薬物依存、アルコール依存、ギャンブル依存と、依存症の話題に事欠かない昨今ですが、その治療現場は大変な苦労の連続のようです。
どちらかと言えば依存症体質(タイプ?)の私も、五十歳の時に三十年の喫煙歴に終止符をうった以外、依存症に打ち勝てた実績はありません。現在も、軽度(?)のアルコール依存傾向があります。そのためか、依存症の治療には強い関心があります。
喫煙習慣を克服したときに留意したことを参考にしますと、まずなぜそれを止めようと思うのか、はっきりと自己認識しなければなりません。そして、どんな時に依存行為をしてしまうのか、具体的に箇条書きにするのです。依存行為を続けるとどうなるのか、その弊害もはっきりとさせます。
つまり、依存行為を止める理由を明確にし、その意志を強く持つことが何よりも大切です。(止める理由がなければ、止める必要はないという当たり前のことを、裏側から言っているだけです)
素人レヴェルの知識で言えば、依存症とは、一定の刺激に対して特定の行動を促す神経回路が強化され、その行動が意志に反してくり返される状態です。依存症を克服するためには、この神経回路を無力化させ、反応が起きにくくすればいいわけです。
これと正反対なのが、リハビリです。脳梗塞などで特定の活動を促す神経回路が破壊され、生活に支障が生じてしまった場合は、新しい神経回路ができるように、つらいトレーニングを積み重ねながら、元の活動の復活を目指します。
ですから、依存症の治療でも、特定の刺激に対して、異なった反応が生まれるように、新たな神経回路を作ればいいわけです。
異なった反応をする新しい神経回路を作ると言っても、依存系の神経回路がすでにあるわけですから、その回路で反応が起きないようにしなければなりません。川の流れをせき止め、別の所に新しい流路を作るのです。
そのためには、かなり強い抑止力が必要です。これまで止められなかった依存行為を、自分の意志だけで抑制することは極めて難しいことです。ここはやはり、協力者が必要です。自分のことを思って厳しいことを言ってくれる、信頼できる人のサポートが受けられるようにしなければなりません。
しかし、自分の依存行為を人に打ち明けるのには抵抗があります。その気持ちを克服して依存症に苦しむ現状を告白し、協力を求める必要があります。そのことによって、自分自身に対しても依存症を克服しようとする意志が確認できます。
やはり、孤立は精神衛生によい影響をあたえません。
漠然と不安な気持ちが続いている。理由もなくイライラしてばかりいる。そんな時はどうしたらいいでしょうか。
普通なら人と話したり、テレビを見たりして気分転換します。旅行へ行くようなこともあるでしょう。しかし、無気力になって、そうした行動をする気力すら湧かず、押しつぶされそうな気持ちになってしまっていることもあります。
そんな時は、心を消してしまうことをお勧めします。スニーカーを履いて外に出て、ただひたすら歩くのです。そんな気分になれなくても、とにかく外に出てみることです。何もしなければ心の落ち込みはどんどんつのるばかりです。
歩くことに気持ちを集中させるために、歩きながら一から百まで数えて、千歩単位で指折りながら集計します。忘れそうならメモしたり、千ごとに小石を拾ったり、輪ゴムを腕に巻いたりと、とにかく歩くことに集中し、「歩く人」になりきるのです。
そのうちに、汗が出てきて、爽快感が感じられるようになるかもしれません。
感情、意識、心。それはある状況に全身で感応している状態です。そのうち、よく体験する状態に名称をつけて、悲しいとか、嬉しいとか、怖いとか言っているだけです。それなら、「植物心」という心の状態もあってもいいような気がします。それは、あたかも「植物ってこんな気持ちでいるのかなあ」と思えるような気分のことです。
次の手順で、一度試してみてください。