サワギキョウ

サワギキョウ(沢桔梗)はキキョウの名から想像するイメージとはかなりかけ離れた花である。
まず、枝分かれをしない茎の背丈が1メートル近くになり、しかも、濃い紫の5裂した唇形の花を茎の上部に総状に咲かせる。


北海道、本州、四国、九州の山地の湿った草地や湿原に8月末から9月にかけて咲き、キキョウと同じく雄性先熟で、雄しべから花粉を出している雄花期の後、雌しべの柱頭が出てくる雌花期となる。 自家受粉を避け他の花と交わって健康な子孫を残す植物の知恵であろう。
一方、この花はアルカロイドのロベリンを持つ毒草としても知られ、麻酔など薬草として利用された例もあるが、推理小説の中の毒薬としても登場する。
埼玉県では絶滅危惧1A類に分類され、散歩がてらに見られる野の花では無いが、それでも近くの武蔵丘陵公園に咲き、県境を接する群馬県の赤城山や尾瀬ヶ原でも見られる。
キキョウ科ミゾカクシ属の花で、属を代表するミゾカクシも小さいながら同じ形の花を付け田んぼの雑草としてその特異な姿で繁茂している。 近年では北アメリカ原産の宿根ロベリア(紅花サワギキョウ)も庭を飛び出して野原で咲いていたりする。( 「ミゾカクシは溝をも隠す」 の項参照)

ミゾカクシ

ベニバナサワギキョウ

サワギキョウの季語は秋で秋の花に入れるべきであろうが、8月末から9月の未だ残暑の残る時期に咲くので夏の花に入れた。 このように季節の変わり目に咲く花はガンクビソウ等多く、迷う事が多い。( 「ガンクビソウと季節感」 の項参照)

次へ

最初のページへ戻る