(いし)めぐり奥の細道

日 光 路 の 発 句
深川 草の戸も住替る代ぞひなの家
千住 行春や鳥啼魚の目は泪
草加〜栗橋  
古河〜鹿沼  
日光〜大田原  あらたうと青葉若葉の日の光
暫時は滝に籠るや夏の初
黒羽  夏山に足駄を拝む首途かな
木啄も庵はやぶらず夏木立
那須野  野を横に馬牽むけよほとゝぎす
田一枚植て立去る柳かな
芭蕉翁百貌
奥 州 路 の 発 句
白河
須賀川 風流の初やおくの田植うた
世の人の見付ぬ花や軒の栗
郡山〜福島 早苗とる手もとや昔しのぶ摺
飯坂〜国見 笈も太刀も五月にかざれ帋幟
白石〜岩沼  
名取〜仙台 笠島はいづこさ月のぬかり道
桜より松は二木を三月越
あやめ草足に結ん草鞋の緒
多賀城〜松島  
石巻〜登米  
一関〜平泉 夏草や兵どもが夢の跡
五月雨の降のこしてや光堂
芭蕉翁百貌
出 羽 路 の 発 句
尿前  
堺田〜尾花沢 蚤虱馬の尿する枕もと
涼しさを我宿にしてねまる也 
 這出よかいやが下のひきの声
まゆはきを俤にして紅粉の花
立石寺 閑さや岩にしみ入蝉の声
大石田〜新庄 五月雨をあつめて早し最上川
 羽黒山  有難や雪をかおらす南谷
出羽三山 涼しさやほの三か月の羽黒山
雲の峰幾つ崩て月の山
語られぬ湯殿にぬらす袂かな
吹浦 あつみ山や吹浦かけて夕すヾみ
酒田 暑き日を海にいれたり最上川
象潟  象潟や雨に西施がねぶの花
汐越や鶴はぎぬれて海涼し 
芭蕉翁百貌
北 陸 路 の 発 句
あつみ  
村上  
新潟  
弥彦〜出雲崎 文月や六日も常の夜には似ず
荒海や佐渡によこたふ天河
上越 一家に遊女もねたり萩と月
越中 わせの香や分入右は有磯海
金沢  塚も動け我泣声は秋の風
秋涼し手毎にむけや瓜茄子
あかあかと日は難面も秋の風
  しおらしき名や小松吹萩すすき
小松 むざんやな甲の下のきりぎりす
  石山の石より白し秋の風
山中〜全昌寺  山中や菊はたおらぬ湯の匂
今日よりや書付消さん笠の露
庭掃て出ばや寺に散柳
天龍寺 物書て扇引さく余波哉
福井  
敦賀  月清し遊行のもてる砂の上
名月や北国日和定なき
色ヶ浜  寂しさや須磨にかちたる浜の秋
波の間や小貝にまじる萩の塵
大垣 蛤のふたみにわかれ行秋ぞ
芭蕉翁百貌

付録 芭 蕉 翁 の 碑(東京篇)