トップページ旅行記おみやげコラム綴
現在の位置:トップページ - 旅行記綴
- 「イキスプレス」がやってくる - 「TX効果」はどこまで広がる?

旅行記その7:「イキスプレス」※1がやってくる

「TX効果」はどこまで広がる?

「TX効果」の広がりを体験

今回のTX開業にあたって、茨城をはじめとする周辺地区でも、「接続する鉄道の新駅開業・ダイヤ改正」や「高速・急行バス等、新しいバス路線の開業」等といった新サービスが、多くの地区で導入されている。それらによって、沿線から離れた地域でもTX開業の恩恵がもたらされている。

この沿線から離れたところにも現れている「TX効果」はどのようなものか?自分の身体で体験してみようと思い、開業初日とは異なるルート・経路でTXを利用した。

今回試してみたのは、「下館駅(茨城県筑西市)→東京都区内」のコース。今回、周辺地区として「下館」を選んだ理由は。

  1. TXに接続する関東鉄道常総線(取手−下館)では、TX開業に合わせて大幅にスピードアップが図られた「快速」が運行される。
  2. 下館→東京都区内は、従来よりJRの利用が便利だったこともあり、「ライバル」との比較が行いやすい。
  3. 筑西は、常総線・TX経由とJR経由とで東京都区内までの所要時間がほぼ同じであり、「TX効果」が現れるか否かの境界点になる可能性が大きい。
  4. そして何より、私事だが筑西には長年自分が住んできた経験があるため、考察したり文章にまとめたりの作業がラク。

東京に用事ができたある日、水戸から今回の起点である下館に出るため、わざわざ早起きしてJR水戸線の始発列車に乗った。

 

東京への新ルート

午前5時50分過ぎ、下館駅。

かつて(昭和30年代)、関東鉄道常総線には下館から国電に接続する取手まで「特急」が走っており、まだ蒸気機関車で運行されていた国鉄と客を争っていた。しかし、東北本線・水戸線の双方が電化されスピードアップされたことにより、この近辺から東京に出るは皆水戸線で小山に出て、東北本線(宇都宮線・湘南新宿ライン)あるいは後年開業した東北新幹線に乗り換えるようになってしまった。

常総線の「特急」が廃止されて以降先日までは、それが唯一の上京ルートであった。しかしTX開業により、常総線まわりのルートが、再び「現実味のある」ものとなった。朝夕の1日3往復に限られるが、関東鉄道常総線に「快速」が出来たことにより、少なくとも所要時間の面ではJRのルートと五分五分になっている。

その「快速」の始発列車にに乗り込んだ。

5時58分発車。常総線に乗ること自体が十数年ぶりであったが、昔と比べてものすごいスピード感を感じる。乗っていて「TXよりも速い」印象を受ける。

最高速度が引き上げられたとはいえ常総線の最高速度は90km/h。TXの130km/hと比べると断然遅い。しかし「よく揺れる」こと、「ディーゼル車であるため走行音・振動が車内に響く」こと、「線路周辺に仕切りがなく、沿線の家とか梨畑とかがすぐ目の前を通りすぎる」ことによる「錯覚」を感じたように思われる。昔と比べて、下館から下妻・石下・水海道と南下するにつれて形が変わる車窓の筑波山以外は、いろいろなものが変わってしまったように感じられた。

車内。下館を出たときは1車両2〜3人だったが、下妻・石下・水海道と止まってゆくにつれ少しずつ乗客が増えてゆき、最終的には1車両20人近くになった。

下館を出てから45分経過。TXと接続する守谷に到着した。水戸線・東北本線まわりだと、ちょうど利根川を渡るくらいの時間か。

 

守谷でお乗り換え

守谷駅はTXの開業にあわせて常総線の駅も全面的に改装され、自動改札機やエレベータ・エスカレータも付いている。守谷駅の常総線乗り場を降り、そのままTXの守谷駅に入る。自分は改めて切符を買い直したが、TXと常総線とは通しで切符が買える。

守谷駅の周辺を少し見回したが、自分が訪れた当時は駅付近はまだ店などがあまり出来ていないし、駅前も結構空き地がみられる。

そのままエスカレータを昇り、TXのホームに上がる。すぐに入ってきた快速電車が来る。

本当にTXは静かだ。常総線の賑やかなディーゼル車から乗り換えて来たから、余計そう思うかもしれない。また、スピード感は感じないものの実際には藁ってしまうくらい速い。守谷を出てから35分(区間快速)で秋葉原に着いてしまった。乗り換え時間を除けば、同じ35分をJRの栗橋から乗っても大宮・浦和ぐらいにしか着かない。

 

比較してみる

時間で比較すると、乗り換え時間を含めても、7時30分には秋葉原駅の地上に着いてしまっていた。ちなみに水戸線・東北本線周りの従来ルートでは、ほぼ同じ時間に下館を出て、上野到着が7時37分。時間で比較すれば、本当にJRと互角である。

運賃で比較すると、常総線廻りが下館−秋葉原間で2010円。一方のJRは同じ下館−秋葉原間が1620円。だいぶJRに分があるように見えるが、TX・常総線では、9月10日より「トクトク往復きっぷ」が発売になっている。これを使えば片道あたり1520円。JRの「東京自由乗車券(山手線内乗降自由)」の片道あたり1550円とほぼ互角になる。

このように、鉄道サービスだけで比較すれば、常総線・TXのルートとJRのルートはほぼ互角になっているように見える。下館でこれなのだから、常総線沿線の下妻・石下・水海道の人が感じるメリットは、当然もっと大きいように思われる。

 

まとめ

しかし、何かが足りない。時間・運賃では互角なのに、常総線・TXのルートとJRのルートとの間には依然として「大きな差」があるように思える。いろいろ考えてみたが、その足りないものが何なのか、うまく説明できない。

結論をうまくまとめられないが、この「足りない何か」に関連すると思われる自分の経験談を紹介して、この項を締めたい。

ある日(もう中学生の頃になるかな)、日光に住む自分の親戚に、下館−日光を電車で移動する際、「宇都宮まわり」か「東武線まわり」のどちらを使うか尋ねてみた。答えは、所要時間はほぼ同じで運賃は割高になる「宇都宮まわり」であった。

ちょっと興味を持ってその理由を聞いてみたが、「慣れている」「1つの鉄道会社がやっているから安心できる」(東武線まわりの方が安価であることを説明したが納得しなかった)他、「宇都宮まわりだと待ち時間で買い物ができるのが非常に便利」とのことであった。

←↑(ページの最初)↑↑(indexページ)→


現在の位置:トップページ - 旅行記綴 - 「イキスプレス」がやってくる - 別の視点からTXを見る

更新日 2005.9.18
無断転載および無断引用はご遠慮ください/Link Free/・・・
Copyright(C) 2005 WATANABE Tsuyoshi. All rights reserved.