第17回 : バルトーク弦楽四重奏団(武蔵野市民文化会館小ホール)

私は、バルトークの弦楽四重奏曲というと、フジセイテツコンサートで放送された巌本真理弦楽四重奏団の演奏を思い出します。全曲聴いたわけではなかったと思いますし、何番を聴いたのかといえば「忘れました」という返事になるのですが、どういうわけか記憶の底のほうに沈んでいます。ざっと30年前のことになりますが、私がそれまでに聴いたことがないような音楽だったからでしょう。
ちなみに、ヴァイオリニストの巌本真理さんは、ソリストから転じて弦楽四重奏に打ち込みましたが、昭和戦中期には巌本メリー・エステルと呼ばれていました。フジセイテツコンサートは、いまも「新日鐵コンサート」としてニッポン放送(ラジオ)で毎週日曜日の夜、続いていますよね。

今回私が聴いたのは、バルトーク弦楽四重奏団によるバルトークの弦楽四重奏曲(全6曲)の演奏会です(10月30日と31日、武蔵野市民文化会館小ホール)。このホールの自主企画は、いつも目を離せないものばかりで、しかも良心的な価格設定をしてくれます。今回だって、2回の通し券が5000円ですからね\(~o~)/
では、プログラムから。

30日(土) 31日(日)
弦楽四重奏曲第1番 (1908-1909) 弦楽四重奏曲第3番 (1927)
弦楽四重奏曲第2番 (1915-1917) 弦楽四重奏曲第6番 (1939)
弦楽四重奏曲第5番 (1934) 弦楽四重奏曲第4番 (1928)

日本流の元号で言えば、音楽院を卒業して5年後に完成した第1番が明治42(1909)年、ナチス・ドイツの足音が聞こえ、母親が死んだ昭和14(1939)年に書かれたのが第6番ということになり、その間ざっと30年という時間の隔たりがあります。

バルトーク弦楽四重奏団は1955年の結成で、現在も第2ヴァイオリンのゲーザ・ハルギタイ以外は、全員創立時からのメンバーです。音色は、いくらか土臭さが残りますが、4人とも音質が均一で、そのハーモニーの厚みは聴きごたえがありました。また、6曲いずれも、すでに手中に収めた演奏となっているように感じました。ただ、もう少し言うと、両日とも最後の曲がもっともキッチリとした演奏で、他の2曲と差がついた気がしました。少々残念でした。

全体に重苦しい雰囲気をもった作品ばかりですが、ノン・ビブラートでハーモニーを奏でる箇所や、フラジォレットで演奏する箇所など、それぞれに意味がありそうですが、残念ながら私にはわかりません。

この際と思ってバルトークに関する日本語文献を書店などで探しましたが、きわめて限られているというか、ほとんどないです。ちょっと、寂しい思いがしました。


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