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No.194 大雪山 |
黒岳石室に一泊して、北海岳、緑岳を経て大雪高原温泉に下りました。今年は天候に恵まれましたが、花の季節には少し早かったようで、コマクサやイワヒゲ、チングルマなどにはお目にかかれませんでした。 日時 2016年(平成28年)7月5日(火)〜6日(水) 天候 7月5日(火) 晴 7月6日(水) 曇後晴 同行 なし 7月5日 所要時間 黒岳リフト終点(11.25) ←55分→ (12.20)8合目(12.30) ←30分→ (13.00)9合目(13.05) ←40分→ (13.45)黒岳頂上(13.55) ←20分→ (14.15)黒岳石室 7月6日 所要時間 黒岳石室(5.10) ←50分→ (6.00)北海岳登り口(6.05) ←25分→ (6.30)休憩所(6.35) ←1時間→ (7.35)北海岳(7.45) ←1時間30分→ (9.15)白雲岳分岐(9.20) ←25分→ (9.45)小泉岳(9.45 ) ←45分→ (11.00)白雲岳避難小屋分岐(11.05) ←20分→ (11.25)緑岳(12.20) ←1時間25分→ (13.45)エイコの沢ガレ場(13.45) ←40分→ (14.25)第1お花畑入口(14.25) ←45分→ (15.10)大雪高原山荘 山行概要 7月4日(火) 層雲峡〜黒岳石室
層雲峡で、ロープウェー、リフトと乗り継ぎ、リフトの終点でいつものように少し早めのおにぎりの昼食を取りました。おにぎりを食べ終え、目の前のロッジにある入山ノートに行動予定を記入して、歩き始めました。一昨年は、登山道に雪はほとんど残っていなかったのですが、今年は歩き始めるとすぐ、目の前に雪道が現れました。八合目までは、土の上より雪の上を多く歩きました。八合目から九合目は少し登りが緩くなるので、ホッとした感じで歩けます。九合目で一息入れて、頂上へ向いました。ところが、今年は九合目の先の急な斜面で、未だ雪が沢山残っており、この斜面の上のほうで、軽装で登った登山者達が下りにてこずっていて団子状態になっています。多分上が滑ったらその下の集団は、みな巻き添えで滑落するのは間違いありません。この集団の下で巻き添えになるのは嫌なので、この集団が下り終えるまで、少し離れたところで待機していました。集団がいなくなり、上に誰もいなくなったことを確認して、この雪の斜面を登り、少し歩いたところで頂上まで0.3kmの標識が現われました。頂上までは、あと僅かです。 黒岳の頂上に着いて一休みして、黒岳の石室に向いましが、今年は花が少なく、黄色のメアカンキンバイと白いイワウメばかりが目に付きます。例年ここでよく見かけるエゾツツジは全く見られません。今年は、季節の進み方が少し遅いようです。 黒岳石室に着いて、宿泊の手続きを済ませて毛布を1枚受け取り石室の中に入りました。先着者は1名だけで、このところ定席にしている2階のコーナーに場所をとることができました。ザックの中身を出して寝る準備や食事の準備をし、これが一段落したところでカメラを持って石室の周りをブラブラしましたが、今年は未だ咲いている花がほとんどなく、収穫はありませんでした。午後5時を回ったところで、外のベンチで夕食(袋麺に乾燥野菜で具沢山にした通常の日帰り山行の定番メニュー)を作り、午後6時には寝袋にもぐりこみました。このあと消灯の午後8時までラジオを聴いて時間をつぶしました。午後8時を過ぎたところで消灯になり、そのまま寝込みました。この日の泊り客は自分も含めて4〜5人で、、苦手のいびきや近くの人の気配を気にすることなく、ぐっすり寝込みました。 7月5日(水) 黒岳石室〜大雪高原山荘 人が動く気配で目が覚めました。時計を見るとまだ午前3時前です。時間を確認した後また眠りに着きましたが、今度はぐっすり眠ることができません。午前3時半ごろ何人かが石室を出て行ったようで、それから石室の中は静かになりましたが、目が覚めてしまったので、午前4時を回ったところで、起きることにしました。ざっと周りを片付け、外に出てみると曇です。しかし周りの山々に雲はかかっておらず、雨の心配はしなくてすみそうです。石室に戻り、ザックのパッキンの目途がついたところで朝食にしました。昨日の夜までは、カップ麺の積りだったのですが、湯を沸かすのが面倒になり、昨日の昼食で残ったおにぎりを朝食にしました。あまり食欲はありませんが、吐き気などは感じることが無く、おにぎり1個を腹の中に収めることができました。これでしばらくはシャリバテの心配をしなくてすみます。 午前5時10分に石室を出発しました。出発するとすぐ小さな雪渓を下りますが、硬く締まっていて(因みに石室を出発する時の外気温は5℃を下回っていました。)、油断をすると滑って転倒します。慎重に歩きました。斜面を下りきったところで、赤石川を渡り、更にその先で北海沢も対岸へ渡りますが、今回はいずれも雪の上を歩いて渡ることができました。北海沢の右岸沿いに雪の上をしばらく歩いて、北海岳の登り口に着きました。ここから、北海岳の登りが始まります。最初は茂みの中を歩くため見晴しがありませんが、やがてこの茂みがきれ、辺りを見渡せるようになったところで、休憩用のベンチが設置されている休憩所に着きました。ここは見晴しがよく、花も沢山見られるところなのですが、今回は、花らしい花は咲いていません。 例年良く見かけるイワブクロは未だつぼみです。 ここを過ぎて、少々きつい登りを登りきると道は右に折れて、北海岳から延びている平らな稜線の下を歩くようになり、道は緩やかになります。一昨年、この辺りにはチングルマが沢山咲いていたのですが、今年は全く見かけません。少々物足りなさを感じながら歩きました。道はやがて北海岳から伸びる稜線の上に出て、さらにしばらく歩いたところで北海岳の頂上に着きました。ここは、見晴しのよいところです。お鉢平や北鎮岳などしばらく目の前の眺めを楽しみました。 北海岳から次の目標の白雲岳十字路を目指すと、しばらくは平坦な北海平を歩きます。花の盛りの頃は、花の密度が濃く、また種類も多いので目を楽しませてくれますが、今年は未だ開花が進んでおらず、目に付くのは紫色のエゾオヤマノエンドウとイワウメぐらいです。花の写真をほとんど写さないので歩くのははかどりますが、あまり面白くはありません。白雲岳の山すそで左に曲がり、雪渓に入って下り気味にしばらく歩き、雪渓が終わって短い登りを登り、白雲岳十字路に着きました。ここで、しばらく休憩です。 ![]() 緑岳に着いてみると先着者が数人います。私も頂上の一角で休むことにしました。ところがザックをおろして、これによりかかっていると眠気に襲われ、そのまま20分ほど寝込んでしました。こんなことは、山歩きでは初めての経験です。目が覚めて昼食です。昨晩作ったアルファー米の赤飯を食べました。味付けは、ごま塩だけですが、その塩味が食欲を誘ってくれます。インスタントの味噌汁などの飲み物も持参していたのですが、湯を沸かす気にならず。昼食は、赤飯とごま塩と水だけで済ませました。 昼食が終わったら出発です。緑岳の下りは、最初のうちは楽勝で歩けるのですが、ある程度下って少々下りに飽きてきた頃現われる、ハイマツ帯の中の岩の道が大変です。今年もうんざりさせられました。緑岳の急な下りが終わって道が平坦になり、更に進むと目の前が開け、一面の雪が目に前に現われました。エイコの沢のガレバです。シュルンドが口をあけています。落ちないように慎重に越えました。 今年は、前回と違い、第2お花畑も第1お花畑も、木道はほとんど雪の下です。 天気が良いので、のんびり雪の上を歩きました。第1お花畑を過ぎると大雪高原温泉へ下る道が始まりますが、今日の宿の大雪高原山荘は、あと僅かです。これから楽しめる温泉と冷えた飲み物を頭に描きながら、きつい道を下りました。大雪高原山荘に着いて、受付を済ませ、部屋で荷を解いて、まず温泉に浸りました。露天風呂で、何も考えずに湯に浸っている心地よさが何ともいえません。 翌日、大雪高原山荘の車で層雲峡まで送ってもらってバスで旭川に戻り、ホテルにチェックインして預けていた荷物を受け取るとともに、ザックを宅急便で自宅まで送りました。 2009年に大雪山系を初めて訪れてから、もう7年になります。その後、花と残雪の景観の素晴らしさに惹かれて、毎年のように大雪山を訪れて黒岳の石室を起点に歩いていましたが、最近は体力の衰えを実感させられるとが多くなりました。大雪山で未だ見ぬ花は沢山あり、愛山渓温泉へ下ってみたり、トムラウシ山まで足を伸ばしたい気持ちはありますが、夢で終わるような気がしています。さて、来年も来られるのかどうか、今年の大雪山は妙に心に残る山歩きでした。 |
7月4日 層雲峡〜黒岳石室 | |
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リフト終点 リフト終点が黒岳の七合目 正面の建物がロッジで、黒岳は、このロッジの前を通って登って行く ロッジの窓口に入山者名と歩くコースを記載するノートが置かれている |
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七合目 前述のようにリフト終点が7合目と黒岳ロープウェイのホームページに記載されているが、七合目の標識はリフト終点から10分ほど歩いたところに立っている カシミールで標高を確認したところ、リフト終点が約1530m、この標識の設置位置が約1570mだった |
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標高1610m付近の雪 一昨年のこの地点の雪はこの上部の雪が残っていた 今年はこれより下の方まで雪が残っていた |
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八合目 ここの標高は約1720mだから、標高約1530mのリフト終点から標高差にして190mほど登ったことになる リフト終点の七合目からここまでは、きつい登りが続くが、ここから九合目まで、比較的緩やかな登りになる 例年、この辺りから花が多くなるが、今年は少なかった |
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黒岳頂上 標高1984.3mと表示した標識が立っている 大きな石や岩が転がっており、頂上は広い ここは携帯(NTTドコモ)が繋がる 黒岳の頂上は周りに雲が湧いていていることが多い この日北海岳は眺められたが北鎮岳や凌雲岳は雲の中だった |
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黒岳石室 バイオ式のトイレがあり、給水タンクに炊事や飲むための水がある 自由に使えるが、煮沸が必要(エキノコックス予防等のため) 寝場所で火気の使用は禁止で、入口に簡単な炊事場所があるが、殆どの人は外の休憩用のベンチで食事の支度をしている 場所によって形態(NTTドコモ)がつながる |
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黒岳石室 この写真は一番奥から入口側を写した 上下2段のカイコ棚の中央に通路が奥まで続いている カイコ棚にはこれまで無かった銀マットが敷かれていた カイコ棚には番号が表示されており、確認したら87で一昨年より4つ少なかった 空いたスペースに更衣室を造る工事中だった |
7月5日 黒岳石室〜大雪高原温泉 | |
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黒岳石室付近から見た北海岳 黒岳石室を出るとすぐ目の前に北海岳が正面に眺められる 左の写真の一番高いピークが北海岳 この先で下の写真の雪渓を下り、赤石川と北海沢を渡る |
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雪渓 黒岳石室を出るとすぐ現われる 年によってこの雪渓の上を歩かずに赤石川の渡渉地点まで行くことができるが、今年はまだ雪が沢山残っていた |
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赤石川渡渉地点 渡渉地点の雪は未だ融け落ちていなかったが、渡渉地点のすぐそばまで雪がなくなっていた 渡渉地点の雪はあと1週間もすると崩落するように思えた |
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北海沢 一部に夏道が顔ををだしていたが、その脇には高さ5mを越す雪の壁が聳えていた 今年はしっかりベンガラが蒔かれているので、迷うことは無かった 初めてここを歩いた時は小さな沢に紛れ込んでしまい往生した |
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北海岳の登り口 登り口を示す黄色のマークが岩に描かれている 初めてここを歩いた時、又来るとは夢にも思わなかったが、黒岳石室〜北海岳間を歩くのはこれで6回目になった |
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休憩所 休憩用のベンチが2つあり、北鎮岳が正面に眺められる見晴らしの良いところ 花時には、周辺に沢山の種類の花が咲いているが、今年は花数が少なかった |
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エゾノツガザクラ 上の写真の休憩所を過ぎて、しばらく歩いたところで群生していた |
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北海岳の稜線沿いの道 比較的緩やかな登りの道が続き、右手が開けていて、登りのストレスを感じさせない |
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北海岳頂上 風があり、見晴らしも良いので、一息入れるのに格好の場所 お鉢平の向うに大きな北鎮岳が眺められる この日の気温は10℃をきっていた |
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北海岳からお鉢平と北鎮岳 現実離れした色模様のお鉢平の向うに北鎮岳を眺められる |
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雪渓 北海岳から北海平を歩いてくると白雲岳の山すそを右に曲がったところで現われる この時期、比較的大きな雪渓が残っている 雪が少ないときは一度露出した地面の上を歩くが、この日は白雲岳十字路の登りの手前まで、一面の雪だった |
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白雲岳十字路 前述の雪渓の手前で私を追い越したグループがザックを置いて、白雲岳に向っていた 白雲岳の頂上からの眺めはすばらしい |
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小泉岳 だだっ広い山頂の登山道沿いに、この標識が立っている ここも見晴しは素晴らしい |
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ウルップソウ ウルップソウも咲き始めていた 歩の途中まで開花している株が多く、満開はこれからという感じだった |
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チョウノスケソウとエゾオヤマノエンドウ 小泉岳斜面で元雄も目に付いたのが、写真のチョウノスケソウとエゾオヤマノエンドウだった |
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白雲岳避難小屋への分岐 この写真では分かり難いが、写真の導標のすぐ上に白雲岳避難小屋が写っている ここまで来ると緑岳はあと僅かである |
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緑岳頂上 360度ぐるっと見渡せる 岩や大きな石がゴロゴロしており、黒岳山頂ほどではないが、山頂は広い この日は数名の先着がいて、思い思いの場所で休んでいた また、大雪高原温泉の方から、数名登ってきたが、この人達は、立ち止まる程度で先へ進んでいった |
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緑岳から小泉岳方向 穏やかな感じの尾根がずっと続いており、お花畑の中を緑岳まで下ってくる 周りの景色も素晴らしく、今回のように晴れていれば最高の山歩きを楽しめる |
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緑岳の下り 頂上から下ってくるとやがて岩の上を歩くようになる 登りも大変だが、下りも足がくたびれてきているので、いつもうんざりさせられる |
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雪道 緑岳を下ってきて、エイコの沢のガレバから第1お花畑の出口まで雪の上を歩く 第1お花畑を除くと全般に緩いくだりなので、距離ははかどる |
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第1お花畑から緑岳 2年前はずっと木道の上を歩いたが、今年木道が出ていたのは入口付近のごく僅か ずっと雪の上を歩いた |
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見晴台 第1お花畑と大雪高原山荘の中間辺りにある ここに立っている導標には、高原0.5km、とあるが、実際にはもっと距離がありそうである |
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大雪高原山荘 緑岳から下山してきてここに泊るのは今回が3回目で、下山してここの露天風呂へ入るのが楽しみの一つになった 設備は豪華ではないが、山荘内は掃除が行き届いており、清潔感が素晴らしく従業員も感じの良い人が多い 温泉は白濁湯で、毎朝湯守が温度を管理している 夕食は食堂で、出来立ての料理を説明しながら順番に出してくれる |