02.サテライト用アンテナの検討 目次に戻る de JA1CPA/中村
クロス八木の検討はここへ・・(円偏波の回転方向は?) 2011/6/30 a
少し本格的な衛星通信用アンテナ
0 3. 436MHz 15エレメントクロス八木 / 145MHz 8エレメントクロス八木 2013/9/12
超シンプルな衛星通信用アンテナ 2013/5/8
02.衛星通信用145MHz/435MHz2バンドクロスダイポールアンテナ(D1付き)
(145MHz1/2λクロスダイポール/435MHz3/2λクロスハーモニック/エレメント位相式
/435MHzインピーダンス調整用ディレクター付き)
01.衛星通信には、なぜ円偏波のアンテナが良いのか? 2013/5/25
目次
1.はじめに ↓
2.皆さんは、どの様なアンテナを使っているのでしょうか ↓
ここで製作したアンテナは、すべてサテライトに使用できます ↓
3.サテライト用アンテナの製作(その1) ↓
4.これからのサテライト用アンテナのための予備検討 ↓
4−1.衛星を使ったアンテナの垂直面パターンの検証1(435MHz) ↓
4−2.アンテナの垂直面パターンの検証2(435MHz) ↓
4−3.市販アンテナの検証1 ↓
4−4.市販アンテナの検証2 ↓
5.これからのサテライト用アンテナの検討と製作 ↓
5−1.予備検討では
5−2.八木アンテナの検討と製作
@ 検討
A 145MHz 3エレ八木アンテナの改良(その1)
↓
B 145MHzアンテナの電測
C JAMSATホームページ掲載アンテナ(500円アンテナ)の検証と改良 2012/12/10
↑「437MHzエレメント位相式6エレメントクロス八木」を追加掲載 2013/06/12
↑★改良、その1 2013/6/14
↑「435MHzエレメント位相式 10エレメントクロス八木」を追加掲載 2013/06/15
↑ 軸比測定 2013/06/16
↑エレメント位相式10エレメントセミフォールデットクロス八木 2013/06/19
D 435MHz 6エレ八木アンテナ JAMSAT形とその改良形 2012/12/10
E 衛星通信用145MHz/435MHz2バンドクロスダイポールアンテナ(折りたたみ式)
5−3.キュービカル・クワッドの検討と製作 ↓
@ 検討 ↓
A 435MHz 6エレ・キュービカル・クワッドの製作
↓
B 145MHz 3エレ・キュービカル・クワッドの製作(予定)工事中
↓
5−4.丸パイプに穴明け(直角に一直線上に 穴を開ける方法の検討
↓
ブームにエレメントを正確に取り付けたい!!! 2010/12/30
6.続く・・・ ↓
☆145MHz 3エレメントの垂直面パターンについて ↓
☆アクリルラッカースプレーについて ↓
☆ボール盤 HDP10A 2011/1/24 ↓
☆雨による特性(SWR)の変化について(独断) 2011/10/5
☆八木アンテナのビーム方向は・・・何処に行くの? 2010/8/3
↓
7.Qマッチ 1.2.
目次おわり
ここから本文
1.はじめに 目次に戻る
現在、サテライト用として売っているアンテナはあまり無いと思います。20年位前は衛星の高度
も高く(約1500km以上)信号も弱かったのでハイゲインで円偏波に良いクロス八木が推奨されてい
ました。当時はオスカーハンター(WHS32)と云う商品名で145/435MHzのクロス八木が販売されて
いて、私も使っていました。今でも僅かですが使っている人がいます。
WHS32(145MHz12ele/435MHz15ele、クロス八木
最近の衛星は高度が低く400〜600kmが多く、出力も高くなって受信機の性能も良くなって、混信
が無ければ頭上オービットの時はダイポール、GPや2〜3エレメントの八木でも十分にQSOできる
ようになりました。
2.皆さんは、どの様なアンテナを使っているのでしょうか?
表1は2008年にサテライトでQSOしたQSLカード約100枚から使用アンテナを集計したものです。
145MHzと435MHzを別々に集計しました。
表1
145MHzは上位4位までが5/10/3/4エレメント八木(平均5.5エレメント)、435MHzは上位4位までが
15/12/5/10エレメント八木(平均10.5エレメント)が多いようですが、かなりバラツキが有り、それ
だけ苦労している様子が伺えます。
これを見ると、もう少し本格的に衛星通信をするのであれば、ダイポールやGPではもの足りなく
、市販の145MHzの5〜6エレメント、435MHzの10〜12エレメント程度の八木を組み合わせて仰角
30°ぐらいに固定するか、または仰角ローテーターを付けて使うことになります。
これは145MHzと435MHzのブームがほぼ同じ長さになるので、設置しやすいことと、ほとんどの衛
星が145MHz送信、435MHz受信になるのでこの組み合わせだと受信能力が優れていて、一般的な
「送信より受信能力をアップにする」にかなってると思います。
ただし、VO-52のように435MHz送信、145MHz受信の衛星も有るので、この時は送信出力をかなり
低減しないとオーバーパワーとなって衛星にストレスを与える事になり注意しなければなりませ
ん。私の実験では、435MHz6エレメント、145MHz3エレメントの組み合わせで、仰角30°〜40°
では送信出力1W(SSB)でも信号強度はS5で十分にQSOできるレベルでした。
CWでは0.5Wでも十分ですし、もし10Wなら完全にオーバーパワーで、サテライトにストレスを与え
るだけではなくて、多くのSSB局に抑圧障害が発生してSSB波が断続してメリットが非常に低下し
ます。このような現象も多々発生していますので十分に注意しましょう。
☆☆☆ ここで製作したアンテナは、すべてサテライトに使用できます。☆☆☆ 2011/5/21
なお、すべてのアンテナは仰角固定で30〜45°にしています。
3.サテライト用アンテナの製作(その1) 目次に戻る
このような状況の中で1本のブームで簡単にQSOできるアンテナがほしいと検討して作ったのが
、2008年自作品コンテストで優秀賞第1席になった「サテライト用アンテナ」でした。
能力的には、145MHz/3〜5エレメント、435MHz/3〜5エレメント八木に相当するものだと思いま
す。

2008自作品コンテスト優秀賞第1席入賞「サテライト用アンテナ」
これは仰角固定で衛星通信を行うには十分なアンテナで、1年間に約1200局(回)とQSOできまし
た。
このアンテナの基本は145MHzのスイスクワッドの中に435MHzのスイスクワッドを入れて1本のブ
ームにした物です。
特徴は、
1.スイスクワッド特有の45°の曲げが無いので作りやすい。
2.マッチング給電部分に同軸ケーブルを使ったので作りやすい。
3.ループ系なので円偏波に強い。
4.ループ系なので、エレメント上の電圧が低く同時受信時の抑圧が少ない。
5.全体が小型でコンパクトにまとまっている。
6.1本のブームに145MHzと435MHzを付けたので取り扱いや取り付けが簡単。
7.ただし、「送信より受信能力をアップする」と云う観点からは435MHzの受信にやや
不満が有ります。
このアンテナの詳細は、サテライト用アンテナに掲載しています。
4.これからのサテライト用アンテナのための予備検討 目次に戻る
衛星通信を続けていると(衛星通信に限りませんが)どうしてもグレードアップしたくなります。
違法局による地上FM通信によって受信が困難になることはアンテナだけでは解決しませんが、受
信能力を上げて衛星からの弱い信号を受信出来るようにしたり、アップに強力なキャリアが有っ
て自局の電波がアップしないとアンテナゲインをアップしたくなります。
ハイゲインのアンテナに仰角ローテーターを付ければ解決できるのですが、それでは面白くない
ので、仰角ローテーターを使わずに、垂直方向は出来るだけブロードでかつゲインの有るアンテ
ナが必要となってきます。(相反する要件です)
そのためには、垂直方向をブロードにして大地反射を使って出来るだけ垂直方向を拡大できない
かを含めて検証しました。
4−1.アンテナの垂直面パターンの検証1 (435MHz)
図1はアンテナシミュレーション(MMPC)によるアンテナ仰角30°のBH9CVの3エレ水平偏波、
水平スタックの垂直面パターンです。左は地上高4m、仰角30°。 右は「自由空間」仰角30°
です。
左は大地反射の影響を大きく受けて仰角20°以下でも大きく変動しますがゲインが有ります。
 図1
↓図2は図1のアンテナでアンテナ仰角30°固定でAO-51の頭上オービットの電波をアンテナを
回さずに固定して受信した垂直面パターンです。Sメーターの指示値(電圧)をデーターロガー
で記録し、それをエクセルのレーダーチャートの180°分に0のダミーデーターを付けて描き、
ダミーデーターの下半分を切ったものです。地上高4m、仰角30°固定。
図2
考察:「絵」としては、ほとんど同じ形です。
アンテナシミュレーションと実際がほぼ一致していることが解ります。
だたし、仰角10°以下では大きく減衰しています。
ゲインの大きなアンテナはサイドローブが小さくビームがシャープなので大地反射の
影響は少なくなりますが、比較的ゲインの低いアンテナで地上高が低い場合は、大地反射の
影響を大きく受けていることが解ります。
4−2.アンテナの垂直面パターンの検証2 (435MHz)
図3はアンテナシミュレーションによるアンテナ仰角35°の八木アンテナの6エレ水平偏波の垂直
面パターンです。地上高4m、仰角35°固定。
図3
図4はアンテナシミュレーションによるアンテナ仰角35°のキュービカル・クワッドの6エレ水平
偏波の垂直面パターンです。地上高4m、仰角35°固定。
図4
考察:図3の八木アンテナのシミュレーションの場合は仰角50〜3°付近まで増減は有りますがほ
ぼ同じゲインです。しかし実際に使用した状況では、仰角20°以下の信号が弱く、特に仰角10°
以下はSメーターがほとんど振れない状況でQSOできない状態です。
図4のキュービカル・クワッドのシミュレーションの場合は仰角20°以下が大きく減衰しています
。しかし実際に使用した状況では、仰角20°以下でも信号は強く、特に仰角10°以下でも仰角3
〜5°までQSO可能でした。
ただし、仰角50°以上では、実際でも減衰が激しくQSOはほとんどできない状態でした。
実際の信号は図3と図4が全く逆の感じです。
なお、仰角30°の場合は八木アンテナでも仰角10〜20°でも強く受信できます。しかし10°以下
は減衰が大きくなってます。
図3の八木アンテナと図4のキュービカル・クワッドではゲインが1.61dB多くなっていますので、
図4を少し大きくしています。
実際の使用状況では仰角20°以下、特に仰角10°以下で大きな差が出ています。
この理由は不明ですが、キュービカル・クワッドは大地反射効果や円偏波に対して計算以上に効
果が有るのではないかと想像しています。
キュービカル・クワッドで前記、図2のようなパターンを採りたいのですが、電波が連続して得
られる衛星やモードが無くなって、現在では同じデーターが取れなくなっています。
しかし、キュービカル・クワッドはクロス八木と共に衛星通信に最も適したアンテナと云えるか
も知れません。
4−3.市販アンテナの検証1 D社の144MHz/5エレメント八木(写真1)
@カタログ値:ゲイン=9.1dBi(6.95dB)、F/B比=14dB以上、SWR=1.3以下
Aアンテナシミュレーションで計算した結果(寸法を実測して、その値で計算した)
Fq(MHz)
|
R(Ω)
|
jX(Ω)
|
SWR
|
Gain(dB)
|
F/B(dB) |
146.6
|
64.4
|
-0.4
|
1.29
|
6.6
|
14.9
|
BSWR実測値:1.2以下(144〜146MHz)
Cマッチング・給電
ラジェーターの片側からM-Rコネクターの間に1.5D-2Vの1/2λのスタブとM-R芯線と
グランド間に15PFのセラコンが入っていました。
5. 考察:5エレメントとしてはゲインは低いが、第一ディレクターがラジェーター
のすぐ近くにありインピーダンスマッチングとして使っている模様で、実質的に4エレ
メント並で、SWRを全域(144〜146MHz)で低く(1.2以下)にしている模様です。
スタブと15PFによってインピーダンスマッチングすると共に共振周波数(146.6MHz)も下げて
いると思われます。
ゲインは5エレメントとしては低めにして、SWRを全帯域で1.2以下を実現していると
思われます。
雨によるSWRの変化は無く、耐久性も有ると思います。
ユーザーが測定できるのはSWRだけなので、SWRだけは良くしているものと推察しています。
写真1
4−4.市販アンテナの検証2 M社の435MHz/8エレメント八木(写真2)
@カタログ値:10dBの模様、その他不明。
Aアンテナシミュレーションで計算した結果(寸法を実測して、その値で計算した)
Fq(MHz)
|
R(Ω)
|
jX(Ω)
|
SWR
|
Gain(dB)
|
F/B(dB)
|
434.5
|
30.3
|
0.5
|
1.65
|
9.64
|
19.7
|
BSWR実測値:1.2以下(430〜440MHz)
Cマッチング・給電
ラジェーターはフォールデットダイポールとなっていて、M-Rに直接繋がっています。
考察:計算ではラジェーターをダイポールとして計算しているので、インピーダンスが
30.3Ωとなったがラジェーターのフォールデットダイポールの幅が広く第一ディレクター
との距離が近いのでインピーダンスを12.5Ω付にして4倍の50Ωにしている模様です。
ゲインは8エレメントとしては低めにして、SWRを全帯域で1.2以下を実現していると思わ
れます。
雨によるSWRの変化は無く、耐久性も有ると思います。
ユーザーが測定できるのはSWRだけなので、SWRだけは良くしているものと推察しています。
写真2
5.これからのサテライト用アンテナの検討と製作 目次に戻る
5−1.予備検討では、
@
八木アンテナの垂直面パターンはシミュレーションと衛星電波による受信がほぼ一致し
ています。
仰角10°以下では減衰が激しくなっています。
しかし、実際の受信状況では仰角20°以下の受信減衰が激しく、特に仰角10°以下ではほと
んどQSOできない状態です。(仰角35°の場合)
A
キュービカル・クワッドのシミュレーションでは仰角°20以下の減衰が激しくなってい
ます。
しかし、実際の受信状況では仰角20°以下の受信減衰は少なく、特に仰角10°以下でも減衰
が少なく仰角3〜5°でもQSOできる状態です。(仰角35°の場合)
B
仰角50°以上では、キュービカル・クワッド減衰が激しくほとんどQSOでき
ません。八木は仰角60°以上から減衰が激しくなってます。
C
市販アンテナは、組立て、雨等に影響しないで全帯域で低いSWRを確保するためにゲイ
ンを犠牲にして安定動作させているようです。(購入者はSWRしかチエックできない)
これらの結果から、アマチュアが作るサテライト用アンテナの選択は、
@
メーカー製アンテナと同じ安定した性能のアンテナを安くて作る楽しさを得るために
手作りする。
A
多少不安定さが有ったり、耐久性が無くても、さらには使用周波数帯域を狭くても、
アンテナの性能と能力(単体性能+使用性能)をギリギリまでアップしたアンテナを手作
りする。
B
サテライトからの電波は、基本的には1方向からしか来ないので、フロントゲイン
を最大にして、F/B比やサイドの切れはあまり考慮しない。
と云うことになります。(独断的ですが)
当然、@も有りますが、ここではABを目標にして検討したいと思いますが、ほどほどに
して我慢できる範囲にしたいと思います。
5−2.八木アンテナの検討と製作 目次に戻る
@ 検討
CQ誌2010年8月号にサテライトに使う目的の八木アンテナの記事を掲載しました。
このアンテナはJAMSATのホームページに掲載されていたのは知っていましたが、作った事は有り
ませんでした。
今回、これを機会に作って・評価したものですが、短時間に纏めたのと文字数にも限度が有
りますので説明不足も有ったと思います。
このアンテナの特徴は、
@
ラジェーターを1/2フォールデットダイポール(正式名称は知りません)にして簡
下記 注)参照
単に調整できるようにしたこと。
A
ブームに木を使って材料を安くすること。でした。
注:「ハムのアンテナ技術」遠藤啓二 監修に「セミフォールデットダイポール」と掲載されていまました。
インピーダンスについては、通常のフォールデットダイポールが75Ωの4倍=300Ωである
ことに対して、75Ωの2倍=150Ωであると期されています。2012/11/08
詳細は、セミフォールデットダイポールの考察に掲載しました。
ところが、これを作って解ったことですが、ブームに木を使うのは安くする以外に、アンテナシ
ミュレーション(MMPC)の計算結果がそのまま反映されることが解りました。
木は絶縁体として145MHzや435MHzでも機能することが再確認できました。
今までは、ブームにアルミパイプ等金属を使っていましたが、この金属部分のブームによってエ
レメントが中央部分で短縮されて、その短縮率を経験的に約70%ぐらいとして作っていました。
すなわち、シミュレーションで計算したエレメント長に、ブーム径の約70%を加えなくてはなら
なかったのです。これが不要となりました。
ブーム径はHF帯では波長に対して非常に小さいので無視できますが、V/UHFでは大きく影響しま
す。
このアンテナシミュレーションは、HF帯を主体にしているようで、ブーム径の影響は考慮してい
ません。
水道用の塩ビパイプは絶縁体で安くて良いのですが、丸なので多エレメントを曲がり無く穴を空
けて取り付けるのが困難です。四角い木なら簡単にそろえられます。
その後、
☆.丸パイプに穴明けが簡単に出来る方法を考えました。2011/1/12
もう一つ、
木のブームの防水耐蝕対策としてJAMSATの資料では「ポリウレタンニス」を塗ってと出ています
が、あまりなじみが無かったので、「アクリルラッカースプレー」を初めて使ってみました。
これを吹き付けると絶縁性と防水耐蝕性が向上し耐久性も増すと思われます。1〜3年の使用に
は耐えると思います。(耐久性については、まだ実績が無いので不明)
そのついでに「アクリル」=「高周波絶縁」のイメージだったので、この文字につられて給電部(
導電部、同軸ケーブル切断面等)の絶縁防水処理を、アクリルラッカースプレーだけでやってみま
した。
今のところ雨で濡れても影響しません。
今まで使っていた信越シリコーンのEK45Wと変わりなく感じますし、使い勝手はEK45Wよりはるか
に簡単ですし分解?する時も簡単です。(詳細は後述)
目次に戻る
A 145MHz
3エレ八木アンテナの改良(その1) CQ誌 2010年10月号掲載
JAMSATの資料の3エレのブームを長くするとインピーダンスは低下しますがゲインはアップしま
す。
それをインピーダンスは変えずにブームを長くしてゲインが多くなるようにしました。
また、ラジェーター(Ra)以外のエレメント長を1m以内にしました。(ホームセンターで売っている
長さ)
これによって、シミュレーションの計算では5.76dB(JAMSAT 3エレ) から7.54dBと1.78dBとかなり
アップしました。
これはJAMSATの資料の4エレよりブームが短くてゲインも多くなっています。
・アンテナシミュレーション計算結果
Frq(MHz)
|
R(Ω)
|
jX(Ω)
|
Gain(dB)
|
F/B比(dB)
|
145.9
|
16.1
|
−1.4
|
7.54
|
7.7
|
注)1/2フォールデットダイポールのインピーダンスは3倍になるとして、
16.1×3=48.3Ωとした。
・各部寸法及び外観写真 ラジェーターの寸法を変更しました。2010/9/6

 
全体写真 給電部へ同軸ケーブルを半田付けする。
この状態でアクリルラッカースプレーが
塗ってあります。(防水対策完了)
・簡単な説明
ホームセンターで売っている3φ真ちゅう及びアルミ棒は1mに切断されていますので、エレメン
トはRa(ラジェーター)以外を1m以内にしました。
Raは直線部分(15+462=477mm)と曲げた部分(462+462=924mm)に分けてブーム中央で接続します。
接続は外形4φ内径3φ真ちゅう又は銅パイプを約20mm長さに差し込んで半田付けします。
銅線を巻き付けて半田付けしても良いと思いますが強度がチョット弱くなるかも知れません。
エレメントはブームにボール盤(詳細は後述)で3.1φ穴を空けて差し込んで接着剤で留めます。
同軸ケーブルをRaの指定のところに半田付けしてタイラップでブームに固定します。
・調整
調整はRaの直線部分端を切って行います。組み立てただけだと144.0MHz付近でSWRが最低になる
と思います。
最初は5mmぐらいずつ切って145.5MHzぐらいになったら1mm位ずつ切って、145.9MHz付近でSWR
が最低になるようにします。
145.9MHzでSWR最低にしたときの直線部分の長さは460mmでした。
調整が終わったら給電部及びブームにアクリルラッカースプレー(クリヤー)を吹き付けて絶縁防水
処理をします。給電部は3回ぐらい吹き付けます。
・SWR実測値
145.9MHz=1.25, ±1.5範囲=1MHzであまり広くありません。
シャワー試験でSWR最低点が約500kHz下がります。このときは145.9MHzで1.35となりました。
ただし豪雨相当ではSWR最低点が約2MHz下がりました。(この時は使えません)
JAMSATの資料の3エレより変動は少し多くなっています。
・使用実感
JAMSATの3エレよりもブームが長くなってゲインも計算上では5.76dBから7.54dBと1.78dBアップし
ました。
使った感じは、145MHz送信(FM)では、ややアップしやすくなりました。
HO-68のFMモードはJAMSATの3エレではアップしにくかったのですが、この改良アンテナでは
アップしにくい時も有りますが、非常にアップしやすいときも有ります。
結論として、JAMSATの資料の3エレの力不足が少しは改善した感じがします。
B
145MHzアンテナの電測 2010/7/30仮測定しました 目次に戻る
各種145MHzのアンテナの電測をしました。
アンテナ種別
|
シミュレーション/ゲイン(dB)
|
実測(dB)
|
D社 144MHz 5エレ
|
6.60 (カタログ値 6.95)
|
6.0
|
JAMSAT資料 3エレ (1/2FD型)
|
5.76
|
5.8 |
JAMSAT資料 3エレ改良品(1/2FD型)
|
7.54
|
6.8 |
JAMSAT資料 3エレ改良品 (FD型)
|
7.61
|
6.8 |
キュービカル・クワッド 3エレ(38/37)
|
8.26
|
? (雨で中止)
|
(2010/7/30)
注) D社、144MHz、5エレでアッテネーターを6dB入れたときの電圧を基準にして各アンテナ
で同じ電圧になるようにした時のアッテネーター値を実測値とした。
考察:雨、曇り、晴れの変化する天気で急いで測定しましたので誤差がかなり在りそうです
が、少なくとも改良品は1dBはアップしているようです。(2010/7/30)


電測の様子 電測計 2010/8/10
おわり
目次に戻る
2010/7/22
6.続く・・・ 目次に戻る
文章の最後は ”おわりに” となるのですがアンテナ製作に”おわり”は有りませんので
”続く・・”。と。
☆145MHz 3エレメントの垂直面パターンについて
予備検討では145MHzの垂直面パターンについて検討していません。 図1は、アンテナシミュレーションによるアンテナ仰角35°の八木アンテナの3エレ垂直偏波の垂
直面パターンです。地上高4m、仰角35°固定。
図1
図2は、アンテナシミュレーションによるアンテナ仰角35°のキュービカル・クワッドの3エレ垂
直偏波の垂直面パターンです。地上高4m、仰角35°固定。
図2
仰角15°付近に大きな落ち込みが有りますが10°付近で大きく上がっています。
また垂直方向も広がっています。
垂直面パターンはアンテナの地上高によって大きく変わります。
移動局等で地上高が1〜1.5mの場合は大きく変化します。
目次に戻る
☆アクリルラッカースプレーについて
今回はブームに木を使ったことで、雨で木が吸水しにいようにして絶縁と耐久性向上を考慮して
「アクリル」の文字に惹かれて「アクリルラッカースプレー」を使ってみました。
その防水目的は達すると思いますが、耐久性については時間が必要です。
一方、給電部の絶縁防水には昔から定番の信越シリコーン「EK45W」を使っていました。
これは電気的、防水的、耐久性等に優れていますが、塗布が難しくなかなか綺麗に塗るのに苦労
していました。
今回は、「アクリル」の文字に惹かれてブームに吹き付けるついでに給電部に吹き付けてみまし
た。
給電部のエレメントを含めて50Ω同軸の芯線、外被に直接吹き付けましたがSWRの変化も無く使
える感じがしたので、3回ほど吹き付けて雨を待ちました。
なお、塗布した後で同軸ケーブルを分解しましたが、アクリルラッカーが10〜20mm以上中の方に
浸透していました。
雨による影響は有りません。芯線や外皮が透けて見えているので不安が有りましたが絶縁防水効
果は十分に有るようです。
シリコーンの「EK45W」に比べれば抜群に使い勝手が良く簡単です。また分解も簡単です。
ただし、メーカーの違い、色の違い等によって高周波効果が違うかも知れません。
成分を見ますと「アクリル」「顔料」「有機溶剤」、メーカーによって「ニトロセルローズ」も
書いて有ります。また、顔料については何をつかっているかわかりません。
ただし、メーカーによって、「顔料(クリヤーは含まず)」と書いて有りますので、これが一番良い
かも知れませんがどの程度塗れたか見えないのが欠点です。
「黄色」(ニッペ・・社)と「銀色」(カンペ・・社)を使って見ましたが、その違いはわかりません
。むしろ銀色は金属のような感じがして気分的に絶縁が低下するのかな?。と云ったところです
。 JAMSATの資料のアンテナの時は、「黄色」(ニッペ・・社)を使いましたが、今回は顔料が入って
いない「クリヤー」(ニッペ・・社)を使いました。これが一番良いようです。
このスプレーは色の表記が無くて、キャップの色で判別します。「クリヤー」は半透明のキャッ
プです。

☆ボール盤 目次に戻る
ボール盤はJA製の物は100k円以上だと思います。私は数年前にホームセンターで6.5k円で買いま
した。(DP-375V)
もちろんBY製で、スイッチをONすると「ガタガタ・・・」と素晴らしいhi音がして芯ぶれが有
ります。
しかし、穴空けを始めるとガタガタが落ち着きます。!!
チャックは1〜10mm、ベルトも3段で、バイスも付いています。6,500円でこの仕様、外観
は立派ですが性能はアマチュア以下です。
一番のメリットは90°(直角)が出せるのがいいですね。ハンドドリルでは出来ません。
結構使っています。ただし保管場所が必要ですが、私は外のいわゆる物置にビニール袋を二重に
して置いて穴明けだけの工作場にしてます。

最近、10,000円ぐらいで良い物(日本製?DMP-100)が有るようです。2010/12/16
これは使えます。 2011/1/24 
H&H社(B国製)のHDP10Aを通販で買いました。9600円+送料500円でした。
小型で軽くて、心配した芯振れは感じません。これなら使えます。
ただし、ドリルの上下動が30mmなので、これより太いパイプは一気には明けられません。
モーター部分全体は約100mmぐらい上下しますが、その時にドリル部分が左右に動かないか不明です。
また、付属のバイスは、精度を要する場合は、ちょっと使えません。
  
全体写真 回転中の写真です。(回転前にヒントを合わせて
そのままで回転して撮影、φ3.1)

銘板部分
☆雨による特性(SWR)の変化について(独断)
自作したアンテナは雨によってSWRが変わることが有ります。それはアンテナが雨に濡れてSWR最
低点の周波数が低くなったりします。その変化する量もアンテナの作り方や周波数によってさま
ざまです。
雨によってアンテナの共振周波数が変化するからではないかと思っています。
そのアンテナの共振周波数の変化はどこから来るのでしょうか。
給電点付近が雨に濡れてリアクタンスが変化するからでしょうか?。
給電点付近をケースに入れてみましたが、あまり良くなりませんでした。
空気の条件が変化するからでしょうか。これはお手上げです。
雨が降るとエレメントに水滴が付いて垂れ下がっています。太いエレメントだと大きな水滴が付
いています。エレメント径にほぼ比例しています。これが影響しているのでしょうか。
シャワー試験をして、各エレメントの水滴を1エレメントずつ取り除いてみました。
少しずつ回復しました。従ってエレメントやブーム全体がそれぞれ影響していて、このポイント
だけと云うことはないようです。
垂直偏波にすれば、水滴の付着は少なくなります。キュービカル・クワッドは菱形にすると水滴
の付着が少なくなります。
アンテナに水滴が付かないようにテフロンコーティング出来ればと思いますが不可能でしょう。
エレメントだけでも何か処理したいと思っていますがまだ見つかりません。
それなら、ちょっと短絡的ですが。
シミュレーションによると、エレメントを太くすると共振周波数が低くなります。
従って、エレメントに水滴が付くとエレメントが太くなったのと同じになって共振周波数
が低くなると考えています。
インピーダンスは、あまり大きく変化していないようです。(2011/10/5)
アンテナの全帯域(144.0〜146.0MHz/430.0〜440.0MHz)において、共振周波数が変わってもインピー
ダンスが50Ωからあまり変わらないような設計をすれば良いと云うことになると思います。
しかし、インピーダンスが50Ωで有ってSWRが変動しなくても、共振周波数が変わればアンテナ
の輻射効率は下がるのでは無いかと思いますが、アンテナシミュレーションではあまりゲインの
低下は有りません。
広い周波数範囲でインピーダンス変化が少ない設計(これが結構難しい)をしたアンテナはSWRの変
動も非常に少なくなっています。 メーカー製アンテナは、ゲインを犠牲にしてもこのような設計をしているかもしれません。
☆八木アンテナのビーム方向は・・・何処に行くの? 2010/8/3 目次に戻る
我々が教科書で見ている垂直面パターンは下図のようです。145MHz3エレ水平偏波、
このパターンは自由空間の場合で地上高が無限大のパターンです。
仰角と最大ビーム方向が一致しています。
仰角0°
仰角30°
仰角60°
仰角90°
ところが、我々は地球上にアンテナを設置しますから、大地反射が有ります。
アンテナパターンは直接波と反射波の合成になります。
下図は145MHz3エレ水平偏波、地上高1m(移動運用の時など)の場合の垂直面パターンです。
図中の打上角とは最大ゲインの角度です。
仰角0°
仰角15°
仰角30°
仰角35°
仰角40°
仰角45°
仰角60°
仰角75°
仰角90°
当然ですが、アンテナを水平にしてもビームは水平にはなりません。
アンテナを下に向けてもビームは上に向きます。
たとえば15°下に向けたのと15°上に向けたのはパターンは同じでゲインは激減します。
これで見ると仰角を40°にしておけば仰角20〜70°はカバーします。
ただし、アンテナのピークゲインは3dBほど低下します。2010/8/3
それでは打上角を低くするには地上高を高くする し か、有りません。 か、
地上高が低い場合は垂直偏波にすると低くなりますが、ゲインが少し低下します。2010/8/3
(3エレメントを地上高1m、仰角0°、垂直偏波にした場合の打上角は7°、ゲインは9.0dB) 2010/8/3
下図は145MHz3エレ水平偏波、仰角0°でアンテナの地上高を変えたときの打上角の変化です。
地上高1mでは24°、地上高8.5〜10.5mで打上角3°となります。

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☆サテライト移動などで、地上高1mや1.5mに設置することが多いと思います。
この時に、垂直面パターンはどの様になるのでしょうか?。
@145MHz 3エレ八木、地上高1m、仰角0°(水平方向) 2010/8/3

水平偏波、ゲイン:10.56dB、打上角:28° 垂直偏波、ゲイン:9.0dB、打上角:7°
A145MHz 3エレ八木、地上高1m、仰角30°

水平偏波、ゲイン:9.97dB、打上角:27° 垂直偏波、ゲイン:6.62dB、打上角:7°
B145MHz 3エレ八木、地上高1.5m、仰角0°(水平方向)

水平偏波、ゲイン:11.28dB、打上角:19° 垂直偏波、ゲイン:8.11dB、打上角:5°
C145MHz 3エレ八木、地上高1.5m、仰角30°

水平偏波、ゲイン:10.33dB、打上角:18° 垂直偏波、ゲイン:6.81dB、打上角:36°
考察:一般的にアンテナは波長に対して十分に高い地上高(1λ以上)で使うように考えています。
HFなどでも地上高を高くして打上角を低くすることが行われています。
V/UHFなどでは地上間通信では波長に対して十分高い地上高が一般的になっています。
サテライト通信では、衛星が高仰角を通ることもあってアンテナの地上高は低くても良いとされています。
特に移動局の場合は車の横や駐車場に設置して運用する場合が多くなっています。
この時は地上高が1〜1.5mの場合が多くなり、大地反射の影響を多く受けることになります。
上のパターンを見ると、1m高さ(145MHzの1/2λ)で垂直偏波の打上角が低くなっています。
これはHF帯でも同じで、たとえば14MHzで10m高さで垂直偏波にすると打上角が低くなります。
ただし、何れもアンテナゲインは低下します。 2010/8/4
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2010/7/22 工事中
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