第16回 : 日本の作曲 21世紀へのあゆみ・1999終わる(紀尾井ホール)

9月18日から5回にわたって行なわれた「日本の作曲 21世紀へのあゆみ・1999」が終わりました。このコーナーでまだ取り上げていなかった分を記録しておきましょう。まずはプログラムから。

1999年10月15日(金)新しい合唱の息吹
守田正義: 働く女性の歌(吉居斐・詩)1946
守田正義:海の早春(片山敏彦・詩) 1946
原太郎:冬から春へ(原太郎・詩) 1949
吉田隆子:君死にたもうことなかれ(与謝野晶子・詩) 1949
吉田隆子:お百度詣(大塚楠緒子・詩) 1953
宅孝二:仲間達(くすみまこと・詩)1953
宅孝二:主婦のうたごえ(北条さなえ・詩) 1954
芥川也寸志:砂川(坂本万理) 1956
演奏:Grupo Vocal de TOKIO(合唱),斎木ユリ(ピアノ),栗山文昭(指揮)

1999年10月26日(火)新世代の登場U
林光:ロンド[ピアノ曲] 1950
野平一郎(ピアノ)
湯山昭:ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ 1953
漆原朝子(ヴァイオリン),一柳慧(ピアノ)
外山雄三:パルティータ第3番
小泉浩(フルート),十亀正司(クラリネット),菅原恵子(ファゴット),野平一郎(ピアノ)
一柳慧:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ 1954
漆原朝子(ヴァイオリン),一柳慧(ピアノ)
黛敏郎:10楽器のためのディヴェルティメント 1948
小泉浩(フルート),柴山洋(オーボエ),十亀正司(クラリネット),菅原恵子(ファゴット),千葉馨(ホルン),福田善亮(トランペット),栗田雅勝(トロンボーン),野平一郎(ピアノ),松原勝也(ヴァイオリン),溝入敬三(コントラバス),岩城宏之(指揮)

珍しいプログラムが組まれた10月15日のコンサートの中で、宅孝二、芥川也寸志の作品は関鑑子の依頼を受けてうたごえ運動のために作曲した点で、普段なかなか聴く機会のない作品でした。「君死にたもうことなかれ」など、歌曲を合唱で歌ったものもありました。
10月26日の「新世代の登場U」は、昨年のこのシリーズで特集された「新世代の登場T」を受けての企画だと思われます。ほとんど初めて聴く作品だったのですが、黛作品だけは以前にも聴いたことがありました。遊び心に満ち、肩の力を抜いて聴けます。これが東京音楽学校の卒業作品なのですから驚きです。

私は今年、このシリーズの5回すべてに足を運びました。
全体を通して振り返ってみると、黛敏郎の若い頃の魅力ある作品を「10楽器のためのディヴェルティメント(1948)」「ミュージック・コンクレートのための作品”X,Y,Z”(1953)」「7のヴァリエーション(1956、諸井誠との共同作品)」「プリペアド・ピアノと弦楽のための小品(1957)」と聴けたことは収穫でした。

余談ですが、昨年のシリーズで演奏された作品がCDになりました(コンサート1回について1枚、つまり全部で5枚ということになります)。ご存知でしたか? 詳細は、東京コンサーツに問い合わせれば教えてもらえると思います(電話 03−3226−9755)。
このシリーズは来年も予定されています。5回全部行くかどうかまではわかりませんが、予定されているプログラムを見ると、聴いてみたいプログラムがすでに見出せます。このシリーズ、すべての予定が終了するのは2006年のことなのですが、その頃は、私も50歳台前半(ゲーッ!!)。
ああ、余計なことを考えてしまいました。
【1999年10月27日記】


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