イカリソウ

イカリソウは古来から強壮剤として有名な花であり、現代でも疲労回復用のドリンク剤に入れられたり、イカリソウ酒として薬酒にも利用されている。
中国名で淫羊霍と呼ばれ、漢方の生薬名でも淫羊霍(いんようかく)の名があり、1500年代に書かれた中国で最も重要な薬学書 「本草綱目」 によれば 「四川(しせん)の北部に淫羊という羊がおり、一日百回も交尾する。 それはこの草の花霍(かかく)を食べている為で、この草を淫羊霍(いんようかく)と名付けた」 とある。
和名のイカリソウ(碇草)は花の四方に伸びた角のような部分を船の碇(いかり)の鉤(かぎ)に見立てて名付けられたものであるが、下の写真の様に葉の茎は三本の枝を出し、その先に三枚の葉を付けるので、サンシクヨウソウ(三枝九葉草)とも呼ばれる。

イカリソウの葉の出方

鉤(かぎ)に当たる部分は距(きょ)と呼ばれ、花弁の一部が袋のように変化したものでこの中に蜜が入っている。
又、種にエライオソームと言うアリの好物の物質を付け、アリに種を運ばせて分布を広げる。
中国、南ヨーロッパ、北アフリカ、日本等に広く分布し、日本では東北以南の半日陰の山野、林間に咲き、通常、平地で見る事は難しいが、筆者の散歩道の観音山と呼ばれる古墳程度の山で見られる。
観音山は標高97.5m、周囲1km足らずの丘で、周囲の土地よりわずか40m程度高いに過ぎないが、山全体が麓の竜泉寺の寺社林になっている為、開発や乱掘から免れ、貴重な花々が四季折々に咲き、イカリソウもその一つである。

イカリソウいろいろ

花の色も紫、白、黄色等を含め約30種程度があるメギ科の花で、花自体も十分鑑賞に耐えるが、古来から強壮剤としても有名な植物である。

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