ヒメカンスゲ

ヒメカンスゲ

早春の散歩道の林縁で枯葉ばかりが目立つ頃、花とはいえないまでも、白いぼさぼさ頭の植物が目立つようになってくる。
カンスゲと呼ばれるスゲの仲間で、一般に、スゲは冬には枯れてしまうが、常緑のスゲがあって、冬にも枯れないのでカンスゲ(寒菅)の名がある。

カンスゲ、ミヤマカンスゲ、オクノカンスゲ、ヒメカンスゲ等が自生している。 特に小さいカンスゲを意味するヒメカンスゲはこの地方の林縁で花々が未だ少ない早春に咲き、良く目立つ。 表題の右側の写真のボサボサ頭が雄花で、茎の下のほうから出ている細いのが雌花である。
「夏も近づく 八十八夜 野にも山にも若葉が茂る あれに見えるは 茶摘じゃないか 茜たすきにスゲの笠」 と茶摘歌にあるようにスゲ(菅)は笠や菅細工(すげざいく)に使われてきたなじみの深い植物として知られている。
カヤツリグサ科スゲ属は熱帯から寒帯、湿原から野原まで幅広く生育地があり、種々さまざまで、日本にも200種程度が生育し、湿地に生えるものが多い。
地下茎があり、多年草で、いたる所に生えている植物であるが、花は目立たず、近年では利用価値も低い為、雑草として扱われ、顧みられることもない。
それでも中には、カンスゲのようにに花を付ける比較的目に付くスゲもある。
 

ヒメカンスゲ

  カンスゲ           カンスゲ         ミヤマカンスゲ

カンスゲやオクノカンスゲ、ミヤマカンスゲはヒメカンスゲより大きく、それぞれ花だけ見ても区別は出来ないが、葉の形が多少異なる。
カンスゲ(寒菅)の名の由来は冬でも常緑のスゲから来ているが、スゲの語源ははっきりせず、一説には叢生する葉が毛のように細く、全体が鳥の巣のように見えるので 「巣毛」 からスゲになったという説や、清清しいの意味からスゲになったとする説が有るが、定説はない。
カヤツリグサ科の植物は野の花としてはほとんど目立たず、散歩道でも春のカンスゲと夏のカンガレイ、ホタルイ、ヒメカヤツリグサ、等 限られるが、中でも春の花の少ない時期に咲くヒメカンスゲはカヤツリグサ科の中ではもっとも目立つ花である。( 「イグサとカンガレイ」 「カヤツリグサと水花火」 の項参照)

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