著者曰く、
多くの人に,
本書を通して多変数関数論とはどんなものであるかを幾分でも理解してもらえ,
応用に役立ててもらえば,著者にとって望外の喜びである.
なぜこの本を買ったかというと、 一つは私が学生のとき著者の若林先生に解析学を教わったのでその恩返しということ、 もう一つは日本の数学者である岡潔がどんな仕事をしたのかを知りたかったこと、 この二つの理由からである。
岡潔という数学者の名前は、高校の数学教師であった O 先生から何度も聞いた。 そして大学卒業後に一時期購読していた雑誌「数学セミナー」で掲載されていた 「紀見峠を越えて」という連載で、高瀬正仁氏が描いた岡潔像が心に残っていたからである。
さて、この本を買ってみて岡潔の業績は理解できただろうか。 ただ見ているだけでは全く理解できないことがわかった。 それはそうだ。第1章の「多変数正則関数の基本性質」からして戸惑っているからだ。 これでも学生のときは複素関数論を履修した。といっても、とりあえず留数定理を覚えて積分計算ができた程度だから、 本質を理解していたとはいいがたい。
第1章では、 一変数の複素関数と多変数の複素関数には本質的な違いがあることが説明されている。 そうなると、一変数の複素関数の理解がおろそかだから先に進めないというわけだ。
コーシーの積分公式があった。まずはこれから理解しないといけないのだろうな。 1変数の場合はこうだ。 `f(z)` は単連結領域 `D` で正則な関数、`C` は `D` の内部にある単純閉曲線とする。 このとき、 `C` の内部の点 `z` に対して次式が成り立つ。 なお、積分路は `C` を正の向きに 1 周するものとする。
`f(z) = 1/(2pii) int_C f(zeta) / (zeta - z) d zeta`
数式表現は ASCIIMathML を、 数式表現はMathJax を用いている。
書名 | 多変数関数論 |
著者 | 若林 功 |
発行日 | 2013 年 12 月 10 日 初版 1 刷 |
発行元 | 共立出版 |
定価 | 1900 円 |
サイズ | |
ISBN | 978-4-320-01999-7 |
NDC |
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