エンジン分解3

 ピストン・コンロッドが抜けたところでクランクの取り外し。メインキャップを外して静かに持ち上げる。重量は20kgくらいあるだろうか?。メインジャーナル、クランクジャーナルともに目立った傷はない。前回サイズ違いのベアリングが入っていて傷だらけになっていた箇所があったはずなのだが、その傷も殆ど目立たなくなってしまっていた。ペーパーで修正したときに上手く処理出来ていたのだろう。
 それよりも、メイン・ロッドともベアリングのアタリがイマイチ。焼き付きではないだろうが、まだらに剥離していたり、片当たりしていたり。まぁ、ジャーナルに損傷がないのでよしとしよう。


ジャーナルには目立った傷はない


クランクを外しブロックのみに

 ブロックだけになったところで、カムベアリングを抜く。この作業にはSSTが不可欠で、無いと作業できない。スナップオンなどでカムベアリングプラーは売っているが、それはもう強烈に高い!色んなサイズのアダプターが入ったセットだと7万円弱。わずか一回カムベアリングを抜き差しするだけで7万円も出費はできないのだ。
 そこで、SST製作。全日本スーパーバイク選手権でもトッププライベートチームとして活躍する友人の某バイクショップにお願いして、鉄の丸棒から削り出してもらった。ベアリングの内径と外径に合わせて段を付けたアダプターに、棒が刺さるようにしたものだ。


SSTでベアリングを打ち抜く

 カムベアリングは前回のエンジン搭載状態でのオーバーホールでは交換することが出来なかった。ここだけは20年以上無交換ということになる。抜いたベアリングは、やはりひどい状態。ソフトメタルのコーティング層は完全に剥離してなくなっていた。今回用意した新品のカムベアリングは引き抜きで作られており継ぎ目などは無いのだが、取り出されたベアリングを見ると板を丸めて作った継ぎ目が見える


抜いたベアリング


ボロボロになっていた

 次にシリンダーのホーニングである。回転方向のシリンダーウォールはクロスハッチがなくなっていた。また、リングの合い口部分に縦傷、カジリなどが見られた。本来ならボーリングしてオーバーサイズピストンを入れるのが正攻法だろうが、前回オーバーホールしたときにまだまだイケルと判断していたので、オイルストーンでホーニングするに留めることにした。と言うより、先にSTDサイズのピストンを用意してしまっているのでボーリングは不可能だったのだ。
 電動ドリルにフレックスホーンを取り付けて、オイルを塗布しながらクロスハッチの角度が約60度になるように上下させる。コードレスドリルを用いれば回転数が制御できるので都合がよい。普通の電動ドリルでは回転数が高すぎるだろう。


クロスハッチはすっかり消えていた


コードレスドリルで作業する


オイルを塗布しながら回転&上下移動




ホーニング前


ホーニング後

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