野生のアサガオ達

アメリカアサガオ

アサガオは夏の風物詩であるが、日が短くなると咲く短日植物で、俳句の季題でも秋の花である。
特に、野に咲くアサガオは九月から十月の秋に目立ち、散歩道のいたるところに咲いているが、ニホンアサガオではなく、 アメリカアサガオ、ホシアサガオ、マメアサガオ等の近年渡来した外来種である。
ニホンアサガオ(日本朝顔)は奈良時代に薬用として中国から渡来し、種が有名な漢方の薬として用いられ栽培されてきたが、花の美しさから江戸時代に盛んに交配され、現在の園芸種のアサガオとなり、庭を彩る。
アメリカアサガオは熱帯アメリカ原産で、戦後、輸入された食料に混じったものが各地に広がったもので、ガクが分厚く、先が反り返る事で普通のアサガオと区別でき、花も小さく、午後も咲き続ける。 野生アサガオの中でも特に目立ち、葉は下の写真の様に丸葉のものや複雑な形をしたものまで種々ある。
ホシアサガオ(星朝顔)は星型の小さな紫色の可愛い花を付け、マメアサガオ(豆朝顔)は白色や淡紅色の極めて小さい花を付ける。 いずれもアメリカ原産の帰化植物である。

アメリカアサガオ

 ホシアサガオ

 マメアサガオ

アサガオ(朝顔)の名の由来は朝に咲く可愛い花の代表と言う意味であるが、これにも歴史がある。
平安時代、山上憶良が秋の七草として 「萩の花 尾花葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 アサガオの花」 と詠んでいるが、このアサガオは現代の桔梗(キキョウ)の花であるとされ、現代のアサガオが朝を代表する朝顔になったのはずっと後世の事である。 一説には朝に咲く美しい花をアサガオと呼び、最初はキキョウ、次がムクゲ、最後が現代の朝顔になったとある。( 「キキョウいろいろ」 の項参照)

アメリカアサガオ、ホシアサガオ、マメアサガオはアサガオと同じヒルガオ科サツマイモ属の花であるが、日中にも咲き続け、たくましく野生化している様子はどちらかと言うとヒルガオに近い。 ( 「ヒルガオは美人の代名詞」 の項参照)

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