イタドリ

イタドリの雄花

イタドリは春の山菜であるが、花は晩夏から初秋にかけて咲く。
九月前後に小さな花をいっぱい付け、時には一面が白くなるほど群生するが、拡大して見るとなかなか味のある花を付ける。
雌雄異株で雄花と雌花があり、群生して咲くとあたり一面が真っ白になり見事である。

イタドリの雄花

イタドリの雌花

花が終わると、翼がある種子ができ、風に助けられて分布を広げ、いったん定着すると、大きい地下茎で群落を広げ、クズ等と共に山野にジャングルを作り、「山陰に 虎杖(イタドリ) 森のごとくなり」 と正岡子規が詠っているように繁殖力が強い。 シーボルトが持ち帰って欧州に帰化し、現在の欧州で駆除の対象として大きな問題になっている。
春の若芽は食用となり、酢味噌、胡麻和え、油炒め、酢の物等で食べられ、高知県では山菜のナンバーワンであると聞く。
生でも食べられ、酸味があるので、地方によってはスカンポとも呼ばれるが、いわゆるスカンポはこの植物では無く、スイバの事である。( 「スイバはスカンポ」 の項参照)

春のイタドリ(虎杖)

根茎を乾燥させたものを漢方の生薬(しょうやく)名で虎杖(こじょう)、虎杖根(こじょうこん)と呼び、利尿剤や通径薬として用いられる。 又、傷や火傷の手当てにも用いられ、戦時中はタバコの葉の代用として使われた。
名前の由来は薬用として痛みを取る事からイタドリの名が付いたとされるが定かではない。
イタドリを漢字で書くと虎杖(イタドリ)で、葉が茂る前の姿を杖(つえ)に例え、斑紋を虎の縞模様に見立てて名付けられたものであるが、清少納言は枕草子で 「イタドリは まして虎の杖とかきたるとか 杖はなくとも ありぬべきかほつきを」 と、おおげさな名前に言及している。

よく見れば可愛いタデ科の花であり、日本各地、朝鮮、中国、台湾に分布し、通常のイタドリの他、花の色が紅色を帯びるベニイタドリや全体が大きいオオイタドリ等、数種ある。

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