Everything Waits To Be Noticed (2002)

邦題『心の散歩道』

日本盤:東芝EMI TOCP67018 2002年10月17日発売 \2548
ライナー:ヤン・ウェナー(『ローリングストーン』誌・発行人)、歌詞・対訳・ライナー訳・解説付き ボーナス・トラック収録
US盤:Manhattan Records 40990 2 2002年10月8日
歌詞付き

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  1. Bounce
  2. The Thread
  3. The Kid
  4. Crossing Lines
  5. Everything Waits To Be Noticed
  6. Young and Free
  7. Perfect Moment
  8. Turn, Don't Turn Away
  9. Wishbone
  10. How Did You Know
  11. What I Love About The Rain
  12. Every Now and Then
  13. Another Only One
    ------------------
  14. Perfect Moment (Acoustic Version)
    *bonus track
  1. 輝きを抱きしめて
  2. 運命の糸
  3. ザ・キッド
  4. 交差する道
  5. 心の散歩道
  6. ヤング・アンド・フリー
  7. パーフェクト・モーメント
  8. 背を向けないで
  9. ウィッシュボーン
  10. 確信
  11. 愛の理由
  12. 面影
  13. 君でなければ

  14. ------------------
  15. パーフェクト・モーメント(アコースティック・ヴァージョン)
    *ボーナス・トラック



ささめごと

今回の新譜の特徴は、何と言っても、Artが共作した曲が6曲収録されていることです。「ソングライター」として、Artの新しい魅力を発揮したアルバムです。ライナーでJann Wenner (ヤン・ウェナー)氏が言うように、まさに自伝的なアルバムに仕上がったと思います。Artが共作した曲の元になった、Still Water の詩もこちらで紹介します。Artのオリジナルの詩をぜひartgarfunkel.comで読んでみることをおすすめします。

また、もう一つの特徴は、トリオ・アルバムであること。Maia Sharp (マイア・シャープ)、Buddy Mondlock (バディ・マンドロック)との本当に美しいハーモニーを聞くことが出来ます。このトリオを引き合わせたのが、プロデューサーのBilly Mann (ビリー・マン) です。
Maia Sharp
1970年か1971年生まれ。サックスを始め、ピアノやキーボード、オーボエなどをこなすロサンジェルス在住のシンガー・ソングライターです。今回のアルバムにも、ボーカルだけでなく、サックスやキーボードも担当しています。分かりやすいところでは、"Wishbone"の最初のソロ、"Another Only One"のリード・ボーカルが彼女です。

1997年アルバム Hardly Glamour (Ark21)でデビュー。日本でも東芝EMIから日本盤がでましたが、現在は廃盤です。2002年に、2枚目のアルバムMaia Sharp(Concord Records、日本盤はVictor)をリリースしました。Artの紹介文がシールで貼られており、Thank YouにはArt、Billy、Buddyの名前も挙がっています。

また、カルフォルニア州立大学ノースリッジ校を音楽専攻で卒業、当時の同級生とFour On The Floor というサックス・カルテットのバンドを組み、アルトとソプラノサックスを担当しています。

ソングライターとしては、Carole King (キャロル・キング)、Paul Carrack (ポール・キャラック)、Jules Shear (ジュールス・シアー)(Scissors Cut の"So Easy To Begin"の作者)、Timothy B. Schmitt (ティモシー・B・シュミット)、Lisa Loeb (リサ・ローブ)、David Batteau (デイビッド・バトゥ) (Fate For Breakfast の"And I Know"、"Finally Found A Reason"の作者の一人)とも共作していて、高い評価を受けています。お父さんのRandy Sharp (ランディ・シャープ)もカントリー・ミュージシャンで、共作"A Home"が、Dixie Chicks (ディキシー・チックス) の2002年のアルバム Home (Open Wide/ Columbia)に収録されてヒットしました。
Buddy Mondlock
シカゴ出身、ナッシュビル在住のフォーク・シンガーソングライター。今回のアルバムでも、ボーカルに加えギターでも参加しています。分かりやすいところでは、タイトル曲"Everything Waits To Be Noticed"のリード・ボーカルが彼。

80年代前半にシカゴのクラブで活動を始め、86年のニュー・フォーク・コンテストで認められました。アルバムOn The Line (Sparking Gap、1987年)でデビュー。94年 Buddy Mondlock (Son)、99年に Poetic Justice をリリースしています。

Joan Baez (ジョーン・バエズ)、Janis Ian(ジャニス・イアン)、David Wilcox(デイビッド・ウィルコクス) らに曲を提供。Nanci Griffith (ナンシー・グリフィス)の 93年のグラミー受賞アルバム、Other Voices, Other Roomsの "Coming Down In The Rain"は彼の曲。Janis Ian の1995年のアルバムRevengeに、ボーカル参加もしています。今回のアルバムにも収録されている"The Kid"は1996年にニュー・フォーク・コンテストの「ソング・オブ・ジ・イヤー賞」を受賞。
Billy Mann
1971年か72年、フィラデルフィア生まれ、現在はニューヨークを中心に活動しているのマルチ・ミュージシャンです。シンガー・ソングライター/プロデューサーとして注目を集めています。今回のアルバムにも、プロデュースだけでなく、作曲、ギター、バック・ボーカルで参加。10代前半から、R&Bのバンドを組み、ゴスペル隊にも参加、家に帰るとお母さんがJim Croce (ジム・クロース)、Carol King、Simon and Garfunkel をかけている、そんな環境で育ったとか。

自身もDV8/A&Mから、Billy Mann (1996年)とEarth Bound (98年)の2枚のソロ・アルバムをリリースしています。色々なミュージシャンにヒット曲を提供、また共作も多い Billy Mann ですが一度Stephen Bishop (スティーヴン・ビショップ)とも共作しています。Jim Brickman (ジム・ブリックマン)のアルバムVisions of Love (Windham Hill、1998年)に使われている"We Live for Love"という曲で、Stephen が Jim Brickman とデュエットしているようです。
1. Bounce (Graham Lyle & Billy Mann)
おなじみ"Break Away"と"A Heart in New York"を手がけた Gallagher & Lyle(ギャラガー&ライル) のGraham Lyle (グラハム・ライル) とプロデューサーのBilly Mannの共作です。この曲が、このアルバム制作のきっかけになった曲のようです。発売前に発表された資料によると、Billy MannがGraham Lyleとロンドンでこの曲を作り終えた時、ニューヨークのArtに電話したそうです。電話越しに"Bounce"を聞かせると、Artが気に入ったので、Billyは、この曲をレコーディングするのならBuddy MondlockとMaia Sharpとやるべきだ、と言ったことから、このトリオ・アルバムが始まりました。これが1999年のことだったようです。アルバムの最初の曲がこれ、というのも納得ですね。

この"Bounce"と"Perfect Moment"の2曲は、アルバム発売に先行して、2001年にアメリカのWBネットワークの人気ドラマFelicity (邦題は『フェリシティの青春』、WOWOWで放送)の挿入歌として使われました。 "Bounce"は"Senioritis" (第3シーズン・第15回。日本での放送時のタイトルは「ジェラシーの波紋」)で使われました。この時に使われたバージョンをリミックスしたものが、アルバムに収録されています。

カバー・バージョン等はまだないようです。
2. The Thread (Art Garfunkel, Buddy Mondlock & Maia Sharp)
Poem 17(解説/試訳)から。ニューヨークのBilly Mannのアパートで、Art、Buddy、Maiaの3人で作った曲で、パーク・アべニューの情景が思い浮かぶような、素敵な曲です。53丁目と62年(シーグラム・ビルディング)、7年後と2ブロック南の聖バルトロメオ教会、49丁目のウォルドルフ=アステリア・ホテル。映画『ジェラシー』からミレーナのイメージも出てきます。

各建物の写真は、Heart in New York Tourに載せてあります。曲にのみ出てくるリーヴァー・ハウス(Lever House)は53丁目と54丁目の間、シーグラム・ビルディングのはすむかいにあるビルだそうです。The Midtown Book-Lever Houseで写真をご覧下さい。

アルバムのジャケットも、車の窓から、雨の降るパーク・アベニューの風景のイラストになっています。この曲からは、Artのニューヨークへの思いが伝わってきます。元の詩では、Artの人生を貫き、パーク・アベニューを通る糸でしたが、曲では、主人公と恋人を結び、パーク・アべニューを通り抜ける糸、になっている気がします。
Street of dream and sorrow

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