論も言及され、それに対していくつかの代表団がそれを支持する旨の発言をするなど。その結果、スケジュールが大幅に変更され、本会議は、4時間以上もストップすることに。

 この地域会合の特徴は、NGOの参加(オブザーバー)にあったのですが、この紛糾の中で、インフォーマルな存在として位置づけられることに。この問題の中で、それぞれの国が市民社会をどのように捉えているのかが、垣間 見れました。と同時に、こうした国際会合での議論の進め方のしたたかさも。

  ところが、こうした話やそもそもこの地域会合自身、一部のメディアを除いて、それほど取り上げていない感じで、小泉首相のわずか5分間の滞在の時のステイトメントを取り上げるだけなど、はたしてこれでいいんだろうか?という疑問も感じました。

  会合自体についても、確かに重要な会合なんですが、どうも情報通信技術(ICT)や今後の情報社会を扱いながら、その扱っている範囲はかなり限られているんじゃないの?という疑問。
  そもそも、ICTをどう地域づくりに結びつけるの?という関心はあんまり感じられないところも。

  実際のところ、本会合の前に国連大学で行われたサイドイベント(1/11〜12)の方がよっぽど学ぶことが多かった気がします。これは、NGOやCivil Societyが企画したものと世界銀行が企画したものがありました。僕自身は、世銀主催のコミュニティ情報センターはどう人々を力づけるか、というワークショップに参加しましたが、こういう視点をもっと本会合でも考えるべき。

  この地域会合では、展示会も併設されていましたが、ここは、次世代の携帯の宣伝合戦的なところもあって、全体としてこの5日間を見ると、その国、国際機関、NGOや市民社会、企業の特徴が出ています。しかし、これからの情報社会に向けた展望や想いは必ずしもうまく共有されていないのでは?と感じざるを得ないところです。

  日本では相変わらずITといっていますが、僕はICT(Information and Communication Technology)がいいと思います。世界的には、こちらが共通用語ですし。やはり、コミュニケーションこそが大切で、それをいかに地域づくりに結びつけるかが課題なんだろうと思います。

  次回は、同じ週の金曜日(1/17)に参加した、愛知県で開催された地域ポータルサイトセミナーについて書こうと思います。                   

  吉村輝彦@国連地域開発センター

   「まちコラム」 「週刊まちづくり---Weekly Machi-Zukuri---」第188号 03/01/26  

   週刊まちづくり  http://member.nifty.ne.jp/Teru2/w-machi/

  コミュニケーションする権利 − WSIS(AP)東京その後

 
  国連大学で行われたサイドイベントやWSIS(AP)東京(「世界情報社会サミットWSIS」アジア・太平洋地域会合)でも、NGOは様々な点から情報社会への新しい提案をしてきました。

 それは主にコミュニケーションする権利についてです。

 コミュニケーションする権利とはICTや多様なメディアにアクセスしたり、そこから情報発信することを人の基本的な必要性(Basic Human Needs)つまり、「衣食住、初等教育、医療衛生、安全、生活基盤分野」の一つとして捉えて権利として保証していくことです。
 
  詳細は下記をご覧下さい。

 ”Summany of the NGO/Civil Society (Panel V)”
 Doc.C-49  The World Summit on the Information Society Asian Regional Conference
 http://www.wsis-japan.jp/documents/c-49.pdf

 また、ここで採択された「WSIS東京宣言」にもこのことが加えられました。

 "The ToKyo Declaration - the Asia-Pacific to WSIS non Paper"  
  Doc.C-36  The World Summit on the Information Society Asian Regional Conference  
  http://www.wsis-japan.jp/documents/tokyo_declaration.html  

  しかし、残念なことに最近このWSIS(AP)東京にマレーシアから参加したNGOの人が関わっているネット上の新聞が警察の捜査を受けて強制的に停止されました。

 ”Malaysiakini”というところで「マレー人優遇主義」への批判を書いた投稿を掲載したことをマレーシアの与党UMNOの青年部から告発され警察により機器やデータを全て押収されて一旦運営不能に陥りました。現在は、復活しましたが主要な機器は返却されず、”Malaysiakini”は社会・経済的に困難に陥っています。
  http://www.malaysiakini.com/

 WSIS(AP)東京に参加のNGOを中心にして作成した声明文が表され、マレーシア政府に送付してあります。
 http://www.wsisasia.org/malaysiakini-statement/malaysiakini.html

  Asian Civil Societies' Response to the World Summit on the Information Society  
  http://www.wsisasia.org/  

1/16号でお伝えしたように、WSIS(AP)東京でも「このようにまだいくつかの国が「批判的な市民団体の参加を防ぎたい」という現実があります。そして、一部の国々の政府代表が国家利益によって市民社会やNGOの活動を認めないということが明らかになりました。」が、実際に各国でも、コミュニケーションする権利の確保はされていません。  

 最後に、再び、”WSIS 4 ALL”ということを申し上げ、実行していきたいと思います。 

 "The World Summit on the Information Society For All" 「世界情報社会サミットはNation (国)、International organization(国際機関)、Private sector (民間、私企業等)、Civil society・NGO's(市民社会・NGO)の4者すべてのためのものである。」 と同時に

  「世界の情報社会はNation (国)、International organization(国際機関)、Private sector (民間、私企業等)、Civil society・NGO's(市民社会・NGO)の4者すべてのためのものである。」  

  また、転載を快諾頂いた「週刊まちづくり」と吉村さんに深く感謝します。

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