キツネノマゴとハグロソウ

キツネノマゴ

キツネノマゴは立秋の頃から道端や野に小さな花を付け始め、しばしば群生し、小さいながらも良く目立ち、四角い茎と唇形花でシソ科の花と思ってしまうが、シソ科ではなくキツネノマゴ科の一家をなす。
花の白い斑紋は密票で、ハナバチ等が訪れ花粉を運ぶ。
日本、中国、朝鮮半島に広く分布し、中国の古典にも記載されている薬草で、漢方の生薬名を爵床(しゃくじょう)と言い、関節炎、風邪の解熱剤、古くは目薬としても使われた。
日本に古来からある野の花は大半が薬草で、日本人の生活と深く関わってきたが、キツネノマゴもそのひとつであり、若い葉は ’お浸し’ にして食べられた。
キツネノマゴ(狐の孫)の名前の由来に定説は無く、花が子狐の顔に似ている、あるいは、花序の形(花の付いている部分)が狐の尻尾に似ている等の説がある。

キツネノマゴ

キツネノマゴ科の花にはハグロソウと呼ばれる花があり、同じ頃、野や山の半日陰に咲くが、一つ一つの花はキツネノマゴより少し目立つ。 

ハグロソウ

葉が黒っぽい緑をしているので、ハグロソウ(葉黒草)の名が付いたとか、花の赤褐色の斑紋を 「お歯黒」 に見立ててハグロソウ(歯黒草)の名が付いたとか言われるが、キツネノマゴの名の由来と同様、定かではない。
二枚の花びらは珍しく、ツユクサ以外は身近にはなかなか見られない。

キツネノマゴ、ハグロソウは小さいながらも晩夏から秋の野原で目立つキツネノマゴ科の花である。

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