ハゼラン

夏から秋にかけて、背丈や葉の大きさに比べると極めて小さな花をたくさん付け、しかもその花も昼過ぎの数時間だけ開き、何となく気になる花が家の近くの道端や散歩道の道路わきに現れる。
ハゼラン(爆蘭)と呼ばれる熱帯アメリカ原産の帰化種で、明治初期に観賞用に持ち込まれた花が野生化したものである。
ハゼラン(爆蘭)の名の由来は蕾がはぜる(爆ぜる)ように咲くラン(蘭)のような花と言う説や、丸い蕾の状態が線香花火を連想させる等、諸説あり、はっきりしないが、三時頃咲くのでサンジカ(三時花)、サンジソウ(三時草)とも呼ばれ、こちらの方が分かりやすい。
野の花には花の開く頃の時間を名前に付けたヒツジグサ(羊の刻=午後二時頃に開くと信じられていた)やオシロイバナ(午後四時ごろ開くので英名フォ−オクロック)等があり、ハゼランも三時ごろから開き始め夕方には閉じてしまう。( 「ハスとスイレンと水辺の花」 、 「オシロイバナと白粉」 の項参照)
開花時刻が決まっている花は多く、日の光や温度の刺激を受けて開花するタンポポ、前日の夕方暗くなるという刺激を感じて正確に時を刻み始め一定時間を経過すると蕾を開き始めるオオマツヨイグサ、早朝に開花するホテイアオイ等々、それぞれの植物が時を刻む 「生物時計」 の仕組みをもっており、ハゼランも何らかの形で三時ごろを認識していると考えられる。


ランの名前が付いているがラン科ではなく、スベリヒユ科の花で、花は極めて小さいものの、拡大すればランのような派手な印象を受ける事から名前が付いたと思われる。
三時頃から数時間だけ花を開き、原産地では柔らかい葉は野菜として食べられる等、極めてユニ−クな性質を持った花である。

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