V:「生きづらさ」について
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(11) 好きな仕事はどうしたらわかるのですか

小学校の卒業文集には憧れの職業を書けばそれでよかったのですが、中学校や高校になると、「進路希望」はいきなり現実的になります。期日が決められた進路希望調査の用紙はいつまでも空欄のまま、なんていうことは多くの人が体験してますよね。

職業を決めるのは大変な作業です。「将来のことなんてわからないのだから、適当に書いて出しておいた。」そんな人も多いでしょう。「好きなことやったらいい。」と言われても、自分が何が好きなのかもわかりません。いくら好きなことでも、同じことを毎日させられたら、嫌いになってしまいます。職業って何なんでしょう。

職業の基本は労働

労働って言うと、工場で油まみれになって働くイメージです。哲学で労働というと、特定の目的をもって、自然(物)を加工して、イメージどおりに何かを作ることを意味します。アリやハチも巧みに巣を作りますが、設計図にしたがっていろいろなデザインで作ったりしませんから、労働をするのは人間だけだと、哲学者は考え、「労働は人間の本質だ。」と宣言します。

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好きな労働、嫌いな労働

労働で作る物は生活に必要な物である必要はありません。遊びのための労働でも労働です。物をつくって、思ったとおりにできれば、楽しくなります。達成感もあります。労働の好き嫌いはまずはこんなことから始まるのでしょう。同じ物をくり返し作っていれば、技術も向上し、得意な労働になっていくことでしょう。

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くり返しする労働は仕事

遊びではなく、必要に迫られてする労働は仕事です。

目的をもって意味のある物を作るので、作った物は自分以外の人が使うことができます。 余った物を人にあげれば、人が使うことを前提に労働することもおきてきます。こうして、労働は義務となってくり返されるようになります。これが仕事です。

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交換目的の仕事から分業が生まれた

始めから交換することを目的に労働するようになると、そこに仕事による役割分担が生まれます。これを分業と言います。分業が細かく分かれてくると、物を作らない仕事も役割分担に加えられます。物を売ったり、見張りをしたり、教えたりする役割も多数現れ、その労働によって、品物やお金をもらったりします。

労働はくり返され仕事になり、仕事は人のために義務づけられ職業になります。

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趣味も職業も労働

遊びや趣味で作ってもそれは労働。必要に迫られてする労働が仕事。他の人のために義務でする仕事が職業。義務であれば、簡単には辞められません。拘束力が生まれます。ですから、適性が問題になります。うまく義務が勤められなければ、ペナルティが科せられます。我慢しながら働けば体をこわします。

自分の適性ばかり言ってはいられません。世の中には誰かがしなければならない仕事もあるのですから。このことはどう考えればいいのでしょう。


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