7月18日 晴れのち曇
今日は朝から晴れ渡ってすがすがしい。ガイド本だと往復で5時間程度の道のりなのでゆっくり出発することにした。5:51 ヒサゴ沼を出発(高度計:1655m, 温度計:21.2℃)
まずはヒサゴのコルへ。昨日はガスで見えなかったが雪渓は思ったより急に感じた。左、つまり山頂の方をまっすぐ目指す踏み跡も見えたが、雪渓の右端を目指すのは昨日通ったのでわかっていた。昨日迷った経験がここで生きたという訳だ。6:40 台地
ヒサゴのコルから10分くらい登ると台地に出て、突然南側の展望が開けた。トムラウシだ!昨日忠別岳手前で最後に見た姿の何倍も大きい。とうとうここまで来たんだ、と感激した。台地には巨岩がごろごろと転がり、その間を木道が縫っている。トムラウシを眺めながら木道を歩く。
途中には有名な構造土も見られるが、登山道からはちょっと遠い。構造土のあたりから花が多くなってきた。
7:17 天沼(1815m, 22.6℃)
周辺は「日本庭園」と名づけられ、美しい。岩にチングルマなどの植物が張りついている。花が咲いていれば丸く剪定した植木のようだし、咲いていなければ苔むした庭石のようにも見える。7:43 ロックガーデン
まるで城壁のようだ。「ガーデン」というよりは「フォートレス」とでもいうべきだろう。ガイド本には「難所」「迷いやすい」とあるが、結構頻繁にペンキマークがあり、道もはっきりわかる。標高差も100mほどで、難なくクリア。ナキウサギが鳴いているのでぜひ姿を見たいとしばらくねばる。すると相棒Kが発見。教えてもらうが指差されてもさっぱりわからない。最後に動いたときにようやくわかった。
8:32 ロックガーデン突破
ロックガーデンを登りきるとまたもや台地にでる。1本の道がトムラウシに向かって伸びている。あと少し。正面の丸い丘を越えると北沼が見えてくるはずだ。しかし、左(東)を見ると雲がもくもくと湧いてきた。急げ!
とは言うものの、岩がごろごろで歩きにくい。捻挫癖のあるかつりんにはいやーな感じの道だ。
8:51 北沼分岐着(1960m, 19.8℃)
このころから周囲を雲が覆いはじめた。「朝早く出発していれば」「ナキウサギに気をとられなければ」相棒Kはすっかりしょげてしまった。でも空は明るいし、幸い時間もたっぷりあるから、山頂でねばっていればそのうち晴れるだろう。写真は雲に隠れる寸前の山頂方面を見たもので、山頂へは突起の右側をぐるっと巻いていく。したがって真の山頂はこの奥で、これがまたなかなか遠い。
ナキウサギがしきりに鳴いているが、ここでは発見できなかった。
9:26 トムラウシ登頂(2100m, 22.3℃)
ようやくトムラウシ登頂。雲は多いが展望はまあまあ(ぐるぐる写真)。最初人は少なかったが10時を過ぎると賑わってきた。昨夜はラジオの調子が悪く天気予報が聴けなかったので携帯電話でウェブを見てみると、明日以降天気が崩れることが判明。10:39 下山開始(2110m, 26.5℃)
北沼へ下る途中で雲が晴れ、北沼が見えた。えもいわれぬ美しい青であった。あいかわらずナキウサギが盛んに鳴いている。北沼分岐に到着したころはガスは一番濃く、沼もすぐほとりにまでいかなければどこにあるかわからない状況だった。
11:53 ロックガーデン
ロックガーデンもすっかりガスの中であった。この写真では分かりにくいが、中央から右にかけて2,3mおきにペンキマークがある。ここでようやくナキウサギを見ることが出来た。10mほど先の岩に5 - 6分ほどは眺めていられただろうか。
13:23 天沼に到着(1810m, 23.6℃)
天沼全景。右端に木道が見えるが、その奥にも庭園は続いている。14:20 ヒサゴのコルに到着(1755m, 21.5℃)
途中、巨岩帯で奇妙な岩を見つけた。背の高い帽子をかぶった、怒った横顔に見える。我々はこれを門番岩と勝手に名づけた。しかし門番岩は通りすぎて反対側を見ると何のインスピレーションも感じさせないただの岩であった。15:04 ヒサゴ沼に帰着(1650m, 21.1℃)
帰りはナキウサギ探しをしたり天沼で花を眺めていたりしたので、えらく時間がかかってしまったが、ほとんど人にも会わず、のんびりできてよい一日であった。本日の夕食はマーボ春雨、シウマイ、ワカメサラダ。ご飯を炊く前に湯を沸かしていたらちょうど1本目のガスカートリッジを使いきった。ほぼ3日間で1本使いきったという計算だ。下山に備えて荷を軽くするため、余分になりそうな行動食も食べた。
予定変更
この山旅も後半にさしかかり、翌19日は五色が原まで行って大花畑を見物、20日に天人峡に下山し、どこかに1泊して21日の飛行機で帰る、という予定が固まっていた。しかし山頂で携帯電話で確認したところでは天気が心配だ。調子の悪いラジオ(多分電池切れ、しかも予備電池を忘れてきてしまった!)に耳をくっつけてかろうじて聴いたところでは、やはり19日は曇のち雨の予報。ところによっては午前中から崩れるという。20日以降も良くないようだ。幸い食料はたっぷりあるので、停滞して21日に下山するという手も考えたが、天人峡の長い道のりとわれわれの能力を考えると、飛行機に間に合わない可能性が高い。というわけで、予定を早めて翌日下山することにした。楽しみにしていた五色が原の景色が見られないのはたいへん心残りではあるが、これも巡り合わせだ。