今月の葉っぱ
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2006年

コナラ
ブナ科コナラ属の落葉高木
<所長の私見>コナラの紅葉は何色だろうか。黄色? 橙色? 拙宅周辺では12月になってコナラの紅葉が見頃を迎えており、夕陽に映えて美しい。特に逆光に当たると輝くような黄金色に見え、ブナの紅葉にも劣らない美しさと思う。けれども、地面に落ちたコナラの葉を見渡してみると、色褪せた茶色い葉っぱばかり。そう、これはナラ類やブナ類全般に見られる傾向と思う。枝についているときは比較的鮮やかなのに、地面に落ちると目立たない。だから、カエデの紅葉を拾う人はいても、コナラの紅葉を拾う人は少ないだろう。そんなコナラの落ち葉の中から、ちょっとでも黄色や橙色が残っている葉を拾ってポケットに入れる。自宅に持ち帰って取り出してみると、また一段と茶色くなっていた(2006年12月)
シラカバ
カバノキ科カバノキ属の落葉高木
<所長の私見>シラカバといえば、誰もが知っている樹木の代表格。名の通りの白い幹が覚えやすく、子供の頃から何となく知っていた。お菓子などのパッケージにもよく使われている気がする。何も知らない頃は、「白い株」の意味と思っていたが、正しくは「白い樺」、樺(かば)とはカバノキ属の仲間を指す。シラカバは、冷涼な別荘地帯や観光地に行けばたくさん見られる印象がある。関東人にとっては、軽井沢、蓼科、清里、尾瀬、那須など。こうした場所は元々シラカバが多く自生する上、庭や町中にもよく植えられているようだ。ところが、シラカバの分布域は中部地方以北。同じく別荘地帯に多いカラマツも中部地方以北だ。では、西日本の人たちにとって高原を象徴する木は何なのだろう。今度、西日本の別荘地帯を訪れてみよう(2006年10月)
ウルシ
ウルシ科ウルシ属の落葉高木
<所長の私見>単なる「ウルシ」は珍しい、と思っていた。身近な山野に生えているのは全部「ヤマウルシ」だと。ところがここ数年、ヤマウルシにしてはずいぶん背の高い個体を、結構な頻度で見ることが気になっていた。ヤマウルシはせいぜい樹高5m前後、幹径は太くても10cmほどなのに、その木はゆうに10mを超え、幹径は30cmにもなる。ヤマハゼにしても背が高いし、小葉も丸すぎだ。そいつが「ウルシ」ではないかと。そんな疑問を抱いていた先ごろ、初めて「標本庫」なるものを利用し、「ウルシ」なる標本をいくつも見てみた。これまで標本というものに触れたことなかった私にとって、干からびた葉っぱは決して特徴を掴みやすくはなかったが、新鮮だった。その後、野外で再び見かけた「ウルシ」らしき個体の葉を手に取り、「ウルシ」と確信した(2006年9月)
ノウゼンカズラ
ノウゼンカズラ科ノウゼンカズラ属の落葉つる性木本
<所長の私見>とある図鑑に、ノウゼンカズラは「夏の樹の花ベスト10に入る」と書かれていた。ふむ、それは納得だけど、個人的にはベスト5に入ってもいいと思う。サルスベリ、キョウチクトウ、ムクゲあたりがベスト5を固めるのではなかろうか。もっとも、いずれも外国産の庭木ばかりなのだが。花が少ないといわれる盛夏とはいえ、よく見渡してみると意外といろいろな花が咲いている。クサギ、リョウブ、ムラサキシキブ、ヒペリカム類、エンジュ、フヨウ、ハマナス・・・このあたりがベスト10候補だろうか。私は花にはあまり興味がないが、情熱的な夏を感じさせるこうした花々は嫌いではない(2006年7月)
オオバウマノスズクサ
ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属の落葉つる性木本
<所長の私見>草って名前がつくのに木なの? そう文句を言いたくなるが、一応オオバウマノスズクサは木本である。これに対し、同属のウマスズクサは草本に分類される。前者はやや薄暗い森林環境を好むのに対し、後者は明るい草原環境を好むことも関係しているのであろうか。いずれにせよ、フジやアケビのようにつるが太くなることはないから、かなり草に近い木本と言えるだろう。つる植物にはこのように草と木の中間的なものが多い。センニンソウ、ツヅラフジ、シタキソウ、ヘクソカズラ、クズなどもそうだ。名前が草っぽいからつい敬遠してしまう。だから、私がこれらの植物を観察するようになったのは比較的最近になってからだ。なぜか木本への変なこだわりがある(2006年5月)
キシツツジ
ツツジ科ツツジ属の落葉低木
所長の私見>4月5月になると、街では見慣れた大ぶりの園芸ツツジが咲き始める。オオムラサキツツジなどのヒラドツツジ類である。私はこのヒラドツツジが好きではない。やたら花が大きくて、鮮やかで、たくさん咲く。何でも多けりゃいいってもんじゃない。美のセンスを感じない。そんなある年の4月、私は中国地方の山間部で美しい野生ツツジを見た。山を切り裂くように流れる深い川の岸に、淡いピンクの花が無数に連なっていたのだ。その名も岸躑躅。エメラルドグリーンの清流を背景に咲く鮮やかな姿は、誰もが惹かれて当然に思えた。そう、ヒラドツツジはキシツツジを元に作られたとされる園芸ツツジである(2006年4月)
ウチダシミヤマシキミ
ミカン科ミヤマシキミ属の常緑低木
所長の私見>私は、ひとつの種を亜種、変種、品種などにいちいち細分化するのが好きではない。樹木の変異は本当に幅広いからだ。でも、ミヤマシキミの品種「ウチダシミヤマシキミ」については、その品種名にこだわりたい。「打ち出し」の名の通り、葉脈が裏面に打ち出ることが特徴で、この不思議な形態と露骨なネーミングに惹かれてしまうのだ。ふつうのミヤマシキミは全く葉脈は打ち出ないのに、稀に見かけるウチダシミヤマシキミは、なぜかすべての葉で打ち出る。これに何の意味があるのだろう? 深く追究する気はないが、人間にも血管がよく浮き出る人と、全く浮き出ない人がいる。私は前者のタイプ、即ち、品種「ウキダシヒト」に細分化できる(2006年2月)
マンリョウ
ヤブコウジ科ヤブコウジ属の常緑低木
所長の私見>寒い冬には、赤い実をつけた常緑樹が目に付く。マンリョウ、センリョウ、ヤブコウジ、ナンテン、モチノキ、クロガネモチ、アオキ、ミヤマシキミ、シロダモ、ピラカンサ、ビナンカズラ・・・食糧が減るこの季節、鳥たちはこの赤色を求めて一生懸命飛び回っているに違いない。・・・ところで、畑の多い私の地域では、夏はあちこちで野菜が安く売られていたのに、今はめっきり減って野菜直売所もすっからかんだ。季節に関係なく多くの野菜が並ぶ大型スーパーの赤い看板はともかく、私たち人間が冬の自然を生き延びていくには、本当は何色を求めて歩き回ればいいのだろう(2006年1月)

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