悪の国際犯罪組織、バイオネットが開発、実働戦力として運用する戦闘用サイボーグ。あるいはそのサイボーグ化、サイボーグ技術を指す。元来バイオネットはその高級幹部に危険な人体実験や倫理を無視した「危険思想」ゆえに学会を追われた科学者が多く籍を置いていることからも、バイオテックやサイバネティクスに関して高度な技術を保有していた。人間に動物の特性を付加し強化したハイブリッドヒューマンなどはその産物であるが、ジュピターXの消失によってその技術は失われつつあった。そのため、次世代の戦力として嘱望されていたのが簡易型ハイブリッドヒューマンとこのメタルサイボーグなのである。だが、サイボーグ・ガイを見ても明らかなように現在の人類の技術力では、Gストーンというオーバーテクノロジーの産物の手を借りたとしても、パーフェクトサイボーグを運用することさえ困難であり、ましてGストーンを保有しないバイオネットがそれを戦闘に用いるなど不可能であった。よって2005年以前においてバイオネットのメタルサイボーグとは、身体の一部を機械化した兵士がパワードスーツなどで武装した状態を指していたのである。
バイオネットのサイボーグ技術が大きな転機を迎えたのは2005年夏の東京隆起現象である。2005年春から東京を中心に活動を始めたゾンダーロボの特性に着目していたバイオネットは、その能力を自らが保有するサイバネティクス技術と融合させ、任意の身体構造の変形・再生能力、他の機械群との融合・吸収、そして「マイナス思念」をエネルギィ源として理論上無限の能力を引き出すことのできる最強の兵士を生み出すことを画策し、高級幹部の一人、ギムレットにその開発を命じた。当初開発は遅々として進行しなかったが、機界四天王による東京隆起現象の最中にバイオネットのエージェントがゾンダーメタルのサンプル採取に成功。加えて、機界四天王との交戦で自沈した多次元諜報潜水艦からサイボーグ・ガイのデータを入手する事にも成功し、ゾンダーメタル研究開発計画、すなわちZMCプロジェクトは本格的に始動したのである。プロジェクトチームはゾンダーメタルを直接解析し、その機構の解明に務める一方で「人工」ゾンダーメタルの素体となる被験体の確保を進めていった。ゾンダーメタルの特性上、成人に達した身体頑健でかつ、「マイナス思念」に溢れた人物―。こうした条件をクリアし集められた被験体たちは更にそこで「よりよい」素体となるべく訓練と競争と、そして様々な形での淘汰を生き延びることが求められたのである。更に、これを生き延びた者たちさえも、彼等の生命と尊厳を無視した過酷な「実験」と「手術」を経て徐々にその数を減らしていった。
結果的にバイオネットをしてもゾンダーメタルの構造を完全に解析することはできず、入手されたサンプルも機界昇華の終結と共に全て失われてしまった。ゾンダーを人類の手で再現するという悪魔的計画は自らその幕を閉ざしたのである。だが、その過程でバイオネットの技術班は新世代メタルサイボーグを生み出したのである。完成した新世代型メタルサイボーグ・プロトタイプ群は他の機械群との融合・吸収こそ不可能であったものの、任意の身体構造の変形を可能とし、また極度に体力的な消耗を伴うもののある程度の再生復元能力をも獲得する事に成功した。しかし反面、その稼働時間は短く、また総合的な寿命も極めて短いことが完成当初から判明していた。現在の地球上において精錬できるいかなる金属でも、過度のまた頻繁な変形にそう幾度も耐えることはできなかったのである。後にこのプロトタイプのうちの一体は対GGG戦の最中で自壊している。
現在は更に機能を簡素化することで新世代型メタルサイボーグの実験的な運用を可能としており、今後はこれにフェイクGSライドを搭載して機能の総合的な向上を目指していると思われる。これが完成したとき、全世界の市民、そしてGGGにとって大きな脅威となることは確実である。
なお、GGGでは旧世代型、新世代型を問わず、サイボーグ技術によって身体改造されたバイオネットエージェントを一括してメタルサイボーグと呼称し、ハイブリッドヒューマンなどと区別しているようである。