キクイモと類似種

かっては有用な植物でも現代では顧みられず、野生化するに任せている野の花は多いが、中には復活する花もあり、キクイモもその一つである。
夏の終わり頃から秋にかけてヒマワリの様な花を付け、花が終わると地下茎が膨らみ芋(塊茎)を付ける。
原産地は北アメリカともブラジルとも言われ、原住民が芋を食用にしていたようである。
江戸時代末期に渡来し、明治時代には飼料として栽培され、戦時中には芋からアルコールや果糖を製造した。
戦後は顧みられず、野生化するままに放置されていたが、イヌリンを含む為、近年、健康食品として脚光を浴び、糖尿病患者の食べ物やダイエット食品として喧伝され、天ぷらや味噌漬け等で独特の食感を味わうようにもなっているようである。 健康食品ブームに乗って、再び見直されている花である。

キク科ヒマワリ属の帰化植物で芋(塊茎)を付けるのでキクイモの名があり、土手や河原に群生するのでよく目立つ。
キクイモより花びらが少なく、芋の出来ないタイプをキクイモと区別してイヌキクイモと呼ぶ記述もあるが、キクイモの変異と考えられ、野の花としてはキクイモでよいと思われる。

キクイモ

このキクイモによく似ていて同じキク科で属は異なるが野原を彩る花にハンカイソウとオオハンゴンソウがある。

ハンカイソウ

オオハンゴンソウ

ハンカイソウはこの地では見られないが、夏の梅雨の頃関西に行くと、あちこちに咲いており、一見キクイモと思ってしまうが、咲く時期が早く、おかしいなと思って近づくと葉に切れ込みが多く、キクイモの葉とは全く違う事が分かる。 ハンカイソウは漢の始祖である劉邦の武将の樊膾(ハンカイ)にちなんで名付けられた花で、その大きさと豪快さが名の由来である。 古くから日本に自生しているが、古代に中国から入ってきたと考えられる。
オオハンゴンソウはキクイモと同じ秋に咲き、ハンカイソウとは異なり、この地を含めた中部以北に咲く花で、やはり明治時代に北アメリカから園芸用に持ち込まれた花が野生化したものである。
ハンゴンソウと葉の形が似て、花が大きいのでオオハンゴンソウの名があるが、全体像は全く異なる。
ちなみにハンゴンソウは反魂草と書き、強い香りで死者を蘇(よみがえ)らせると言う伝説から来た名である。

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