GGG諜報部に所属すビークルロボ・ボルフォッグの特殊装備のひとつで、自らの機体に反射する光を内蔵ミラーコーティングの応用で自在に屈折させ周囲の景色に溶け込むように、機体を隠蔽する。
これを理解するためにはまず、視覚という感覚器官の原理を知らねばならない。完全な暗闇、光が全くない状態では「物を見る」ことはできない。ここから「物を見る」には光が必要であることが分かる。ここで重要なのは「物が見える」状態は「光が物を照らしている」状態を指すのではなく、「目が物に反射する光を認識している」状態を言う、ということである。例えば我々が「赤い風船」を見るとき、我々の目は風船に反射した光を認識することで「そこに風船がある」ことを「見る」わけだが、このとき赤い色素を持つ風船は太陽光に含まれる様々な色の光の中から赤い光だけを反射し、それ以外の色の光は吸収してしまう。よって我々の目には風船に反射された赤い光だけが認識され、その結果風船は赤く「見える」のである。もし「光が物を照らしている」ことが、即ち「見える」ということであれば、我々はその時、光に照らされているありとあらゆるものを見ることができなければならないが、実際には我々は物陰の向こうを覗き込むことなしに「見る」ことはできない。それは我々の眼球が目に飛び込んでくる光しか認識できないからであり、目が光を認識することがすなわち「見る」という行為そのものだからである。
ホログラフィックカモフラージュはこの視覚を光学的に欺く。目が光を認識することで我々は物を見ている。しかし、もしその光が何らかの方法であらぬ方向から導かれたものだとしたらどうだろう。我々の眼球は単なる受容器官であり、その光が「本当はどこから飛んできたのか」などということを詮索することはできない。ただ飛び込んできた方向から飛んできたのだと感じることしかできない。よってたとえその光が自らの背後から何らかの方法で屈折させられて目に飛び込んできたのだとしても、それは分からないのである。ホログラフィックカモフラージュはボルフォッグ自らの機体に反射する光を内蔵ミラーコーティングによって自在に屈折させ目標の視覚にとどかないようにすることで、目標に自らを「見えなくする」光学的隠蔽装備なのである。しかもミラーコーティングにより自らが発するあらゆる電磁波や熱を遮断することができるため、高い隠密生を獲得することが可能である。ただ、それは見えないだけで実際にボルフォッグが「消えた」わけではないから手に触れればボルフォッグが「そこにいる」ことが確認できる。よってレーダーやソナーには探知されてしまうし、匂いも消せないためポルコートのイオンセンサーによっても探知されてしまうであろう。しかし機界文明の機動兵器との戦闘においては有視界戦闘が基本であるため、ホログラフィックカモフラージュは有効な装備となっている。
事実ボルフォッグはこのホログラフィックカモフラージュによって戦闘や要人警護、救助活動において多大な成果をあげており、その有効性を証明している。後に「ガオファイガー・プロジェクト」に基づき開発されたファントムガオーにも同様の装備・ファントムカモフラージュが搭載されている。