メディアによる批評

美しくて温かい詩のようなデュオ

ギターの廣木光一とピアノの渋谷毅による「ソー・クワイエット」は、美しくて温かい詩のようなデュオ。

(青木啓「朝日新聞」1998年11月27日夕刊)

本当の大人どうしの円熟した対話

廣木と渋谷という地味だが真の実力派同士のデュオは、本当の大人どうしの円熟した対話が聞かれる。ギター&ピアノのデュオと言えば、ホール〜エバンスの「アンダーカレント」となるが、あの緊迫したスリリングさは、ここにはみじんもなく、ゆっくりとスイートに時が流れてゆく。廣木のギターがアコースティックということも、多分に関係しているのだろうが、2人の醸しだす澄みやかな雰囲気、あたかもアスファルト・ジャングルの中の一陣の涼風のようで、こたえられません。

(小西啓一「スイングジャーナル」1998年12月号)

人の温もりがあるのに騒がしくない空間

39年生まれの渋谷毅と56年生まれの廣木光一。ふたりとも日本ジャズ・シーンにおいて確固たる地位を築いているミュージシャンである。彼らの出会いは80年代の坂田明&ヒズDA・DA・DAオーケストラに始まり渋谷毅オーケストラでの共演もある。そして再び出会ったとき、静寂のなかにそれぞれがムダのない研ぎ澄まされた音だけを並べ絡めていく。まさにタイトルどおりの世界なのであるが、そこには妙な暖かさがある。ポッカリと空いた無機的な"静寂"ではなく、人の温もりがあるのに騒がしくない空間。饒舌とは無縁だが、語るべき内容を語るべくして語る。ゴツイ作品だ。

(富沢えいち「ジャズライフ」1998年12月号)

バラードでもスイングを失わない

・・・何のてらいもなく、さりとて野放図に屈託なくというのでもなく、互いに淡々と心情を吐露しながら心を通わせあったこの作品は、ジャズ道一筋に地道な歩みを続けてきた両演奏家の、現在の成熟した境地をほのぼのと照らしだしていて興味深い。・・・ミンガスあり、ブルーベックあり、またオリジナル曲に加えてスタンダードあり、といった変化に富む選曲で食欲をそそる。タイトル通りのひそやかなダイアローグ集だが、この人たちの演奏はたとえバラードでもスイングを失わない。演奏は全編アコースティックな楽器で行われており、広木の言葉を借りれば、" 混じり気なしのデュオ "の妙味をしなやかに発揮した心温まる一作となっている。

(悠雅彦「信濃毎日新聞」1998年11月13日(金)朝刊)

清澄な廣木のプレイと熟練の渋谷の静かな対話

穏やかで、リラックスしていて、優しい音色の作品だ。渋谷オーケストラでの共演以来ほぼ10年振りの再会で、今回は廣木g、渋谷pのデュオ(ソロ曲もあり)。お互いに持ち寄ったオリジナルとスタンダードで構成され、曲の持ち味そのままに、まったりと時間が経過していく。アクースティックの音色を充分に活かした録音で、清澄な廣木のプレイと熟練の渋谷の静かな対話から零れる表情が洒脱な雰囲気を醸し出す。なんか人肌っていう感じが心地よい。98年録音。

(高橋弘「レコードコレクターズ」1999年1月号

ソロも1曲ずつ吹き込んだのも魅力

それぞれに個性派、廣木光一と渋谷毅ががっぷりと四つにくんだデュオ・アルバム。スタンダードやジョビンの作品のほかに、ソロも1曲ずつ吹き込んだのも魅力。

(「FM fan」1998年 No.25)

秀逸な「ファランド・ジ・アモール」

ベテラン・渋谷毅のピアノと新鋭(中堅か)廣木光一のアコースティック・ギターとによるデュオ・アルバムだ。スタンダード曲からカルロス・ジョビンの地味だが秀逸な「ファランド・ジ・アモール」、そしてオリジナル曲などの10曲で構成されている。渋谷が「モンクス・ムード」で、廣木が「セ・シ・ボン」の1曲ずつソロをとっていく。予想以上にゆったりした時間の流れを感じさせ、優美に深い情感の漂う演奏を聴かせていく。ほとんど飾り気のない演奏でありながら、ジャズにほろ酔いといった気分の心地好さを味わえる。

(中山久民 「CDジャーナル」1999年1月号)

 

更新情報

2012年5月19日
冊子・広報誌(六弦堂の仕事2)に、今年作ったもの2点を加えました。
2012年5月1日
六弦堂ページをリニューアルしました。
2012年1月4日
プレイ・ザ・スラッキー・ギターに「ビデオ(教則)」を加えました。
2011年12月26日
六弦堂ページをアップロードしました。

 

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