『S−Report』  1/9号  新しい社会起業ーここがSEXY! − まちづくりのあらたな展開を求めて−5


  須子はるかさんから年末にこんなメールを頂きました。

  こんばんは  須子はるかです。
 今日はこのたびメールマガジンを発行することにいたしましたので、そのご案内です。
 『Passion in Action! 社会起業家達の挑戦』というもので、よりよい社会を創リ出すために、革新的な方法で情熱的にそして戦略的に取り組んでいる社会起業家スピリットに溢れた企業/NPOを世界中から紹介します。

 具体的には、環境、福祉、人権、教育、地域活性化、中小企業支援など幅広い社会的ミッションを掲げている魅力ある注目企業/NPOをとりあげていきたいと思います。

 もし、少しでもご興味がおありでしたら、下記URLからご登録が可能です。

  基本的には週一回のメール配信を行う予定です。
   http://www.himawarhythm.net/mm/index.html

 私は来月からアメリカのNGO経由でブラジルにボランティアに行く予定にしております。
 6ヵ月後にどうなっているのか想像もつきませんが、前向きにがんばりたいと思います。
 それでは、よろしくお願いいたします。

○今号のPASSION IN ACTION:
  The Green Institute(Minneapolis, U.S.A.)

○事業/活動内容:
  The Green Instituteは、リサイクル可能な建材や部品を売るThe ReUse Centerと、人手による建物の解体により雇用を生み出しかつ建材をリサイクル可能な形で残すという「DeConstructionService」を手がけている。 もともとは、住宅街に計画されたごみ処理場建設への反対運動から生まれた組織で、現在その予定地だった土地にはEco-Enterprise Centerという自然の力を生かした冷暖房や100%の雨水利用などの工夫を兼ね備えたエコビジネスセンターが建っている。
 この建物、もちろんリサイクル建材で建てられたのは言うまでもない。

○戦略/モデル:

 人の手によって建造物の解体作業を行うことにより、リサイクル可能な建材を救い出す
 上記解体で手に入れた建材や、別途買い付けた『ごみ』を再生させ、リサイクルショップあるいは解体現場で売る !!
 上記の戦略で生み出される価値とは!! ごみになるはずのリサイクル建材を売って発生する収入には税金がかからないため、解体サービスを利用するメリットがある

 人が解体に携わるため、雇用が増える ごみが減少する
  これから家を建てる人にとっては、安い建材を手に入れることができる

○ここがSEXY!:

  The Green Instituteが面白いのは、もともとビジネスをしようと思って始まった組織ではないところだ。ごみ処理場建設への反対運動から市民の意識が高まり、リサイクルショップの運営や、そのショップへのサプライを維持するための解体サービスまで作ってしまった。 これは、反対運動が成功したことにより、「自分達でも社会を変えていける」という自信が市民の中に根付いたことが大きいのではないだろうか。
  また、「ごみをリサイクルしましょう」とはよく使われる言葉だが、リサイクルに出す側もリサイクルする側もあまり得したなぁ!という感覚を得ることはない。

 それはリサイクルに出した瞬間に発生するわかりやすい利益がなかったり、リサイクルされた商品自体特別に安価になることが少なく、お得感がないためであろう。

  その点The Green Instituteを通してリサイクルすると税金面で優遇されたり、次の家のための安価なリサイクル商品が手に入ったりする。特に建材なんかは直接目にするわけではないのだから、同じ機能であれば安いほうがうれしい。さらにリサイクルをするThe Green Instituteも安い調達が保証されているようなものだから、安定した商売ができるというものだ。 リサイクル商品を考えるときに、値段、機能、デザイン性などを総合して元々の商品よりも優れているかどうか、というのはひとつの指標になるのではないかと思う。

  ○リンク: http://www.greeninstitute.org


  須子はるかさんへ

 社会起業スピリットに溢れた企業やNPOを紹介するというのは重要ですね。
 日本では企業起業とNPOの創出は別のものと捉えられ、分けられています。
 世界ではそんな区別などある意味あまり意味がなくなってきた部分もあります。
 その意味でもThe Green Institute(Minneapolis, U.S.A.)の事例はおもしろかったです。

 日本には民家リサイクル協会というのがありまして、もちろん研究もしますが主体は民家のリサイクルです。  会員の多数にゼネコンなどではない、工務店の皆さんが参加していてきちんとしたプロの技を発揮しています。
 もちろん、施工を御願いする人たちも確かな腕を持つ工務店さんが関わるからこそ御願いするのです。
 日本のこのような試みの大半は、頭でっかちな現場を持たない人によって行われ、理念を唱えるのみです。そして、「日本では、理解がない!!」とつぶやくという・・・
 アメリカの場合は市民といっても具体的実行力や社会起業家スピリットを有しており、このような活動が市民から行われるのでしょうね。

 地域通貨の理論家であり、実践者のリエターが来日した際に彼は日本の中小の建設業の心ある人たちの団体の求めに応じて講演をしました。

 その中で、リエターは法定通貨で利子を払い作られている住宅や建物はその大半が利子であり、もし、利子を前提としないやり方で建てられていたらそうとう安くなると言っておりました。

 The Green Instituteでも方法は違っても同じ効果が期待されますね。
 ここでも、日本の中小の建設業の心ある人たちはこの点と地域通貨について真剣にディスカッションしていました。

 先日、これにバネラーとして参加していた地域通貨の第一人者の嵯峨生馬氏と話したところ、リエターが来日の中でこのイベントが一番おもしろかったといってました。

 さて、「まちづくりのあらたな展開」の五つめは「新しい社会起業」です。日本では企業起業(ビジネスベンチャー)とNPOの創出やコミュニティビジネスはまったく別のものと思われることが多いですが、いろいろと重なる部分が多いです。そして、企業起業(ビジネスベンチャー)とNPOの創出やコミュニティビジネスとの違いも単に営利か非営利かという問題ではありません。むしろ、これらを広く「社会起業」としてとらえて連携していくことがこれから重要になってくると思います。  

  そして、私たちの考え方も、いろいろなものを”SQUARE”(四角四面)にとらえるばかりでなく、いろいろなことを”SEXY””CUTE”にみていくことがとても重要ではないでしょうか。


 ”Passion in Action!”の紹介  
 
 はじめまして。『Passion in Action!』に興味を持っていただいてありがとうございます。

  このメールマガジンは「社会起業家」という、独創的かつ革新的な手段とビジネス的スキルを組み合わせることにより一方で収益をあげながら、社会的な価値を創造する人や組織を紹介していきたいと考えています。

 このメールマガジンは、以下の点を達成することを目的として発行しております。

1)社会起業家の革新的な事例を紹介することで関連分野の知識を深め、アイディア・インスピレーションを誘発する
2)各事例から独自の戦略/工夫を抽出することで、応用の可能性を模索する
3)世界中の『熱いエネルギー』を集め、増幅し、共有することによって同様な問題・テーマに興味のある人の意見交換、ネットワーク拡大を促進する

 『Passion in Action! 社会起業家達の挑戦』の申し込み先

 http://www.himawarhythm.net/mm/index.html

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