孤立は自己肯定感の欠如の原因になる、とこれまで考えてきました。ここで気をつけなければいけないのは、「孤立」と「孤独」の区別です。
人は一人で生まれ、一人で死んでいきます。他の誰をも体験することはできません。つまり、「孤独」は人本来の姿なのです。それを否定的にとらえてしまうのは、私たちがそのような文化の中にどっぷりと浸かっているからです。「孤独」であることから目をそらそうとしているのです。
「孤立感」は人とのかかわりによって生まれる感情です。人に認められたい、人から愛されたいと思う気持ちが、充たされない気持ちを強め、孤立感を感じさせてしまうのです。さらに、人から認められ、愛されるように頑張ろうとすると、空回りして孤立感をよけいに深める結果になってしまいます。
それではどうしたらいいでしょうか。
人生相談の常套句に「他人と過去は変えられない。変えられるのは自分と未来だけ」というのがあります。これを「頼れるのは自分だけ」と解釈してしまうと、反対の意味になってしまいます。本当は、孤独であることを自覚しなさい、と言っているのです。充たされない自分の気持ちを、他の人のせいにして恨んだり、過去を悔やんでも、充たされない気持ちは強まるばかりだと、警告しているのです。
そして、後半の「変えられるのは自分と未来だけ」は、見方を改めれば、自分が違って見えてくるでしょう、というアドバイスなのです。
では、どう改めればいいのでしょうか。
私は、自分にこう暗示にをかけることにしています。「小さな敗北なんて潔く受け入れてしまおう。そうすれば、自分の無力を嘆いてばかりではなく、清々しい気持ちになれるかも知れない」。そして、「生きているだけで、勝者なのだ。知らない無数の人のネットワークによって、これまで、生きてこられたではないか。ありがとう!」、と。
大災害に遭って、命からがら避難所にたどりつけたとしたら、きっと素直にそう実感していることでしょう。