ミゾソバ

「ミゾソバの 水より道に はびこれる」・・・・立子

ミゾソバは秋の野の花の中でも特に良く目立つ花のひとつである。
秋も中旬の頃、小川や用水路脇に群生して咲き、立子の句にあるように、はびこる印象が強いが、拡大してみるとなかなか可愛い花で、花びらの様に見えるのはガクで花弁は無く、これがタデ科の植物の特徴である。 
閉鎖花を持ち、受粉しなくても確実に種子を形成する能力を持つのがこの植物の生存戦略で、その為小川や用水路等の水辺にはびこる。
同じタデ科のソバの花に似て水辺に咲く事からミゾソバ(溝蕎麦)の名があり、下の写真の様に葉が牛の額に似た形なので、ウシノヒタイとも呼ばれる。
タデ科の植物の中には花がソバ(蕎麦)の花に似ていることからソバの名が付く植物が種々ある。
ソバについては夏そばの項( 「ソバと食文化」 )で述べたが、トゲソバの別名を持つママコノシリヌグイや、ツルソバ、ヒメツルソバ等、いろいろである。( 「ママコノシリヌグイとその仲間」 の項参照)

ミゾソバの花と葉と群生

  トゲソバ          ツルソバ        ヒメツルソバ

ヒメツルソバを除き、いずれも古くから日本に自生している花であるが、ヒメツルソバだけはヒマラヤ地方から観賞用に持ち込まれ、一部野生化したものである。 ソバの花に似てツル性で、ツルソバより小さい事からヒメツルソバの名があり、庭にも植えられる。
ミゾソバ、トゲソバ、ツルソバ、ヒメツルソバはいずれもソバの名が付き花も良く似てはいるが食用にはならない。

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