ヒルガオとその仲間

ヒルガオ

「高まどの 野辺の容花(カオバナ)  おもかげに 見えつつ妹(いも)は 忘れかねつも」・・・・大伴家持

現代では雑草扱いされているヒルガオも万葉時代にはカオバナ(容花)と呼ばれ、カオバナと言うだけで、容姿端麗な女性を思い出させる程美しい花とされた。
朝咲く花を朝顔、昼咲く花を昼顔と近代の名前の付け方は単純だが、夕顔、夜顔まであり、それぞれ、咲く時間、時期以外に花や葉の形も異なり、朝顔、昼顔、夜顔は同じヒルガオ科であっても、夕顔はウリ科の全く別の花である。
昼顔にもヒルガオとコヒルガオがあり、表題の写真がヒルガオで下の写真はコヒルガオであるが、この地方の散歩道や野原で繁茂しているのはどちらかと言うとコヒルガオで、葉の基部の形が少し異なり、花茎に翼が付いており、花も小ぶりである。

コヒルガオ花と葉と群生

いずれも繁殖力が強く、蕪村が 「ヒルガオや この道唐の 三千里」 とそのたくましさを感じさせる句を詠んでいるが、日当たりの良い野原にいっせいに咲くさまは、それはそれで現代でも見ごたえがある。
又、この地方では見られないが、海岸線にいくと、ハマヒルガオが一面に咲いており、花はコヒルガオに似ているが、葉の形が全く異なる。

ハマヒルガオ

現代では朝顔は園芸種として育てられ、ヒルガオは雑草として駆除の対象になるのはなんともかわいそうであるが、朝顔もれっきとしたヒルガオ科である。 ただ、ヒルガオがヒルガオ属に対し、アサガオはサツマイモ属と多少異なる。
又、アサガオの名が付くヒルガオ科サツマイモ属の野生の花の中にはホシアサガオ(星朝顔)やマメアサガオ(豆朝顔)、アメリカアサガオもあり、ヒルガオが盛りを過ぎる頃に土手に顔をだす。
アサガオとは言っても、どちらかと言えばヒルガオのように昼間にも咲くアメリカ原産の帰化植物で、いずれも小さな花であるが、逞しく他の植物に巻きついていく。( 「野生のアサガオ達」 の項参照)

ホシアサガオ      マメアサガオ      アメリカアサガオ

ヒルガオ、コヒルガオ、ハマヒルガオ、ホシアサガオ、マメアサガオ、アメリカアサガオは野原を彩るヒルガオ科の花々で、それらを代表するヒルガオも現代では雑草に過ぎないが、万葉時代は美人の代名詞であった事を思うと見方も変わってくる。

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