
人間の体内時計は、本来約25時間の所を24時間にリセットして生活しています。夏時間が導入されても、一日24時間が増える訳ではなく、まして、4月の導入改変時には1日22時間、2時間少なくなります。導入日から毎日2時間の早起きを続けなければなりません。急に2時間も早く起きる習慣は身に付かず、目覚まし時計で強制的に起こされる日々が続きます。睡眠不足を補い、体内時計を正常に戻すのに、通常1週間~10日間以上必要となります。因みに、2時間もの時差を設けてサマータイムを実施している所は、世界中に一箇所もありません。乳牛搾乳など、動物の体内時計を変化させることは非常に困難を伴います。

サマータイム導入について、時計の時刻変更設定をしなければなりません。旅行者と異なり、その地で暮らす生活者には、腕時計・壁掛け時計、携帯電話・一般電話機やFAX、パソコンから炊飯器やカーナビなど、一人10個以上ある時計内臓機器を有しています。街中の信号機や各種コンピューターから深夜電力積算メーターも時計を内蔵しています。個人から企業官庁に至るまで、その全てを、一度に時刻変更設定するのは大変です。特に夏時間に変わる際には、それでなくても一日の時間が少なくなる中で、多大な負担を強いられます。

サマータイムを導入している諸外国では、夏・冬一時間の時間差設定です。サハリン州の夏は、日本時間より2時間進んでいますが、冬時間も1時間進んでいます。
ニュージーランドの夏は、日本時間より4時間進んで(UTC+13)世界で一番早くなっていますが、冬時間も3時間進んで(UTC+12)います。この件に関して以前、大前研一氏は著書やテレビ番組で時差を勘違いされて、サマータイム2時間設ければ世界で一番早い金融市場に繋がる旨の記述がありました。私から、出版社(K社)及び著者本人に誤りを指摘し、その部分の内容を変更された経緯もあります。また、同様な間違いを、札幌商工会議所のサイトでも記述されていました。私の海外生活通算約3年間の内、ニュージーランドで年2度のサマータイムの時刻変更も生活者として体験しました。私が当時調査したところ、約3%の人々は、サマータイム導入日の時間切り替えを忘れていました。学校や乗り物に遅刻して、自分を責めている人を見かけましたが、後悔しても少なくなった時間は取り戻せません。一時間の時差でさえこの様な状況なのに、二時間の時間差変更は体への負担が多く、甚だ無謀と思われます。特に年配者の方々には、時差変更は辛いと思います。