エンジン分解2
ヘッドやシリンダーの状態をもう少し詳しく観察してみよう。ヘッドの状態は、あまり良い状態とは言えないが、まあ良しとしよう。INバルブが湿っているのはオイルではなくガソリン。EXバルブは良い焼け具合。
アルミヘッドで懸念だったバルブシートであるが、ちゃんとシートリングは打ち込んであった。新品の時は色の違いがよくわからなくて、リングが打ち込んであるかどうか判別できなかったようだ。それだけこのヘッドの造りがよかったと言える。今回、リングに磁石でも当てて材質を確認すればよかったのだが、今となっては後の祭り。またいつか分解した時までおあずけなのだ。トリックフローのリペアパーツとしてタングステンのシートリングを売っているので、タングステンだったということにしておこう。それを裏付けるかのように、シートの摩耗、広がりなど全くなく、相当固い材質であると思われる。なにせ、シートカットした切削痕が残っているくらいだったのだ。申し訳ないことに写真に撮ってない。
ヘッドの燃焼状態次にヘッドを外したことで露わになったシリンダーを見てみよう。以前分解したときは、クロスハッチはしっかりと残っていたと記憶しているのだが、今回は8シリンダーとも摩耗が顕著だった。傷は入っていないが、シリンダー上部でクロスハッチが所々消えていた。前回使ったリングのテンションが強かったのだろうか?それとも10万キロも走るとこんなもん? まぁ、これも軽くホーニングしてクロスハッチを入れるので問題なし。
シリンダーウォール次にリフターを抜いておいてカムを外す。ボコボコぶつけないように、ギアを付けて抜きやすいようにする。
ギアを持ってそっと抜く
完全に抜き取った状態ここで問題発見。カムギアのスラストベアリングがずれてしまっていて偏摩耗していた。ギアドライブではチェーンドライブと違い、カムが前後に動いてしまう。これを防ぐためにギアとチェーンカバーの間にスラストベアリングを付けてカムが前後に踊らないようにしてある。このベアリングとは別にギアとブロックの当たり面に銅ワッシャのベアリングが入っているのだが、先のカムベアリングのクリアランスが大きかったようで、銅ワッシャがギアから外れてずれていた。幸いワッシャーの段付き摩耗は修正出来る程度だったので、修正後再使用した。
偏摩耗してしまったスラストワッシャー外せる物はどんどん外す。次にカムのドライブギアを抜く。汎用のプラーを用いれば簡単に抜くことが出来る。この時注意することは、クランクのネジ山を潰さないように、何か当ててやることだ。ハーモニックダンパープラーのアダプターなどを用いる。
ドライブギアを外すピストンを抜きにかかるが、クランクを回せるようにSSTを用いる。これで抜きたいピストンのコンロッドを外し易い場所に回転させてやる。
クランクローテーションコンロッドのキャップを外したら、ピストンを抜くときにクランクジャーナルやシリンダーに傷を付けないように、ボルトにカバーを掛ける。内径3/8インチのホースなどでもよい。
ロッドボルトにカバーを付ける準備が出来たらピストンを抜く。リングのテンションが十分残っていれば、勝手にピストンが落ちてしまうようなことは絶対にない。ピストンやロッドをハンマーの柄などで軽く叩きながら抜いていく。このときクランクが邪魔になって真っ直ぐ叩けないので、ピストンを斜めにしてしまってカジらせないように注意する。左右交互にうまく叩き出す。
ピストンを叩きながら抜く