今月の葉っぱ
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2001 - 2002年


モミジバフウ
マンサク科フウ属の落葉高木

所長の私見>こいつは切れ込みの深いタイプのモミジバフウだ。中国原産のフウが3裂なのに対し、北米原産のモミジバフウは5裂してモミジ形になる。別名アメリカフウ。紅葉は黄〜赤〜紫のグラデーションになってキレイで、もっぱら街路樹として多く植えられる。カエデの仲間と葉が似ているが、カエデ科は対生、マンサク科は互生なので区別は簡単だ。じつはこの木、葉を落とした後も珍しい特徴が観察できる。若い枝に翼(よく)と呼ばれる板状の突起がつくのだ。枝に翼が発達する木ではニシキギ(ニシキギ科)が有名だが、高木では本種とコブニレぐらいしか見られないであろう、決定的な特徴である。(2002年12月)
ナナカマド
バラ科ナナカマド属の落葉高木

所長の私見>北国の名木ナナカマド。初夏の白花、初秋の赤い実、そして晩秋の紅葉と見所がたくさんあり、樹形も整って丈夫なので人気が高い。特に北海道では街路樹本数ダントツNo.1だ。東京などの暖地ではニワナナカマド(右写真)という中国産の低木を見かけるが、こいつは花が穂状になるホザキナナカマド属の仲間で、ナナカマドはマリ状になる。ところでナナカマドの名の由来は「7回かまどに入れても燃え尽きない」らしいが、そういえば海水魚にも「キハッソク」という種類がいて、こいつは「硬い身を煮るのに木が8束いる」らしい。7とか8の微妙な違いは何だろう?(2002年11月)
イチイガシ
ブナ科コナラ属の常緑高木

所長の私見>カシと言えば、関東はシラカシ、関西はアラカシ、じゃあ九州はイチイガシ・・・と言うと少し大げさだろうか。とにかく「暖地のカシ」というイメージが強いイチイガシだ。関東地方では南部に自生があるが、滅多に出会うことはなく、名前すら耳にしない。漢字で書けば一位樫だが、名の由来は一番初めに火をつける木「いちひ」だとという説も。葉は、裏面にモジャモジャ生えた毛が印象的。専門書ではこのようなザラザラした毛のことを「星状毛」と呼ぶが、星の形は肉眼では見えない次元の話だ。ドングリはカシ類の中では渋味が少なく、食用にしやすい。(2002年10月)
フサザクラ
フサザクラ科フサザクラ属の落葉小高木

所長の私見>サクラと名がつくけど、サクラの仲間ではない。春に咲く赤いフサフサの花をサクラに例えたためこの名がある。サワフタギ(沢蓋木)という別名を持つが、私はこちらの名の方がしっくりくる。というのは、少し山に入った沢では、水面に覆いかぶさるようにこの木がたくさん生えているからだ。丸い大きな葉もフタの名にぴったり。でも、サワフタギという名の木は別に存在する。ハイノキ科のサワフタギだ。フサザクラは沢で見かけることが非常に多いのに対し、サワフタギはむしろ沢がない尾根などで見ることが多い気がする。先に名前を普及させた方が、その名を名乗れるのが現実だ。(2002年9月)
ホソエカエデ
カエデ科カエデ属の落葉小高木

所長の私見>カエデの仲間は種類が多くて、珍しい種類も多いが、このホソエカエデもかなりマイナーな種類だ。中部地方には比較的多い。見た目はウリハダカエデにそっくりで、葉柄が少し細い&長い感じがあるが、名の由来は花の柄が細いためである。樹皮がウリのような緑色になる特徴もウリハダカエデと一致する。ホソエカエデを見分けるポイントは、葉裏の葉脈の分岐点には、1mmほどの水かき状の物体がついていることだ。これに対しウリハダカエデでは、茶色い毛のかたまりがある。何ともマニアック。(2002年8月)
マルバアオダモ
モクセイ科トネリコ属の落葉小高木

所長の私見>羽状複葉の木は、見分けもつきにくいので敬遠しがちだったけど、最近は結構好きになってきた。中でもトネリコ類は、種類数も多い上、葉の形も微妙な違いなので調べがいがある。マルバアオダモはトネリコ類の中では、もっとも低地に広く分布する木だ。マルバの意味は、鋸歯が小さいという意味らしいが、付け根の小葉が、葉軸にかぶさるほど丸い形になると覚えると、覚えやすい。アオダモの「アオ」は、枝を水につけておくと、青く染まることから。試してみると、1時間ぐらいで絵の具のようなキレイな青色に染まった。(2002年7月)
ヤマボウシ

ヤマボウシ
ミズキ科ミズキ属の落葉小高木

所長の私見>ヤマボウシの葉っぱは、まあるい形で、まあるく弧を描く葉脈が可愛らしい。梅雨時に咲かす白花は、その清楚さではNo.1だと思う。庭や公園にもしばしば植えられる木だが、自然界ではブナ林帯などの積雪の多い地域に自生する木だ。庭にこの木を植えている人は、そのことを知ってくれているだろうか? 最近は、従兄弟ともいえるアメリカ産のハナミズキがやたら多いが、ヤマボウシの方がよっぽどいい。私は森の中でこの木に出会ったとき、いつも少し嬉しい。(2002年6月)

クスノキ
クスノキ科クスノキ属の常緑高木

所長の私見>クスノキは、私の小学校の校庭にあった木だ。校庭の真ん中に1本だけあったその老木は、学校のシンボルになっていて、校歌にも唱われていた。そのせいか、無意識のうちに名前も葉っぱも脳裏に焼きついており、私が覚えた一番初めの木である。クスノキといえば、西日本の風景を象徴する木だと思う。特に初夏の季節には、街も山もクスノキの黄緑色で活気づく。常緑樹とは思えない明るさと元気さがある。東日本や内陸地方ではなかなか見られない、情熱的な風景だ。(2002年4月)
ゴヨウマツ
マツ科マツ属の常緑高木

所長の私見>五葉松といえば盆栽。盆栽に多用されるのは、葉が小さくて緻密につくので見た目がよいことと、生長が非常に遅い、ということが挙げられる。江戸時代の将軍が育てていた五葉松が、今も盆栽として残っているというが、管理されているとはいえ人の背丈にも達していないことに驚く。しかし、自生地である高山では、高さ20mにも及ぶ五葉松も見られる。樹形も盆栽とはほど遠い、野性的な姿。本来の木の姿を見たような気がした。(2002年2月)

コブシ
モクレン科モクレン属の落葉高木
所長の私見>コブシの花は、ソメイヨシノより約1週間早く満開になる。白く大きな花を一面につけるので、かなり目立つのだが、なぜか意外に知名度が低い木のように感じる。東北地方では、この木の開花を合図に農作業を開始したため、「タネマキザクラ」「タウチザクラ」といった分かり易い地方名がある。コブシの名の由来は、実が「握りこぶし」に似ているから。赤くてごつごつしたグロテスクな風貌で、こぶしとはよく言ったものだ。熟すとふくらみが割れて、中から朱色の種子が顔を出し、細い糸でぶらさがる。この姿も異様。
(2001年11月)

ナツツバキ
ツバキ科ナツツバキ属の落葉小高木
所長の私見>今人気の定番庭木ベスト3・・・というのがあればナツツバキは入るだろう。
特に最近は、数年前に熱のあがったイングリッシュガーデンブームが去り、雑木や山野草を主体とした和の庭が増えている。その中でも、庭の主木となりうる木には、初夏に白花を咲かす木が多いと感じる。ちなみに私が選んだベスト3は、ナツツバキ、ヤマボウシ、エゴノキ。どれも日本在来の木で、葉の量が適度に少なく、株立ち樹形がよく似合う爽やかな木だ。ちなみにナツツバキの別名はシャラノキ。よく似たヒメシャラもナツツバキと同様によく植えられる。(2001年7月)

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