遂に入手! Polarlogic
ArctiCooler
LastModified 02/10/14

「遂に我が手に来たか・・・」
(宮崎 駿監督 「ルパン三世
カリオストロの城」より)
という訳で、Plarlogic社ArctiCooler
あるいは HP TurboCooler
です。いきなりこのページ見た人には訳がわかんないでしょうね。そもそもは、「プロの冷却とは」のページでHP C3000用クーラとしてその存在を知ったのがきっかけです。あまりの格好良さに思わず「欲しい!」と思ってしまいました。その後、少しずつ情報が入ってきて、HPでの正式名称はTurboCoolerという事がわかりました。HPのシステム研究所でPA8000(消費電力80W
!)用に開発された物だそうです。詳細はこちらにありますが、直径9cm高5cmで熱抵抗0.22℃/Wとかなりの高効率です。
現在はPolarlogic社(HPの子会社?)の扱いになっており、外販の事業化を検討中といった所の様です。その後、海外のサイトで幾つか取り上げられた所からアメリカでは市販されている事が判りました。リンク先より販売先を辿り注文してみましたが、「海外には売ってないよ」とのつれない返事・・・
諦めきれず、四万十川メリケン方面購入部隊に指令を出して入手した次第です。価格は$21.95と日本円にすると\2300弱という事になり、えらく安いです。まあ、送料に$30程かかっていますが・・・・
さて、かつてないその形状から期待を抱かせてくれるArctiCooler。その実力は、如何なるものでしょうか?
1 ArctiCooler
さて、苦労して入手したArctiCoolerですが、一見してわかる様にその形状に特徴があります。トルネード形状とでも言うべき独自の形状により周囲から吸気するという吹きつけ方式です。目をこらして見てみましたが継ぎ目らしきものは見当たりません。恐るべき事にワンピースでできている様です。MachiningCenter等で加工していると思われますが、加工精度は素晴らしいものがあります。非常に美しい仕上がりです。

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同梱物は、クーラ本体にインシュロックが4本、L型金具が2個です。写真では写っていませんが、3pinコネクタの変換コネクタも同梱されています。裏面は長方形に盛り上がっており、その側面に溝が切ってあります。公式にはSocket370用という事になっているので、Socketの爪に金具を引っ掛けてインシュロックで固定しろという事なのでしょうね。(説明書等は全く入っていませんでした) 使用されているファンは松下の
Panaflow model FBA08A12H 12V 0.22A です。 |
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本体はこれだけ美しい仕上がりなのに。その固定方法は・・・・・はぁ、アメリカさんのやる事ぁわかりませんね。^^;
試しに回してみた所、ファン1個だけあって騒音はそれ程気になりませんでした。風量はまあまあと言った所でしょうか。
2 取り付け
さて、いつまでも眺めていてもしょーがないので取り付けとまいりましょう。またこれが、一筋縄ではいかんのですが・・・

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いざ取り付けですが、今迄の経験上インシュロックで縛るなんぞというのは論外です。当然ガッチリネジ止めしなければなりません。 標準でM3のネジ穴が開いていますが、P3の固定位置とは全然違う位置に開いています。おまけに、MC切削時用とおぼしきでかい穴が2個・・・・・
頭が痛くなってきますが、元々の穴を一個だけ生かす形で、赤丸の位置にM3のネジ穴を3個掘りました。特に右下のネジ穴については、慎重な位置出しを要します。今回は自信がなかったので、職場のボール盤を借りてやりました。^^; |
ネジ穴あけていざ装着しとうとすると・・・・・・・・・クーラ下部がマザーにぶち当たる・・・・・・そりゃあ、そーだ、同心円状だもんな・・・
どうすべえか。ネジ穴の位置を下側にシフトさせる手もあるが、このクーラのコンセプト自体が、「熱源を中央に置いて、そこから放射状に放熱する」という事だもんなあ・・・・という訳で頭を捻ってみました。
「頭捻ってこれかい!」
済みません、いつもの落ちです。またしても馬鹿のひとつ覚えで斬ってしまいました(爆)
HPの皆さん、Polarlogicの皆さん、御免なさいm(__)m
最大幅で1cm程のカットです。当然、この為に性能に悪影響を及ぼすとは思いますが、シフトさせて取り付けるよりはこの方が、もともとの設計コンセプトに沿うと判断しました。(それにネジ穴開け直すのも面倒だし・・・・)
まあ、
「背に腹はかえられんっ!!」
(島本 和彦著 「逆境ナイン」より)
という事でご了承下さい。しかし、しんどかった・・・途中で「おぉ〜い、五右衛門。頼むぜ〜」と言いそうになったのも一度や二度じゃありません(笑)
かくして装着せりの図がこちらになります。いつも通り、OLGAコアにはグラファイトアダプタを装着して、裏面よりカスタムバックプレートを介してバックプレートをネジ止めする事で、コア真裏にのみ力をかけて取り付けています。
嗚呼・・・・格好いい・・・・・・・
なんかこれを見てると、性能なんざどーでもいいって気になってくるのは私だけ・・・でしょうねえ(爆)さて、準備も整った所で実験とまいりましょうか。比較は
alpha社P3125SM60と行います。
3 実験方法
CPU |
PentiumV-450 (SL35D
220245 COSTARICA) 140x4.5MHz駆動 Vcore=2.3V
Vio=3.62V |
M/B |
Aopen AX6BC TYPE-R VspecU
with Turbo.PLL01+外部コントローラ |
OS |
Windows95 OSR1 |
グリス |
グラファイトシート |
ケースは閉めた状態とする。
セッティングは3回行って計測し、ベストのデータを使用(作業性の影響を排除)
温度計測は以下の5点
室温、ケース内温度、CPUコア横、ヒートシンク(以上全てサーミスタによる)
コア内部サーマルダイオードより内部温度読み取り
計測条件:FinalReality を1時間以上ループさせ、温度変動がなくなった後、一番負荷の高い
City 時で温度を計測
2000.01.05全面改訂
これは私の環境における結果であり、ケースや使用機器により変わってくることはご了承願います。
Polarlogic ArctiCooler |
室温 |
ケース |
シンク |
コア横 |
コア内部 |
P3125SM60 |
計測温度 |
20.7 |
21.8 |
25.3 |
29.0 |
35.5 |
室温との相対温度 |
|
1.1 |
4.6 |
8.3 |
14.8 |
Polarlogic ArctiCooler |
計測温度 |
21.2 |
21.9 |
29.5 |
32.5 |
40.6 |
室温との相対温度 |
|
0.7 |
8.3 |
11.3 |
19.4 |
*前回の結果との相違について
2000.01.10改訂
[真・巨大クーラ比較]におけるP3125SM60の結果と今回の結果の比較を以下に示します。これを見るとP3125SM60のコア内部温度と室温の相対温度は、1.5℃低下しています。
P3125SM60前回 |
各部温度 |
室温 |
ケース |
シンク |
コア横 |
コア内部 |
前回の計測温度 |
24.7 |
28.0 |
32.7 |
35.5 |
41 |
今回の計測温度 |
20.7 |
21.8 |
25.3 |
29.0 |
35.5 |
前回と今回の差 |
-4.0 |
-6.2 |
-7.4 |
-6.5 |
-5.5 |
前回との相違点は、
(1) M/B が Abit BX6rev2から Aopen AX6BC TYPE-R VspecUに変更(コア内部温度を自作回路で読み取り)
(2) 室温が4℃程低下
(3) VIDEOカードをSpecttra5400PE から Spectra7400 に変更
といった点です。(1)については、Winbond W38782D自体にある程度誤差はあると言われているので、読み取り方式が変わった事により変化が出ている可能性はあります。ただ、較正を再度行った分、今回の方がより正しい温度値が読めているのではないかと考えています。
気温の影響ですが、各部の温度を見てもらえばわかる様に、「気温が4.0℃下がるのに伴い、各部温度も一律4.0℃下がる」という結果にはなっていません。空冷の場合、気温との相対変化になるので温度飽和という観点から見ると物理的におかしいですね^^;
前回も今回も1時間以上FRをループさせてケース内を温度飽和させたつもりです。この差は一体何でしょう?
ケース内温度差-6.2℃を基準としてみた場合、各部の温度差は0.7〜-1.2℃となります。この程度であれば、計測誤差と言えるでしょう。つまり、前回と今回の差をもたらしているのは、気温変化に対するケース内温度差が大きすぎる事ではないかと思います。
言い換えると、ケースの廃熱性能が-2.2℃良くなっているという事になります。原因として考えられるのは、
(1)Spectra7400が若干Spectra5400より長いので、気流に影響を与えた?
(2)暖房を使用している室内が系として飽和しておらず、部屋の各部(吸気口とか)での温度差の影響?
(3)マザー変更に伴う内部ケーブルの微妙な取り回し?
(4)そういえば、ケースファンにかなり埃がたまってたので、こないだ掃除したっけ^^;
といった所でしょうか?ま、9月の時点での測定と全く同じ環境条件が再現できていると仮定する方が無理がありますね。完全に空調管理されたラボでやってる訳じゃなし、所詮素人がやってる温度計測で1℃や2℃でガタガタ騒ぐんじゃねえといった所でしょうか(爆)
「だがすべては血や肉となる!!
失敗だ! 若いうちは失敗に限る!」
(島本
和彦 談)
この手の結果再現性の問題は、どんな種類の実験にも大なり少なりつきまとってきます。(温度計測の場合だと、温度計の取り付け位置や接触等の影響も大です)
なるべく環境変化の影響を受けずに様に注意を払った上で、結果を相対値比較するのか絶対値比較するのか見極めてやる必要があるという事なのでしょうね、きっと。いやぁ〜、奥が深いっす。
5 考察
さて、結果です。
残念ながら、P3125の圧勝です。
まあ、ある意味予想された結果ではありますね。P3のOLGAコアにターゲットを絞った銅製ヒートスプレッダを装備し、ツインファンで強力に冷やすP3125と比較する事自体無理があると言ってしまえばそれまでですが。
2000.01.05追記
しかし、その差僅かに4.6℃。考えてみれば、TAKA100やBlizzardと同レベルの性能という事になります。$21
と、P3125の約 1/3 の価格である事や、体積、ファンが1個である事による静粛性を考えると、素晴らしい性能と言ってもいいと思います。銅板を挟み込む等の改造を施せば、P3125に迫る事も不可能ではないかもしれません。
どちらにしても現状、日本での入手性や、Pentium系への取り付けの手間を考えると、「素材」の域を脱していないのは事実です。しかし、これらの問題点をクリアして適正な価格での入手が可能になれば、コストパフォーマンスの点からベストソリューションとなる可能性は秘めていると思います。何よりも、その独自形状から来る装着時の満足感には並々ならぬものがあります。(いや、入手に苦労したから肩を持つ訳じゃないっすよ^^;)
Polarlogic社には是非とも、Pentium系に最適化した製品を見せてもらいたいと思います。あの素晴らしい加工技術を考えると、それ程無理な注文じゃないと思うのですが(^。^)
6 独り言
なんだかんだ言っても現物を前にした時、その形状と加工の美しさからくる存在感というか、所有する満足感(「日本ではわしだけだろう」という点も含めてね^^;)は抜きんでています。CPUクーラも大きさや素材といった力技ではなく、そのデザイン(形状最適化)による性能を競って欲しいなあ等と思ってしまいます。
まあ、やる前からP3125を越えるとか思ってはいませんでしたが^^;、やはりというか予想通りの結果に終わってしまいました。「見かけ倒し」と言ってしまえばそれまですが・・・それでもトホホなパーツにしてしまうのは何とも惜しい・・・入手にかけた手間と暇を考えると・・・
「男は痛いのが快感でなくてはならないのかしれん・・・
いやいい事を教えてもらった」
(島本 和彦著 「男の一枚
レッドカード」あとがき熱血島本ジムより)
2000.01.05追記
再較正を行った上で再度測定を行った結果、その凄さが見えてきました。「見かけ倒し」なんてとんでもない。P3125に及ばなかったとはいえ、デザイン(形状)でここまで空冷効率を上げられるというのは、今後のCPUクーラの進化の可能性に対する夢をかきたててくれます。
2000.06.07追記
BBSにて情報を頂きました。LASER5さんが輸入され、販売されているそうです。とうとう日本上陸ですね。しかし、なんか妙なチリトリに埋もれている様な・・・(笑)
PolarlogicではCAという新しいモデルも用意している様です。こちらはSocket370用にクリップ止め形式になっているみたいですね。大きさが若干小さくなり熱抵抗も悪化しているみたいですが、まあ装着できなければ何にもなりませんから・・・^^;
こちらの方も是非輸入してもらいたいものです。> LASER5さん
最近、Maj○styとかいうパッチ物も出回っていますので、類似品にはご注意あれ(爆)
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