クコ

昭和40年代に日本中にクコブームが起きた事がある。
敗戦から20年以上経ち、人々の生活も落着いてきて健康志向に目覚め始めた頃でもあり、クコが万病の薬として喧伝された為日本中にクコブームが起こり、クコは乱獲され、栽培もされた。

元々、古来から有名な薬草で、特に中国では不老長寿の薬として三千年−四千年前から用いられたとされ、紀元前に編集されたとされる中国古典の 「詩経」、1500年代に書かれた中国で最も重要な薬学書 「本草綱目」 他にも記載がある。
中国の民間で伝承されている健康管理の言葉に 「春の天精草 夏の長生草 秋の枸杞子 冬の地骨皮」 があり、天精草はクコの葉、長生草はクコの花、枸杞子はクコの実、地骨皮はクコの根を指し、一年を通じて用いれば健康を維持できるとしている。
日本でもクコブ−ムの最初の走りは平安時代で、貴族の間でもてはやされ、江戸時代には貝原益軒が 「大和本草」 の中でクコは最良の薬菜とし、そして最近の日本中のクコブームに繋がっている。
クコの葉はクコ茶として高血圧、動脈硬化に効き 「延命茶」 と呼ばれ、実(み)は枸杞子(くこし)と呼ばれる漢方の生薬(しょうやく)やクコ酒にされて強壮、疲労回復、肝臓機能の強化に用いられ、根は地骨皮(じこっぴ)として血圧降下、解熱等に効き目がある。 若葉は天ぷらやお浸しとしても食べられる。

ナス科の落葉低木で中国から帰化した花であるが、日本各地に自生して、ブームが去ってもしぶとく生き残り、花も目立つが、晩秋にはその赤い実(み)が特によく目立ち、散歩道のいたるところで見られる。

クコの花

クコの実

クコ(枸杞))の名の由来は漢名の枸杞をそのまま音読みしたものであるが、中国では 「カラタチ(枸)に似た刺(とげ)があり、コリヤナギ(杞)の様に枝がしなやか」 な事からクコ(枸杞)の名が付いたとされる。
漢方で不老長寿の薬とされるものはツルドクダミ、イカリソウ等種々あるが、中でもクコはその代表である。( 「ツルドクダミと不老長寿」 、「イカリソウと強壮剤」 の項参照)

次へ

最初のページへ戻る