5−3.キュービカル・クワッドの検討と製作 2010/8/17  先頭目次に戻る

                             
de JA1CPA/中村
     @ 検討


前節で、「キュービカル・クワッドはクロス八木と共に衛星通信に最も適したアンテナと云えるか

も知れません。」と書きました。

いろいろキュービカル・クワッドを作ってきましたが、アンテナ・シミュレーション通りに作っ

てもかなり違った寸法に調整しないとSWRが低下しないことが多く有りました。


その原因が解明できて、アンテナ・シミュレーション通りの寸法で目的のデーターが得られましたので、ここ

に公開します。

解明できた要因は、主に2つ有ります。

1つは、以前から感じていたのですがアンテナ・シミュレーションで計算した結果は、周波数変化に対して

共振周波数が複数出て来たり、jXの変化が直線的で無くて波のようになることが有ります。

その共振周波数の一番低い周波数や直線的に変化しているポイントが実際に使用できる周波数になりま

すが、まだ他にも要因が有るかも知れません。

その2つは、八木などの直線的なエレメントは寸法を出しやすいのですが、キュービカル・クワッドのように

四角に曲げて寸法を出すのはかなり難しく、その曲げ方法を確立するまでに、試行錯誤しました。

HF帯では、曲げの誤差は無視できますが、145/435MHzでは1mm長くなっても4ヵ所では4mmも長くなって

しまい周波数に換算すると数MHzになってしまいます。この曲げ方法に1つの方法が解りました。


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   A 435MHz 6エレ・キュービカル・クワッドの製作  
2010/7/28

アンテナ・シミュレーションによる計算結果と製作結果がピタリと一致しました。

・アンテナシミュレーション計算結果

Frq(MHz)

R(Ω)

jX(Ω)

Gain(dB)

F/B(dB)

435.0

50.0

4.2

10.06

15.9



   ・各部寸法及び外観写真



   全体写真                           給電部 エレメントに直接 同軸ケーブルを半田ずけする


 同軸ケーブルを横から        エレメントの固定                 エレメント中央の接続部分 


・簡単な説明

1.ブームに指定の間隔で6.2φ穴を4つずつ空ける。(通して2ヵ所、クロスして貫通する)

2.6φヒノキを指定の寸法に切る。(6φ檜木は6.0〜6.2φぐらいだった)

3.ブームに6φヒノキを差し込んで中心を出して、木工用ボンドで固定する。

3.この時に6エレメント分の90°、平行を確認してボンドが固まる前に修正する。

4.エレメントは、上図のように@ABCの順に内側寸法を万力に固定してハンマーで叩い

て曲げる。(ここがポイント) 万力に挟む内側寸法は+0、−0.5に納める。
(少しマイナスに)

5.この時は、必ず直線側を叩いて曲げること。(ここがポイント)

6.Raは、銅又は真ちゅう棒とし他はアルミ棒とする。(重くても良ければ全て銅又は真ちゅ

う棒でも良い)

7.Ra以外のエレメントは中央の合わせるところで、外形5φ×穴径φのアルミパイプを通し

てペンチ等でつぶしてカシメをして固定する。(銅又は真ちゅうの場合は半田付けする)

8.各エレメントは、ブームのスプレッダーの上に置いて中心を出して、コーナーを糸で縛っ

固定し、その後接着剤で固定する。(コニシ(株)のウルトラ多用途、クリヤーを使った)

9.同軸ケーブルをRaに半田付けしやすいように曲げてタイラップでブームに固定する。

10.同軸ケーブルをRaに半田付けする。(同軸ケーブルの芯線と外被はできるだけ短く、

この部分もエレメントの一部になります)


  ・調整

1.アンテナを外に出して、アナライザーでSWRを測ると、SWR最低点が432MHz付近になると

思います。
この時のSWRは1.05でした。

2.同軸ケーブルの半田付けをいったん外して、エレメントの半田付けした両側をそれぞれ

1mmずつ切ります。

3.再度、アナライザーでSWRを測ります。SWR最低点:434.5MHz 1.05でした。


  ・SWR実測値
 
かなり広い帯域です。一般的に雨で濡れると低い方にずれますが、
低い方がなだらかなので

良い方向だと思います。
逆でした。 このままカーブが左に移動するので、435.00MHzはSWRが急激に悪化します。(2010/7/29)

調整が終わったら、アクリルラッカースプレー(クリヤー)を全体に吹き付けます。

特に給電部は3回ぐらい吹き付けます。なお、写真の同軸ケーブルは黄色くなっていますが、以前黄色で

吹き付けて使った同軸ケーブルを再利用してます。

アンテナ・シミュレーション結果と製作結果がピタリと一致しました。

シャワー試験では、集中豪雨
並では435MHzでSWR2.5位で使えません。(SWR最低点が約約10MHz低くな

る)

しかし、通常の雨(並雨)では435MHzでSWR1.5以下で十分に使えると思います。

なお、乾燥状態のSWR最低点は435MHz〜437MHzに設定した方が良いと思います。(雨で低い方にずれる)


   ・使用実感

2010/7/29 08:00設置しました。

6エレ改良品に比べて、受信レベルで Sで2つ 及び S9+ では 10dB アップした感じです。
                             (小雨模様、2010/7/29 16:50) 


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   B 145MHz 3エレ・キュービカル・クワッドの製作(予定) 20108/8/17
                            工事中

 アンテナ・シミュレーションによる計算結果と製作。

・アンテナシミュレーション計算結果

Frq(MHz)

R(Ω)

jX(Ω)

Gain(dB)

F/B(dB)

145.9

48.6

1.6

8.01

8.9


   ・各部寸法及び外観写真


                                             工事中 2010/7/29

  おわり

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