ネナシカズラ

アメリカネナシカズラ

晩夏から秋にかけて、野原や河原を散策していると、オレンジ色の細い蔓を他の植物に絡ませて全体像は何となく不気味だが小さな可愛らしい花をいっぱい付ける植物が目に付く。
ネナシカズラやアメリカネナシカズラで、根や葉を持たず、他の植物に絡みつき、宿主から水分や栄養を取り、オレンジ色の細いを蔓(つる)をいっぱい絡ませて、さながら植物界のエイリアンの様相を呈す。
地中の種子から蔓を出し、宿主に巻きつきながら寄生すると根が枯れてなくなるのでネナシカズラ(根無し蔓)の名がある。
研究者によると空気中の化学物質を嗅ぎ分け好ましい宿主の方へ這い寄るそうである。 
散歩道で見られる寄生植物にはネナシカズラの様に全寄生するものとカナビキソウやママコナの様に半寄生する植物が有る。( 「カナビキソウは半寄生植物」 「ママコナとミヤマママコナ」 )
ネナシカズラにも日本在来種のネナシカズラ、ハマネナシカズラ、マメダオシの他、帰化種であるアメリカネナシカズラが日本に自生している。 アメリカネナシカズラは北アメリカ原産の帰化種で1970年代に多摩川で始めて発見されたが、瞬く間に全国に広がった。
ネナシカズラもマメダオシもアメリカネナシカズラも全体像はそっくりであるが、花の付き方や花冠の形状、花柱、雄しべの長さ等が多少異なる。

ネナシカズラ

アメリカネナシカズラ

細い蔓に花をいっぱい付けるが、オレンジ色の蔓が何となく不気味で、全体像もエイリアンを髣髴とさせる。 アメリカネナシカズラの写真の中で黄色く膨らんで見えているのは虫こぶ(虫えい)で、寄生植物に寄生する虫がいるというのも面白い。
果実を採取し陰干しにして乾燥させて種子を取り出すと漢方の生薬名で 「菟糸子(としし)」 と呼ばれる薬で、煎じて服用すれば滋養強壮剤となり、患部に貼れば皮膚病に効果がある。
ヒルガオ科の植物であるが、近年ではネナシカズラ科とする動きが有る。

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