TUZIE- 辻永クラフト工房
昭和ミシンのすすめ:調整の裏ワザ
古い家庭用ミシンを活用してみよう!

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昭和ミシンのすすめ



昭和ミシンと
手回しハンドル



昭和ミシンを
使いやすく



いろいろな
昭和ミシン



昭和ミシンのすすめ
あとがき



 このページは非公開ページですが、上記の4つのページは公開ページです。




非公開ページ:昭和ミシン調整の裏ワザ
一般には公開しないページです。
昭和ミシンの裏ワザ:押えを強くする


押え圧調整のネジをゆるめて外す
昭和ミシンに多いワンタッチ調整式のネジ


筒ネジ仕様も多い
ネジを外すときは中のバネが飛び出さないように注意


ネジを外し 既存のバネの上にステンレスのパイプを入れる
調整ネジを再度ねじ込んで完了

 革縫いでは、押えの強さが大切で、押えが不十分で革が浮いたりすると、縫い目が飛んでしまいます。そこで、押え圧を調整するための筒ネジを外し、既存のバネの上にステンレスのパイプを入れます。パイプは、筒ネジを外すと上から挿入できるサイズで、長さ10ミリを標準にします。

 標準仕様よりも、いつも10ミリ押し込んだ状態の押え強さになるので、本当に薄い布の縫製には向かないと思われますが、レザークラフト用途でそれほど薄い布を縫うことはないので、使用上の問題はほとんど起こらないと思われます。

 職業用ミシンでも、同様の調整は効果があるときがありますが、パイプの径などは変わります。一般には販売されていない寸法です。職業用ミシンの中でも、ジャノメの763と766だけは、最初から強いバネが標準仕様で入っているので、おそらく押え圧の強化は必要ありません。昔のジャノメ、素晴らしいです。それから、ジューキのTL−82は構造上の問題から、押え圧の強化は一筋縄では行かない時があります。ジューキは、なかなか融通が効きません。


プーリーに隠れた位置に内部への穴がある


穴の奥にあるネジで
送り幅調整レバーの動きの軽さの調整ができる

 押えを強くした場合に、まれに起こることのある問題がありまして、それは送り歯に強い負担がかかると、知らないうちに送り幅が変わってしまうという現象です。昭和ミシンの多くは、送り幅の調整はレバー式です。レバーの側にダイヤルが付いていることもありますが、これはレバーの動きを制限するためのもので、直接送り幅を決めているわけではありません。

 そのため、送り歯と送り幅調整レバーが直接連動してしまうようなところがあって、送り歯に強い力がかかった時に、送りの機構が負けて送り幅が狭い方に動いてしまう時があるのです。まず第一の防止策は、必要以上に押えを強くしないということです。問題が発生した時には、少し押えを弱くしてみてください。

 それから、送り調整レバーの動きの軽さを調整できるネジがあります。上の画像のネジですが、このネジを締め込むとレバーの動きが重くなり、レバーが動きにくくなります。大きめのサイズの合うドライバーを使ってください。

 以上の対応でほとんどの場合は問題を解決できるはずなのですが、どうしても問題が解決できない場合は、仕方ないので送り調整レバーの動きを直接制限することも可能です。下の写真のように、マグネット定規などを当てて、レバーを動きにくくしてしまいます。重りを付けたりゴムやバネでテンションをかけることも可能だとは思います。念の為に紹介しますが、ここまで必要になることはあまり無いのではないかと考えています。



マグネット定規で動きを制限


マグネット定規の裏は シリコンと強力マグネット
スイセイ G20Z
しっかり固定できて ずれにくく 傷もつきにくい



昭和ミシンの裏ワザ:送り歯を削る


左:標準の送り歯 右:加工した送り歯


針板の送り歯の穴に 削った分の隙間ができる
 画像の送り歯は、古いものではなく現在も入手可能なものです。ミシンのベッドにステッチ定規を固定して使う場合に、右側の送り歯が邪魔になり、針のそばまで定規を近づけることができません。そのため、右側の送り歯の一部を削り、中央の歯と同じ長さに加工します。

 送り歯の穴に、その分の隙間ができてしまいますが、定規を使うことができる利点と比べると、少しの隙間は我慢できそうです。

昭和ミシンの裏ワザ:しっかりした定規を使う


帽子定規 両端が使えて小回りが効くので使いやすい


T型片落としの定規 直線が安定する

 押えに取り付けるステッチ定規よりも、ベッドのネジ穴に固定して使う定規のほうが、ガッチリと固定されるので、定規がずれにくく安定して使いやすい場合があります。ただ、送り歯が接触するので、送り歯の加工をしなければ、縫い代は3.5〜4.0ミリ以上からということになります。

 帽子定規やT型定規も、市販のままでは使いにくいことがあるので、使いやすいように加工してから使います。また、固定用のネジには長いネジと短いネジがあるので、定規に合わせて使いやすい方を選んでください。

昭和ミシンの裏ワザ:ステッチ定規にひと工夫


押えと一緒に取り付ける定規は 長いネジで取り付けると楽


定規をスライドさせて固定する時のネジ
左:標準ネジ 中央:頭が少し大きいネジ 右:蝶ネジ



押えに接触しないように 定規面を削る

 押えを固定するネジは、通常は8ミリ程度の長さのネジが使われていますが、ステッチ定規を一緒に固定するときには、少し長い10〜12ミリの長さのネジを使うのがおすすめです。手回しでは締め込みが不十分なことが多いので、必ずドライバーを使って固定します。このネジは、ベッドに固定して使うステッチ定規の固定用ネジと共通規格のネジです。非常にわかりにくい、いわゆるミシンネジと言われるネジの一つで、9/64という太さです。

 ステッチ定規を縫い代に合わせてスライドさせるときに、位置を固定するネジも使用感に影響するので、交換すると使いやすくなります。画像の左は付属する標準ネジです。中央の、頭の直径が大きいネジに変えると、回しやすさはそのままで、標準ネジよりも強く固定しやすくなります。右の蝶ネジは、最も強く締め付けることができますが、回しやすさは少し劣ります。いずれも、ネジの規格はM4で長さは10ミリです。

 押えを片押えに加工した場合などでも、定規面が押えに当たってしまい、針の側に定規を合わせることができないことがあります。その時には、定規面をグラインダーなどで少し小さく削ります。押えと定規の相性が良くなるように調整すると、定規の位置が自由になり使いやすくなります。

昭和ミシンの裏ワザ:ミシンの台と油受けの新聞紙

自作のミシン台に新聞紙


台の底面にはゴム足

 今まで何台もミシンの台を作ってみましたが、昭和ミシン用の卓上台はこれが私の定番です。この形だと、ほとんどのミシンを載せることができます。ただ、規格はみな共通なのですが、それぞれに微妙な違いがあり、塗装の厚みも影響する時があるので、ミシンがハマる部分は少し大きめに作っておくのが無難です。

 底板は一般的なベニヤ板ではなくて、樹脂板を使っています。台の中に新聞紙を入れて、それが落ちないようにするということだけが目的の底板です。取り付けと交換が楽な形にしました。ミシンの手入れをしていると、オイルをけっこう使います。そのオイルが、ミシンから下に垂れ落ちてしまうことがあるので、新聞紙を入れておくと、始末が楽なのでおすすめです。

 台の裏にはゴム足を付けています。これが使用感向上のポイントです。ゴム足は柔軟性があり、ミシンの重量が加わることで、ガタつき無く安定します。また滑り止め効果が高く、手回しで使っても台が動きにくくなります。モーターなどで使うときにも、振動を抑え音を静かにする効果もあります。

 わずか直径15ミリのゴム足ですが、なかなか優秀です。おそらく消耗品となるものなので、傷んだ時には交換が必要になると思われます。引きずって動かすと痛みが早くなると思いますので、ご注意ください。


職業用ミシンの台

 職業用ミシンの台も作ってみましたが、職業用ミシンはすべり板(角板)が家庭用の規格よりも小さいので、台の左側にボビン交換のための大きめの穴を開ける必要があります。そのためもあって、台の高さが高くなってしまうのが難点です。

 比較的小さくまとまり置き場所にはさほど困りませんが、押えの膝上げは使うことができないので、職業用の本来の性能を活かすことはできません。それでも、大きな専用の台を置くことができない場合などには、やはりこの形になるのではないかと思います。


昭和ミシンの裏ワザ:台を使いやすく改造

店の見本に用意した手回しミシン


移動しやすいように糸たてを台に組み込んだ


狭いところに収納するため
糸立ての棒は上下にスライドできる


ミシンを外すときには 糸立てを回転させる


ふだんの収納時はミシンに寄せてコンパクトに

 ふだん、店に置いておくために用意した1台です。糸を付けたままでも移動が楽にできるように、台に糸立てを組み込みました。普段はミシン本体に糸立てが重なる位置にありますが、ミシンを台から外すときには、回転させてミシンと当たらないようにできますし、収納時はよりコンパクトになります。糸立ての長い棒も長さを調整できる構造にしたので、比較的高さの無いところにも収納できます。

 もっと簡単な他の構造の糸たても考えて作ってみましたが、見本のミシンにはこちらを採用しました。


より簡単な糸立て


ミシンに当たらない形の台


薄い樹脂の板とスポンジを載せると
この通り普通の見た目と機能になる

 ミシン本体に重なる部分を切ってしまった、より簡単な作りの糸立てです。この上に、樹脂製の薄い台とスポンジを載せて使います。出っ張りが大きいままで収納性は特に優れているわけではありませんが、もともと小ぶりな台なので、さほど問題はありません。

 あとづけの糸立てを紹介しましたが、台を作るときに最初から組み込んでデザインすれば、もっとスッキリしたものになりそうですね。


裏ワザのあとがき
 わざわざ、あとがきを書くほどでは無いのですが、最後にちゃんと書き終わった感を出すために少しだけ。非公開ページにしたのは、あまり一般的では無いことは公開しないという原則を決めているのと、実際にふだん人にあまり教えている内容では無いからです。

 裏ワザと言っても、特別なことを書いているわけではありませんが、必要な時には自己責任でやってみてください。


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