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新潟市|佐藤正社会保険労務士事務所/TEL:025-277-0927

育児休業・介護休業Q&A


 育児介護休業法が改正され、令和4年4月から段階的施行へ

 平成29年1月&10月および令和3年1月改正 育児介護休業法のポイント

 育児休業・介護休業の規定例


○育児休業

 育児休業とは何か

 育児休業制度の種類

 育児休業が適用されない労働者もいる

 育児休業を1歳6か月まで延長が認められる場合がある

 育児休業を1歳6か月まで延長後に更に2歳まで延長できる場合もある

 パパ・ママ育休プラスとは何か

 子の看護休暇制度とは何か

 育児短時間勤務の代替措置とは何か

○育児休業の実務

 育児休業の申出から復帰までの事務手続

 育児休業期間中の就労について

 傷病手当金と育児休業給付金は併給できるか

 育児短時間勤務と労働基準法の育児時間との併用もできる

○介護休業
 

 介護休業とは何か

 介護休業制度の種類

 介護休業が適用されない労働者もいる

 介護休暇とは何か

○介護休業の実務

 介護休業給付金

 要介護状態とはどんな状態をいうのか

○共通事項

 育児・介護休業労働者への不利益扱いは禁止される

 育児・介護休業期間は年次有給休暇の出勤率の算定対象期間から除外できない

 子の看護休暇・介護休暇を年次有給休暇の出勤率算定対象とするか否かは自由

 育児介護休業法による休業等で賃金を支給するか否かは会社の自由

 管理監督者と育児・介護休業法との関係はどうなっている

本文

 育児介護休業法が改正され、令和4年4月から段階的施行へ

□ 改正内容
1 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(令和4年4月施行)
2 雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の事業主の義務化(令和4年4月施行)
3 育児休業取得状況の公表の義務化(令和5年4月施行)
4 出生直後の時期の柔軟な育児休業の取得(施行時期未定)
5 育児休業を分割して取得可能(施行時期未定)

(詳細)厚生労働省のリーフレット

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 平成29年1月&10月および令和3年1月改正 育児介護休業法のポイント

□ 平成29年1月の改正ポイント
1 介護休業
(1) 対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として介護休業を分割しての取得が可能となりました。
(2) 介護休暇について、半日単位での取得が可能となりました。
(3) 介護のための所定労働時間の短縮措置等について、介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能となりました。
(4) 対象家族1人につき、介護終了まで利用できる介護のための所定外労働の制限(残業の免除)が新設されました。

2 育児休業
(1) 有期契約労働者の育児休業の取得要件が、申込時点で以下の要件を満たすことに緩和されました。
 ① 過去1年以上継続して雇用されていること
 ② 子が1歳6か月になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでないこと
(2) 子の看護休暇について、半日単位での取得が可能となりました。
(3) 育児休業の対象となる子の範囲が、特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子等も追加されました。

3 その他
 事業主による妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱いは禁止されていますが、新たに上司・同僚からの、妊娠・出産、育児休業、介護休業等を理由とする嫌がらせ等(いわゆるマタハラ・パタハラなど)を防止する措置を講じることを事業主へ新たに義務付けると共に、派遣労働者の派遣先にも以下が適用されました。
・育児休業等の取得等を理由とする不利益取扱いの禁止
・妊娠・出産、育児休業、介護休業等を理由とする嫌がらせ等の防止措置の義務付け

□ 平成29年10月の改正ポイント (参考)厚生労働省のリーフレット
(1) 保育所へ入れない場合など、2歳まで育児休業の取得が可能になりました。
(2) 子どもが生まれる予定の労働者などに、育児休業等の制度を周知する努力義務が創設されました。
(3) 育児目的休暇の導入促進の努力義務が創設されました。

□ 令和3年1月の改正ポイント (参考)厚生労働省のリーフレットQ&A
 ⼦の看護休暇・介護休暇が時間単位での取得が可能になりました。
(改正前)
・半⽇単位での取得が可能
・1⽇の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できない
(改正後)
・時間単位での取得が可能
・全ての労働者が取得できる
*「時間」とは1時間の整数倍の時間をいい、労働者からの申し出に応じ、労働者の希望する時間数で取得できるようにする必要があります。

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 育児休業・介護休業の規定例

厚生労働省のHP(令和2年10月改正)

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 育児休業とは何か

 育児休業とは、労働者が子を養育するため、雇用関係を継続したまま一定期間就労義務を免除され休業することをいいます。育児・介護休業法による育児休業は、(1)1歳(パパ・ママ育休プラスは1歳2か月)までの育児休業、(2)保育所に入所できないなどの特別な理由がある場合の、1歳6か月までの育児休業および更に2歳までの育児休業があります。

□ 育児休業できる労働者
(1) 育児休業は男女の区別なく取得できます。
(2) 労働者であれば管理職でも取得できます。
(3) 有期契約労働者については、申出時点において次のいずれにも該当すれば育児休業を取得できます。
ア 同一の事業主に引続き雇用された期間が1年以上であること
イ 子が1歳6か月(2歳までの育児休業の申出にあっては2歳)を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと
(4) 育児休業が適用されない労働者もいる

□ 子の範囲
 実子、養子(特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子を含む。)

□ 育児休業できる期間
(1) 女性の場合は労働基準法による産後休業が認められていますので、育児休業はその後の希望する日から、男性の場合は子が出生した日から直ちに育児休業を取得できます。
(2) 育児休業の期間は、子が出生した日から1歳(パパ・ママ育休プラスは1歳2か月)に達する日(誕生日の前日)までの、労働者が申出た休業開始予定日から休業終了予定日までの連続した期間(最長1年間)です。

□ 1歳6か月までの育児休業を取得できる要件
育児休業を1歳6か月まで延長が認められる場合がある

□ 育児休業を1歳6か月まで延長後に更に2歳まで延長できる要件
育児休業を1歳6か月まで延長後に更に2歳まで延長できる場合もある

□ 育児休業の申出
 育児休業を行う場合には、原則として育児休業開始予定日の1か月前(1歳6か月までおよび2歳までの休業場合は2週間前)までに、書面により事業主に申出しなければなりません。なお、申出は1人の子に対して1回に限られます。ただし、父親が出産後8週間以内に育児休業を取得(パパ休暇)した場合は、再度の育児休業の申出も可能です。

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 育児休業制度の種類

□ 育児休業
 前項参照

□ 子の看護休暇
 子の看護休暇制度とは何か

□ 所定労働時間の制限
1 内容
 3歳に満たない子を養育する労働者が請求した場合に「所定労働時間を超えて労働させてはならない」とする制度
2  対象労働者
 3歳に満たない子を養育する労働者(日雇労働者を除く。男女の区別はない。)
3 適用除外者
 労使協定で適用除外とされた者
4 申出
 1回につき、1月以上1年以内の期間について、原則として制限開始予定日の1か月前までに、書面により事業主に申出なければならない。なお、時間労働の制限とは重複できない。

□ 時間外労働の制限
1 内容
 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合に「1か月24時間、1年150時間を超えて時間外労働をさせてはならない」とする制度
2  対象労働者
 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者(日雇労働者を除く。男女の区別はない。)
3 適用除外者
(1) 雇用期間が1年未満の者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の者
4 申出
 1回につき、1月以上1年以内の期間について、原則として制限開始予定日の1か月前までに、書面により事業主に申出なければならない。なお、所定外労働の制限とは重複できない。

□ 深夜業の制限
1 内容
 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合に「午後10時から午前5時までの深夜労働をさせてはならない」とする制度
2  対象労働者
 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者(日雇労働者を除く。男女の区別はない。)
3 適用除外者
(1) 雇用期間が1年未満の者
(2) 深夜に保育できる次のいずれにも該当する16歳以上の同居の家族がいる者
 ・深夜に就業していない(深夜における就業日数が1月について3日以下の場合を含む)
 ・傷病、心身の障害により子の保育が困難な状態でない
 ・6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定であるか、産後8週間を経過しない者でない
(3) 週の所定労働日数が2日以下の者
(4) 所定労働時間の全てが深夜にある者
4 申出
 1回につき、1月以上6か月以内の期間について、原則として制限開始予定日の1か月前までに、書面により事業主に申出なければならない。

□ 育児短時間勤務
1 内容
 3歳に満たない子を養育する労働者で育児休業をしていない者が申出することにより「1日の所定労働時間を原則として6時間」とする制度
2  対象労働者
 3歳に満たない子を養育する労働者(日雇労働者を除く。男女の区別はない。)
3 適用除外者
(1) 労使協定で適用除外とされた者
(2) 1日の所定労働時間が6時間以下である者
4 申出
 1回につき、1月以上1年以内の期間について、原則として短縮開始予定日の1か月前までに、書面により事業主に申出なければならない。

(詳細)厚生労働省のHP

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 育児休業が適用されない労働者もいる

 育児休業制度については、(1)法の規定により適用除外とされる労働者、(2)労使協定を締結することにより育児休業等の申出を拒むことができる労働者があります。
【注】いずれの場合も、日雇労働者は対象となりません。

□ 育児休業
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
(1) 同一の事業主に引続き雇用された期間が1年未満の有期契約労働者
(2) 子が1年6か月(2歳までの育児休業の申出にあっては2歳)を経過するまでに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかな有期契約労働者
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 雇用期間が1年未満の労働者
(2) 申出の日から1年(1歳を超える休業の申出にあっては6か月)以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
(3) 週の所定労働日数が2日以下の労働者

□ 子の看護休暇
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
 なし。
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 雇用期間が6か月未満の労働者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の労働者

□ 所定外労働の制限
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
 なし
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 入社1年未満の労働者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の労働者

□ 時間外労働の制限
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
(1) 入社1年未満の者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の者
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
 なし

□ 深夜業の制限
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
(1) 入社1年未満の者
(2) 深夜に保育できる次のいずれにも該当する16歳以上の同居の家族がいる者
 ・深夜に就業していない(深夜における就業日数が1か月について3日以下の場合を含む)
 ・傷病、心身の障害により子の保育が困難な状態でない
 ・6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定であるか、産後8週間を経過しない者でない
(3) 週の所定労働日数が2日以下の者
(4) 所定労働時間の全てが深夜にある者
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
 なし

□ 育児短時間勤務
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
(1) 1日の所定労働時間が6時間以下である労働者
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 入社1年未満の労働者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の労働者
(3) 業務の性質または業務の実施体制に照らして所定労働時間の短縮措置を講じることが困難と認められる業務として別に定める業務に従事する労働者
 ただし、(3)について労使協定により適用除外とする場合は、その「代替措置」が必要となります。
(参考Q&A)育児短時間勤務の代替措置とは何か

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 育児休業を1歳6か月まで延長が認められる場合がある

 育児休業は、子が1歳に達するまでの最長1年間が原則ですが、子が1歳6か月に達するまで育児休業が認められる場合があります。

□ 子が1歳6か月に達するまで育児休業が認められる要件
(1) 本人または配偶者が、子の1歳到達日に育児休業をしていること
(2) 次のいずれかの事情があること
ア 育児休業の申出に係る子について、保育所における保育の実施を希望し、申込を行っているが、その子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合
イ 常態として育児休業の申出に係る子の養育を行っている配偶者であって、その子が1歳に達する日後の期間について常態としてその子の養育を行う予定であった者が以下のいずれかに該当した場合
 a 死亡したとき
 b 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により育児休業の申出に係る子を養育することが困難な状態になったとき
 c 婚約の解消その他の事情により配偶者が育児休業に係る子と同居しないこととなったとき
 d 6週間(多胎妊娠の場合にあたっては14週間)以内に出産する予定であるか又は産後8週間を経過しないとき

□ 育児休業給付金の延長申請(会社がハローワークへ)
(1) 最後の育児休業給付金支給申請の際に、育児休業給付金支給申請書の「17 支給対象となる期間の延長事由-期間」欄に延長事由および延長する期間を記入し提出します。
(2) 添付書類
 前項(2)アの場合…市町村が発行した保育所の入所不承諾の通知書など当面保育所において保育が行われない事実を証明することができる書類
 同(2)イa,cの場合…世帯全員について記載された住民票の写しおよび母子健康手帳
 同(2)イbの場合…保育を予定していた配偶者の状態についての医師の診断書等
 同(2)イdの場合…母子健康手帳

□ 社会保険料の免除申請(会社が事務センターへ)
 延長前の育児休業期間中に、事務センター宛に「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書(延長)」により、社会保険料の免除延長申請をします。
(申請書ダウンロード)日本年金機構のHP

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 育児休業を1歳6か月まで延長後に更に2歳まで延長できる場合もある

□ ポイント
(1) 延長できる理由(次のいずれかの事情があること)
 ① 育児休業の申出に係る子について、保育所等(無認可施設は除く)における保育の利用を希望し、申込みを行っ
ているが、その子が1歳6か月に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合
 ② 常態として育児休業の申出に係る子の養育を行っている配偶者(内縁関係を含む)であって、その子が1歳6か月に達する日後の期間について常態としてその子の養育を行う予定であった人が死亡、負傷、疾病等に該当した場合
(2) 子が1歳に達する日の翌日において該当した延長理由に関わらず、改めて確認書類の提出が必要になります。

□ 確認書類
(1) 市町村が発行した保育所等の入所保留の通知書など当面保育所等において保育が行われない事実を証明することができる書類
(2) 世帯全員について記載された住民票の写し及び母子健康手帳、保育を予定していた配偶者の状態についての医師の診断書など

(詳細)厚生労働省のリーフレット

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 パパ・ママ育休プラスとは何か

 パパ・ママ育休プラスとは、父親と母親がが共に育児休業を取得する場合、育児休業の対象となる子の年齢が、原則1歳に満たない子から原則1歳2か月に満たない子に延長されるという制度です。

□ 制度の概要
(1) 両親ともに育児休業する場合で、次のいずれにも該当する場合には、育児休業の対象となる子の年齢が、原則1歳に満たない子から原則1歳2か月に満たない子に延長されます。
ア 育児休業を取得しようとする労働者の配偶者(以下「本人」)が、子の1歳に達する日(1歳の誕生日の前日)以前において育児休業をしていること
イ 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
ウ 本人の育児休業開始予定日が、配偶者がしている育児休業の初日以降であること
(2) 育児休業が取得できる期間(女性の場合は、出生日以後の産前・産後休業期間含む。)は1年間です。

□ ポイント
(1) パパ・ママ育休プラスにより育児休業を延長したとしても、本人が育児休業を1年2か月取得できるということではなく、本人の育児休業の期間は1年が限度です。要約すれば、パパ・ママの育児休業開始日をずらすことにより、子が1歳2か月になるまで育児休業期間を延ばせるという制度です。
(2) 育児休業の申出は1人の子に対して1回に限られますが、父親が出産後8週間以内に育児休業を取得(パパ休暇)した場合、再度の育児休業の取得が可能です。
(3) 婚姻の届出をしていない事実婚の場合でも、パパ・ママ育休プラスを利用できます。
(4) 育児休業給付金は引き続き受給できます。

(詳細)厚生労働省のHP

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 子の看護休暇制度とは何か

 小学校就学前の子を養育する労働者は、申し出ることにより、子が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日まで、病気・ケガをした子の看護のため、または子に予防接種や健康診断を受けさせるために「子の看護休暇」を取得できます。

□ 子の看護休暇制度のポイント
(1) 労働者からの申出は口頭でもかまいません。
(2) 事業主は子が病気・ケガをしたこと等についての証明を労働者に求めることができますが、労働者が証明書の提出を拒んだからといって、看護休暇を与えないことはできません。また、業務の繁忙等を理由としての看護休暇の申出も拒否できないとされます。
(3) 子の看護休暇を有給とするか無給とするか事業主の任意です。
(4) 時間単位の取得も可能です。
【注】子の看護休暇制度については、入社6か月未満の労働者および週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定の締結により対象外とすることができます。

■ 時間単位の取得について
(詳細)厚生労働省のリーフレットQ&A

【解説】子の看護休暇は、家族の介護に限らず、通院等の付添いや介護サービスの提供を受けるために必要な手続きの代行その他の必要な世話が含まれるとされており、介護休業より幅広く利用できる制度といえます。
 なお、子の看護休暇取得の際に、事業主が介護休業と同様に、要介護状態であることの証明書の提出を求めることは可能とされますが、上記の下線部分についての証明書を求めることは禁止されています。

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 育児短時間勤務の代替措置とは何か

 育児・介護休業法では、3歳に満たない子を養育する労働者の申出により、1日の所定労働時間を原則として6時間とする短時間勤務制度を設けなりませんが、短時間勤務制度を講ずることが困難な労働者については、次のいずれか の措置を講じなければならないとしています。
(1) 育児休業に関する制度に準ずる措置
(2) フレックスタイム制度
(3) 始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ(時差出勤の制度)
(4) 事業所内保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与

□ 業務の性質又は実施体制に照らして短時間勤務制度を講ずることが困難な業務とは(例示)
(1) 業務の性質に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務→国際路線等に就航する航空機において従事する客室乗務員等の業務
(2) 業務の実施体制に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務→労働者数が少ない事業所において、当該業務に従事しうる労働者数が著しく少ない業務
(3) 業務の性質及び実施体制に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務
・流れ作業方式による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務
・交替制勤務による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務
・個人ごとに担当する企業、地域等が厳密に分担されていて、他の労働者では代替が困難な営業業務

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 育児休業の申出から復帰までの事務手続

 産前産後の手続きについては、Q&A「働いている女性(健康保険の被保険者)が出産したときの手続」をご覧ください。

1 健康保険・厚生年金保険育児休業取得者申出書(新規・延長)/事業主が事務センターへ
(1) 従業員から育児休業の申出を受けた事業主が日本年金機構に申出を行います。
(2) 申出により、健康保険・厚生年金保険料が被保険者・事業主とも、育児休業を開始した日の属する月から休業が終了する日の属する月の前月分まで免除されます。
(詳細)日本年金機構のHP

2 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書&育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書/通常は、事業主がハローワークへ
(1) 通常は、育児休業を開始し2か月を経過後(休業開始日から4か月を経過する日の属する月の末日まで)に申請します。
(2) 従業員のマイナンバーが必要です。
(詳細)厚生労働省のHP、(様式)ハローワークのHP

3 育児休業給付金支給申請書/通常は、事業主がハローワークへ
(1) 2回目以降は初回と異なり申請書のみの提出となります。
(2) 前回受理した通知書の記載された提出期限までに、2か月ごとに申請します。
(詳細)厚生労働省のリーフレット

(参考)平成30年10月1日から、 雇用継続給付の手続を事業主等が⾏う場合、同意書に よって被保険者の署名・押印が省略できます同意書の記載例

(参考)令和3年8月1日から、育児休業給付金、介護休業給付金、高年齢雇用継続給付金の手続の際、通帳等の写しを原則不要にします

[参考Q&A]
育児休業を1歳6か月まで延長が認められる場合がある
育児休業を1歳6か月まで延長後に更に2歳まで延長できる場合もある

4 健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者終了届/事業主が事務センターへ
(1) 育児休業取得者申出書により届出た期間とおりに育児休業を終了する場合は、この届出は必要ありませんが、予定より早く休業が終了した場合はこの届出を行います。
(2) 保険料免除は、休業が終了する日の属する月の前月分までとなります。
(詳細)日本年金機構のHP

5 健康保険・厚生年金保険育児休業等終了時報酬月額変更届/事業主が事務センターへ
(1) 育児休業終了日の翌日の属する月から3か月間に受けた報酬が、1等級以上の差が生じた場合に届出ます。
(2) 育児休業終了日の翌日の属する月から起算して4か月目から、標準報酬月額が改定されます。
(詳細)日本年金機構のHP

[参考]厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届/事業主が事務センターへ
(1) 3歳未満の子を養育する被保険者が、賃金の減少により標準報酬月額が下がった場合に被保険者の申出により提出します。
(2) 子が3歳に達した場合または退職して厚生年金保険の被保険者でなくなった場合は終了届の必要はありませんが、3歳未満の子を養育しなくなったとき又は3歳未満の子が死亡したときは終了届が必要となります。
(詳細)日本年金機構のHP

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 育児休業期間中の就労について

 育児休業制度においては、育児休業期間中の就労は想定していないとしていますが、労使の話合いにより一時的に・臨時的に就労することは可能としています。
□ ポイント
(1) 使用者と労働者がの合意が前提で、事業主の一方的な指示により就労させることはできない。
(2) 就労が月10日(10日を超える場合は80時間)以下であれば、育児休業給付金が支給される。
(3) 恒常的・定期的に就労させる場合は、育児休業をしていることにはならない。

(詳細)厚生労働省のリーフレット

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 傷病手当金と育児休業給付金は併給できるか

 健康保険の傷病手当金と雇用保険の育児休業給付金については、併給調整の規定はありませんので併給可能です。

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 育児短時間勤務と労働基準法の育児時間との併用もできる

 育児介護休業法の育児短時間勤務と労働基準法の育児時間は異なる制度のため、併用は可能です。

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 介護休業とは何か

 介護休業とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族を介護するためにする休業をいいます。

□ 介護休業できる労働者
(1) 介護休業できるのは、要介護状態にある対象家族を介護する労働者です。
(2) 有期契約労働者については、申出時点において、次のいずれにも該当すれば介護休業を取得できます。
ア 同一の事業主に引続き雇用された期間が1年以上であること
イ 取得予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までの間に、労働契約 (更新する場合には更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと
(3) 介護休業が適用されない労働者もいる

□ 対象家族の範囲
 配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫および配偶者の父母です。

□ 常時介護を必要とする状態に関する判断基準
(詳細)厚生労働省のHP

□ 介護休業できる期間
 申出ることのできる休業は連続したひとまとまりの期間の休業で、対象家族1人につき3回までです。かつ介護休業をした日数の合計が93日が上限です。

□ 介護休業の申出
 介護休業を行う場合には、介護休業を開始しようとする日の2週間前までに「介護休業申出書」を事業主に提出しなければなりません。

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 介護休業制度の種類

□ 介護休業
 前項参照

□ 介護休暇
 介護休暇とは何か

□ 所定外労働の制限
1 内容
 要介護状態にある家族を介護する労働者が当該家族を介護するために請求した場合に「所定労働時間を超えて労働させてはならない」とする制度
2  対象労働者
 要介護状態にある家族を介護する労働者(日雇労働者を除く。)
3 適用除外者
 労使協定で適用除外とされた者
4 申出
 1回につき、1月以上1年以内の期間について、原則として制限開始予定日の1か月前までに、書面により事業主に申出なければならない。なお、時間労働の制限とは重複できない。

□ 時間外労働の制限
1 内容
 要介護状態にある家族を介護する労働者が当該家族を介護するために請求した場合に「1か月24時間、1年150時間を超えて時間外労働をさせてはならない」とする制度
2  対象労働者
 要介護状態にある家族を介護する労働者(日雇労働者を除く。)
3 適用除外者 
(1) 雇用期間が1年未満の者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の者
4 申出
 1回につき、1月以上1年以内の期間について、原則として制限開始予定日の1か月前までに、書面により事業主に申出なければならない。なお、所定外労働の制限とは重複できない。

□ 深夜業の制限
1 内容
 要介護状態にある家族を介護する労働者が当該家族を介護するために請求した場合に「午後10時から午前5時までの深夜労働をさせてはならない」とする制度
2  対象労働者
 要介護状態にある家族を介護する労働者(日雇労働者を除く。)
3 適用除外者
(1) 入社1年未満の従業員
(2) 請求に係る家族の16歳以上の同居の家族が次のいずれにも該当する従業員
イ 深夜において就業していない(1か月について深夜における就業が3日以下の者を含む。)
ロ 心身の状況が請求に係る家族の介護をすることができる
ハ 6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産予定でなく、かつ産後8週間以内でない
(3) 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
(4) 所定労働時間の全部が深夜にある従業員
4 申出
 1回につき、1月以上6か月以内の期間について、原則として制限開始予定日の1か月前までに、書面により事業主に申出なければならない。

□ 介護短時間勤務
1 内容
 事業主は、(1)短時間勤務の制度、(2)フレックスタイム制、(3)始業・終業時刻の繰上げ・ 繰下げ、(4)労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度のうちのいずれかを講じなければならないという制度。 介護休業とは別に対象家族1人につき、利用開始の日から連続する3年以上の期間で2回以上利用((4)を除く。)できる措置としなければなりません。
2 対象労働者
 要介護状態にある家族を介護する労働者(日雇労働者を除く。)
3 適用除外者
 労使協定で適用除外とされた者
4 申出
 1回につき、1月以上1年以内の期間について、原則として短縮開始予定日の2週間前までに、書面により事業主に申出なければならない。

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 介護休業が適用されない労働者もいる

 育児休業制度については、(1)法の規定により適用除外とされる労働者、(2)労使協定を締結することにより育児休業等の申出を拒むことができる労働者、があります。
【注】いずれの場合も、日雇労働者は対象となりません。

□ 介護休業
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
(1) 同一の事業主に引続き雇用された期間が1年未満の有期契約労働者
(2) 介護休業開始予定日から93日経過日から6か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、 更新されないことが明らかな有期契約労働者
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 雇用期間が1年未満の労働者
(2) 申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
(3) 週の所定労働日数が2日以下の労働者

□ 介護休暇
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
 なし。
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 雇用期間が6か月未満の労働者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の労働者

□ 所定外労働の制限
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
 なし
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 入社1年未満の労働者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の労働者

□ 時間外労働の制限
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
(1) 入社1年未満の者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の者
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
 なし

□ 深夜業の制限
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
(1) 入社1年未満の者
(2) 深夜に介護できる次のいずれにも該当する16歳以上の同居の家族がいる者
 ・深夜に就業していない(深夜における就業日数が1か月について3日以下の場合を含む)
 ・傷病、心身の障害により介護が困難な状態でない
 ・6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定であるか、産後8週間を経過しない者でない
(3) 週の所定労働日数が2日以下の者
(4) 所定労働時間の全てが深夜にある者
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
 なし

□ 介護短時間勤務
■ 法の規定により適用除外とされる労働者
 なし
■ 労使協定を締結することにより申出を拒むことができる労働者
(1) 入社1年未満の労働者
(2) 週の所定労働日数が2日以下の労働者

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 介護休暇とは何か

 要介護状態にある家族の介護その他の世話を行う労働者が申し出た場合は、対象家族が1人の場合は1年度に5日まで、2人以上の場合は1年度に10日まで、当該世話を行うための休暇を取得させる制度です。

□ 介護休暇制度のポイント
(1) 労働者からの申出は口頭でもかまいません。
(2) 業務の繁忙等を理由としての介護休暇の申出を拒否できません。
(3) 突発的な事態に対応できるよう、休暇取得当日の申出も認められます。
(4) 1年度とは、毎年4月1日から翌年3月31日までとなりますが、事業所の実情にあわせて、1月1日~12月31日のような定めをしても差し支えありません。
(5) 介護休暇の付与日数は、申出時点の要介護状態にある家族の人数で判断されますので、対象となる家族が2人以上いる場合には、家族一人につき5日間までしか取得できないものでは なく、同一の家族について10日間取得することも可能とする必要があります。
(6) 介護休暇は、1日単位又は時間単位で取得することができます。ただし、時間単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者として労使協定の締結により除外された者については、時間単位での取得はできません。
(7) 始業の時刻から連続せず、かつ終業の時刻まで連続しない時間単位での休暇の取得(中抜け)も認められます。
(8) 介護休暇を有給とするか無給とするか事業主の任意です。
(9) 要介護状態および対象家族の考え方は介護休業と同じです。

【注】介護休暇制度については、入社6か月未満の労働者および週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定の締結により対象外とすることができます。

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 介護休業給付金

 介護休業期間中は、会社は賃金を支給しないケースが一般的ですが、介護休業期間中に一定の要件を満たすと、雇用保険から介護休業給付金の支給を受けることができます。
 介護休業給付金の支給申請は、ハローワークへ事業主が行います。なお、この申請書には労働者の個人番号の記載が必要です。
(詳細)ハローワークのHP
(参考)令和3年8月1日から、育児休業給付金、介護休業給付金、高年齢雇用継続給付金の手続の際、通帳等の写しを原則不要にします

■ 支給額
 原則として休業開始時賃金日額×支給日数×67%

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 要介護状態とはどんな状態をいうのか

 介護休業とは「労働者がその要介護状態(負傷、疾病または身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するためにする休業」をいいますが、常時介護を必要とする状態の如何については、通達により判断基準を示しています。

■ 常時介護を必要とする状態に関する判断基準
 「常時介護を必要とする状態」とは、以下の(1)または(2)のいずれかに該当する場合であること。
(1) 介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること
(2) 基準で示す①~⑫の状態のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつその状態が継続すると認められること

□ 介護休業を認めるにあたり、会社の判断はどうするのか
 育児・介護休業法では、労働者が介護休業の申出を行った場合には、事業主は原則としてそれを拒むことはできないとしますが、介護休業を認めるにあたり会社の判断はどうするかの問題があります。
・判断基準(1)のケース
 会社が要介護状態であるか否かを判断するに際し、医師・保健師・看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士が発行する診断書等の証明書の提出を求めることは可能とされますので、判断は容易と思われます。
・判断基準(2)のケース
 医師等による証明書の提出が困難なことも予想されますので、必要に応じ第三者の証明でも可能とするような柔軟な対応も必要と思われます。

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 育児・介護休業労働者への不利益扱いは禁止される

 育児休業や介護休業および子の看護休業の申出をしたこと又は取得したことを理由として、労働者に対して以下のような取り扱いを行うことは禁止されます。
(1) 解雇すること
(2) 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと
(3) あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、その回数を引き下げること
(4) 退職または正社員をパートタイム労働者等の非正社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと
(5) 自宅待機を命ずること
(6) 労働者が希望する期間を超えて、その意に反して所定外労働の制限、時間外労働の制限または所定外労働の短縮措置等を適用すること
(7) 降格させること
(8) 減給し、または賞与等において不利益な評価を行うこと
(9) 不利益な配置の変更を行うこと
(10) 就業環境を害すること

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 育児・介護休業期間は年次有給休暇の出勤率の算定対象期間から除外できない

 年次有給休暇の取得条件として、過去1年間(採用時は6か月間)に「全労働日」の8割以上を出勤することが必要ですが、年次有給休暇の出勤率の算定に当たって、次の休業した期間は出勤したとみなされ、全労働日から除外できないことになっています。
(1) 業務上のケガや病気で療養のために休業した期間
(2) 育児・介護休業法に基づく育児・介護休業をした期間
(3) 産前・産後の休業期間
(4) 年次有給休暇を取得した期間

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 子の看護休暇・介護休暇を年次有給休暇の出勤率算定対象とするか否かは自由

 子の看護休暇・介護休暇を年次有給休暇の出勤率の算定対象期間とするか否かについては、育児・介護休業期間と異なり特に規定されたものはありませんので、子の看護休暇、介護休暇の期間について、年次有給休暇の出勤率の算定に当たっては、欠勤と見なしても差し支えないとされています。

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 育児・介護休業法による休業等で賃金を支給するか否かは会社の自由

 育児介護休業法では、賃金の支給についての規定はありません。
 したがって、育児・介護休業や子の看護休暇・介護休暇を取得した日を無給とすること、所定労働時間の短縮措置により短縮された時間分を減給すること、退職金や賞与の算定に当たり休業をした期間を日割りで算定対象期間から控除するなども問題ありません。これらの支給の有無等については、各企業で決定することになります。
 なお、育児休業・介護休業の場合はハローワークから給付金が支給されますが、賃金が支給されると給付金が支給調整されますので、無給としておく会社が多いようです。

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 管理監督者と育児・介護休業法との関係はどうなっている

 厚生労働省の通達をみると、(1)育児休業に係る所定外労働の制限、(2)育児休業に係る時間外労働の制限、(3)3歳に満たない子を養育する労働者に関する所定労働時間の短縮措置は、何れも管理監督者は対象外であるとしています。以下に、該当の通達文を抜粋しました。
 なお、深夜労働の制限ついては通達に記載がなく、また労働基準法41条においても、深夜労働は労働時間等に関する規定の適用除外としていないことから、管理監督者であっても対象となると思われます。

■ 所定外労働の制限
 「労働者」のうち、労働基準法第41 条に規定する者(①労働基準法別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者、②監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者、③監視又は断続的労働に従事する者)については、労働時間等に関する規定が適用除外されていることから、所定外労働の制限の対象外であること。
 このうち、労働基準法第41条第2号に定める管理監督者については、同法の解釈として、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであることとされていること。したがって、職場で「管理職」として取り扱われている者であっても、同号の管理監督者に当たらない場合には、所定外労働の制限の対象となること。

■ 時間外労働の制限
 「労働者」のうち、労働基準法第41条に規定する者(①労働基準法別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者、②監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者、③監視又は断続的労働に従事する者)については、そもそも労働基準法上の労働時間に関する規定の適用がないため、対象にはなり得ないものであること。
 このうち、労働基準法第41条第2号に定める管理監督者については、同法の解釈として、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであることとされていること。したがって、職場で「管理職」として取り扱われている者であっても、同号の管理監督者に当たらない場合には、時間外労働の制限の対象となること。

■ 3歳に満たない子を養育する労働者に関する所定労働時間の短縮措置
 「労働者」のうち、労働基準法第41条に規定する者については、労働時間等に関する規定が適用除外されていることから、育児のための所定労働時間の短縮措置の義務の対象外であること。このうち、労働基準法第41条第2号に定める管理監督者については、同法の解釈として、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあ
る者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであることとされていること。したがって、職場で「管理職」として取り扱われている者であっても、同号の管理監督者に当たらない場合には、育児のための所定労働時間の短縮措置の義務の対象となること。
 また、同号の管理監督者であっても、法第23条第1項の措置とは別に、同項の育児のための所定労働時間の短縮措置に準じた制度を導入することは可能であり、こうした者の仕事と子育ての両立を図る観点からはむしろ望ましいものであること。

(参考条文)労働基準法41条
 この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の1に該当する労働者については適用しない。
1 別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者
2 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
3 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
【注】別表1第6号7号の事業とは、農林水産の事業をいいます。