オシロイバナ



江戸時代にオシロイバナの実(み)をつぶし、その中の澱粉質を白粉(おしろい)代わりに用いた事が貝原益軒の書にあり、又、近年では女の子が白粉(おしろい)に見立てて遊んだ事からオシロイバナの名がある。
白粉(おしろい)は古代ではもち米の粉が使われ、江戸時代には鉛粉から作られた 「京白粉」 や水銀から作られた 「伊勢白粉」 が有名であったが、いずれも有毒で、その為、現代では二酸化チタンを使ったものが用いられる。
オシロイバナの白粉(おしろい)は鉛や水銀で作られた白粉(おしろい)の代用ではあったが、自然から取れるもので、江戸時代の人々が毒性や公害に敏感であったらもっと使用されていたと思われる。

原産地は熱帯アメリカ(メキシコ)で江戸時代に渡来し、現在では、あちこちで野生化している。
夏の午後四時頃から咲き始めるので、別名ユウゲショウ(夕化粧)、英名フォーオクロックと呼ばれるが、秋になると午前中から咲き、夏にも秋にも良く目立つオシロイバナ科の花で近縁にブーゲンビリアがある。。


一本の株から異なる色の花が咲き、写真のように絞り模様の花もあるが、実際には、花に見えるのは花弁ではなくガクである。 良い香りを発し、昼は多彩な色で、夜は香りで昆虫を引き付けるが、有毒で、誤食すると嘔吐、下痢を催す。
オシロイバナの 細長いラッパ状の花を高浜虚子が次の様に詠んでいる。 「白粉の花落ち 横に縦にかな」。

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